Googleに危機?:ペイドサーチ予算 、 Facebook が侵食しはじめる

広告主のパフォーマンスバジェットの大半をペイドサーチが占めていたのは過去の話。Facebook上のペイドソーシャル広告が、サイトへのトラフィック誘導などに関して、以前を上回る成果をもたらしていることが明らかになりつつある。

これにより、一部の広告主はパフォーマンスバジェットの10~20%をペイドソーシャル広告に振り分けるようになっており、Facebookがその大半を占める。そう話すのは、アイクロッシング(iCrossing)のアーンドメディア担当責任者、アリソン・グリフィス氏だ。同氏によれば、この移行により、Facebookがペイドサーチ予算に占める割合はこの1年で10~25%に増加した。こうしたキャンペーンによるラストクリック売上の増加は見込めないだろうが、直接検索やブランド検索、ストア訪問といったその他のチャンネルへの効果を、一部の広告主ははっきりと実感していて、それが投資の増加につながっていると、グリフィス氏は述べた。

ペイドサーチ(PPC)からペイドソーシャルへの資金の流れの変化を、どの検索エンジンよりも痛感しているのは、欧州での圧倒的なシェアから考えてGoogleだろう。スタットカウンター(Statcounter)の今年5月のデータによれば、Googleは欧州の検索エンジントラフィック全体の94%を占め、2.29%の二番手のBingに大差をつけている。

「このような(ペイドソーシャル重視の)アプローチを採用したクライアントは、ソーシャル売上を280%増やし、ブランドへの関心低下傾向を逆転させ、全体のサイトコンバージョン率の前年比26%増を達成した」と、グリフィス氏は語る。

サイト流入が200%も増加

デジタルエージェンシーのロースト(Roast)には、広告主から予算の再配分の妥当性を検証してほしいとの依頼が相次いでいる。ただし今年の現段階では、ペイドサーチ予算に変化はなく、依然として大部分がGoogleに流れていると、ローストのマネージングディレクター、ギャレス・オーウェン氏はいう。

「かつてFacebookの顧客獲得単価(CPA)はGoogleの5倍もかかっていた」と、オーウェン氏。「現在では2倍程度だ。依然として開きはあるが、Facebook上の広告が、Googleの一般的なキーワードよりも顧客に大きな影響を与えうる程度には縮まってきた」。

旅行会社のラストミニット(Lastminute.com)の場合、今年3月にFacebookの月平均広告費を20%増やしたところ、サイトトラフィックが前月比200%増加した。

ただし、トラフィックの増加は予算の増額だけが理由ではないと、ラストミニットでプログラマティックマーケティング担当責任者を務める、マレック・ラシナ氏は語る。ターゲティングの向上により、オーディエンスに個別のオファーを提示できるようになったのも一因だろう。Facebookに提示されるクリエイティブ資産はすべてターゲットのオーディエンスに向けて個別化されており、行き先や関心が絞り込まれていると、ラシナ氏はいう。一方、Googleのクリエイティブ資産はより包括的で、同社は幅広いオーディエンスに向けて提示される画像も複数用意していると、彼は付け加えた。

影響力拡大のふたつの要因

PPC予算へのFacebookの影響力の拡大には、ふたつの要因が寄与している。ひとつは、PPC広告の購入が競争的かつコストのかかる事業になったことだ。パフォーマンスエージェンシーのジャーニーファーザー(Journey Further)のあるクライアントの場合、競争の激化により、CPMが40~50%上昇して1ポンド(約136円)にまでなったと、同社の戦略担当責任者ダン・ペデン氏はいう。対象的に、FacebookのCPMはカテゴリーや広告タイプ次第で0.6~1.2ポンド(約82~164円)だという。

もうひとつの要因は、広告主にとってペイドソーシャルが生む利益が可視化しやすくなってきていることだ。「Facebookは以前よりも低コストで質の高いトラフィックを生み出せるようになっている」と、メディアエージェンシーのセブンスターズ(The7Stars)でビッダブル担当責任者を務めるアダム・チャグ氏はいう。「Facebookが提示する新たなオーディエンス獲得の投資利益率も改善したが、こちらはまだ不透明なところがある」

PPCのパフォーマンスが概して高い理由のひとつが、ラストクリックアトリビューションだ。しかし、ラストミニットのように、より高度なアトリビューションモデルを求める広告主は増えており、彼らはインプレッションの真のコストと価値について理解を深めつつある。コンバージョンに特化したFacebookの指標は、プラットフォーム内に限定されたものではあるが、投資利益率の可視化に成功している。完璧ではないが、プラットフォームから直接、新規オーディエンスに関する投資利益率レポートを得られるという点で、広告主には魅力的だ。

「広告主はアトリビューションやスケーラビリティに関心を強めていて、Facebookはこの流れに対応し、従来のアトリビューションツールから脱却すべく、多面的なアトリビューション能力の構築に投資している」と、アイプロスペクト(iProspect)のパフォーマンスソリューション担当クライアントパートナー、キャサリン・シャペル氏はいう。「これにより、広告主がインクリメンタリティ(純増効果)を世界的スケールで理解できるだけでなく、小規模広告主もキャンペーンの効果を測定するプラットフォームを得られる」

Facebookのこれまでの歴史

とはいえ、正確なデータの共有に関して、Facebookのこれまでの歴史は清廉潔白とはいえない。Facebookが動画指標をミスにより水増ししていた件への批判もあり、ソーシャルネットワーク指標に対するバイヤーの評判はよろしくない。そのため、PPCの予算をソーシャルネットワークに振り分けることに及び腰の広告主も少なくない。

「これまで我々は、Facebookに重点投資していた広告主が、Facebookがデータ共有を拒み、広告から得られた利益を明確にしないことを理由に、資金を引き揚げるところを見てきた」と、ペデン氏はいう。「Facebookはキャンペーンデータを社外と一切共有しない。PPC予算の最後の10%というかなりの額を引き揚げ、代わりにYouTubeに投資した広告主もある。(YouTubeの方が)最終損益とのつながりを明確に示しているからだ」と、同氏は述べた。

Seb Joseph(原文 / 訳:ガリレオ)