ザッカーバーグ氏の公聴会で強調された、テック業界の問題:紳士かつ冷静な態度の陰で

FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグ氏は4月10日・11日(米時間)、2016年のアメリカ大統領選挙におけるユーザー情報流出問題に関して、公聴会で議員たちからの質問に回答した。2日間に渡るこの公聴会が明らかにしたのは、Facebookが抱えている欠点、そしてテック業界全体が抱えている欠点だった。

公聴会で伝わってきたのは、ユーザー情報を理解し、それを適切に管理するという点でFacebookの能力は疑わしいという印象だ。2日目には、Facebookの役職における人種的多様性の欠如、人々がどのようなニュースを読むかという点に関するFacebookの影響、そして社会全体でFacebookが担っている役割、といった観点からの質問をザッカーバーグは受けた。

ダイバシティの問題

ノースキャロライナ州の民主党議員であるG.K.バターフィールド氏は、Facebook役員チームの写真を掲げて発言をした。そこに写った人物はすべて白人ばかりだった。同議員はこの写真を見せて、これはアメリカを反映していない、と発言している。彼はまた、Facebookが今後より多くの黒人の従業員を雇うかどうか、また従業員の多様性に関しての離職率のデータも求めた。これはシリコンバレー全体に蔓延している問題であるとも指摘している。

これに対するザッカーバーグ氏の回答は、Facebookはその問題にフォーカスしており、業界がこの点において遅れをとっていることを理解している、というものだった。

Facebookが社会全体において担っている役割、も焦点のひとつだった。アナ・エシュー議員(Facebookの本拠地カリフォルニアの民主党議員)は、民主主義を保護するプラットフォームを運営するための倫理的な責任を、ザッカーバーグ氏が果たして持っているのか、という厳しい質問を投げかけた。彼はこの問いに対してイエスと答えている。

コアビジネスの穴

ユーザーの気分にFacebookが与える影響を知るための実験をFacebookは行ったことがある。それについても彼は質問を受け、「私たちはそのことについて理解する責任があると思った」と答えている。「私たちのサービスは人々の健康にとって良い物であるべきだと考えている」とのことだ。プラットフォームをアクティブに使っているとき、人々はより幸せであるというこの実験結果に基づいて、Facebookはユーザーのエンゲージメントを促進する方向にシフトした。これによってパブリッシャーのコンテンツはニュースフィードにおいて優先順位がどんどんと下げられており、パブリッシャーたちは対応に追われている。

Facebookは保守的なコンテンツに対して偏見を持っているのではないか、という質問も何度も浴びせられたが、ザッカーバーグ氏はそれを否定した。

こういった質問のなかから浮かび上がってきたテーマは次のようなものだ。Facebookは大きくなりすぎて自分自身を適切に管理することができていない。ユーザーデータの安全性だけでなく、プラットフォーム上のすべてのアクティビティに関してこれが言えてしまう。公聴会を通して、Facebookはまるで自治区のような存在に聞こえることが何度もあった。Facebookはテロリストから人々を守ることができるのかという質問が投げかけられ、ユーザーたちは自分で自分のデータをコントロールしていると、ザッカーバーグ氏は繰り返した。それに対して、キャシー・キャスター議員(フロリダ州・民主党)は、Facebookの設定は人々を守るのに十分ではないと発言している。また法律も人々を守るために状況に適応できておらず、議会からのアクションが求められると指摘した。「データを集約すること、それがあなたのビジネスだ」と彼女は言った。

広告に関する疑惑

またデイヴィッド・マッキンリー議員(ウエストバージニア・共和党)はFacebook上においてオピオイド(強力な鎮痛剤で、乱用による中毒者がアメリカで深刻な問題となっている)を販売する広告が現れることを指摘し、ザッカーバーグ氏を何度も批判した。「あなたのプラットフォームは依然として法律を迂回するために使われている。あなたは人々を傷つけている」と、マッキンリー議員は言った。

ザッカーバーグ氏がこの公聴会で、テック業界に対する不信感を拭うことができたのかは明らかではない。彼は落ち着いていて、礼儀正しかった。しかし、Facebookにおける違反行為はユーザーからの報告に頼っているという点を何度も主張していた。何十億ものコンテンツすべてをモニタリングするには、Facebookが抱えるスタッフの数は十分ではないと言ったのだ。またこの問題に取り組むためには、彼らは人工知能を開発する必要があるとも述べた。特にオピオイド系鎮痛剤の広告という、深刻に人間の命に関わる問題に対する回答としては、非常に機械的なものに感じられた。

Lucia Moses(原文 / 訳:塚本 紺)