Facebookの動画広告ポリシーの改定に関わっている大手パブリッシャーの情報筋によると、同社はパブリッシャーに対する動画広告ポリシーの緩和をはじめているという。これまで、Facebookへプロモーション費の支払いがない場合、宣伝色の強い動画を禁止していたが、今後はこのポリシーが緩められる可能性が出てきた。
厳密には、広告主が制作費を出した動画などは、Facebookにおけるオーガニックコンテンツとして表示してはいけない決まりとなっている。パブリッシャーがブランドの依頼で製作した動画や、あからさまなプロダクトプレイスメントが行われている編集動画などを削除することで、Facebookは知られていた。
しかし、今回の動画広告ポリシーの改定により、いくつかのパブリッシャーは「提供(sponsored by)」という文言付きで、ブランドの動画を投稿できるようになった。
Facebookの動画広告ポリシーの改定に関わっている大手パブリッシャーの情報筋によると、同社はパブリッシャーに対する動画広告ポリシーの緩和をはじめているという。これまで、Facebookへプロモーション費の支払いがない場合、宣伝色の強い動画を禁止していたが、今後はこのポリシーが緩められる可能性が出てきた。
厳密には、広告主が制作費を出した動画などは、Facebookにおけるオーガニックコンテンツとして表示してはいけない決まりとなっている。パブリッシャーがブランドの依頼で製作した動画や、あからさまなプロダクトプレイスメントが行われている編集動画などを削除することで、Facebookは知られていた。
しかし、今回の動画広告ポリシーの改定により、いくつかのパブリッシャーは「提供(sponsored by)」という文言付きで、ブランドの動画を投稿できるようになった。
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「以前までは、Facebookに許可されていなかったが、ブランド側によるコンテンツの管理をFacebookが徐々に認めはじめている」と、この新たな動画広告ポリシーの検証に参加している大手パブリッシャーの情報筋はコメント。いまのところ、Facebookは外部のパブリッシャーとの取り引きには応じていないという。また、Facebookは米DIGIDAYの取材に対しても何も語ってはくれなかった。
スーパーボウルでテストを実施?
2016年のスーパーボウルでは、Facebookが新サービス「スポーツスタジアム(Sports Stadium)」をローンチした。これはFacebookアプリ内で、スポーツについて話し合うための機能なのだが、そこに米FOXスポーツが「ゴーダディ(GoDaddy:レンタルサーバサービス)の提供でお送りしています」と書かれた動画を投稿したのだ。新たなスポンサーシップが見られた、はじめての場でもある。
いくつかの動画にはチロン(chyron)と呼ばれる電子ステッカーが表示され、そこにゴーダディのロゴが掲載されていた。ほかの動画では、ゴーダディのロゴがプレロールとして画面いっぱいに映されている。
「Facebookは『提供(sponsored by)』について、長い間悩んでいた。しばらくの間、Facebookは共同スポンサーというものを完全に拒否していた」と、デジタルコンテンツマネジメントエージェンシー、アトマイズド(Atomized)のCEO、クリス・ゴマソール氏は指摘する。「できの悪い広告はできる限り排除したいという企業の思惑だ」。
大手の分散型メディアに朗報
FOXスポーツが行ったような明らかなブランディングに加え、Facebookはプレミアムパブリッシャーに対してもネイティブ動画広告やブランドコンテンツの投稿も認めるという。
Vox Media、PopSugarやBuzzFeedなど、多くのパブリッシャーは収益の大半をネイティブ動画コンテンツに頼っている。Facebookが提供してくれる新たなオーディエンスも販売できるようになるので、収益の増加にもつながることだろう。
PopSugarは、エンターテイメントやライフスタイルに関するコンテンツを製作しているパブリッシャーだが、その収益のほとんどはネイティブ動画広告による。同社は今回の動画広告ポリシー改定による検証には参加していないが、Facebookを含めた分散型戦略を実施している。スポンサー動画コンテンツが認められれば、さらなる利益を得られるかもしれない。
PopSugarスタジオの社長、デイビッド・グラント氏は「PopSugarの動画収入の80%以上は、ネイティブ動画や編集動画によるものだ」と話す。また、ネイティブ動画や編集動画こそ、企業が成長するチャンスだとも付け加えている。
Facebookが高品質なコンテンツを求めてYouTubeとの競争を激化するなか、この動画広告ポリシーの改定はプレミアム動画製作者を魅きつけるための奨励金のようなものだ。Facebookはパブリッシャーや動画製作者に対して、投稿を収益化する方法を、もっと多く提供しなくてはならない。
実際はグレーゾーンのポリシー
注目すべき点はほかにもある。スポンサーシップを結んだブランドの動画コンテンツをオーガニックコンテンツのように表示させることは禁止されているが、Facebookのポリシーには曖昧なところがあるのだ。そのため、多くのパブリッシャーは動画製作にあたり、自らを律しなくてはならない。これにより、現状はフィード内にグレーゾーンな広告コンテンツが表示されることも少なくないのである。
動画広告ポリシーの改定は、実際はこのようなグレーゾーンにある広告コンテンツを明るみに出し、考え直すことを目的にしている。またある情報筋は、Facebookはブランデッドコンテンツのパフォーマンスの計測にも貢献できるだろうと述べた。
YouTubeでは大きな収入源となっているプレロール広告だが、Facebookはプレロール広告を反対し続けてきたため、現在は プレロール広告以外の解決策を模索している。最近では、パブリッシャーとパートナーシップを組んで広告主に高品質の動画広告を販売する、「アンソロジープログラム」を拡大している。
また、Facebookはおすすめ動画のフィードも開発中だ。パブリッシャーのサイトからユーザーを誘導し、広告収入をパブリッシャーと折半するという。
しかし、Facebookが大規模なオーディエンスに向けて展開するプロジェクトはしばらくないと、情報筋は話している。だからこそ、ブランデッドコンテンツ投稿の緩和こそが、パブリッシャーを惹きつけるものになるのかもしれない。
Garett Sloane(原文 / 訳:BIG ROMAN)
Image via Thinkstock / Getty Images