Facebookが、Watch(ウォッチ)向けの新番組について、パブリッシャーやインフルエンサーと協力する新しい資金援助プログラムを立ち上げた。これによってFacebookが出資し、インフルエンサーが主演する、制作パートナーが手がけた番組を生み出すことが目的だという。
Facebookが、Watch(ウォッチ)向けの新番組について、パブリッシャーやインフルエンサーと協力する新しい資金援助プログラムを立ち上げた。
事情通の情報筋によると、Facebookはこの数カ月間、パブリッシャーやスタジオの制作パートナーと会合を持ってきたという。Facebookが出資し、(Facebookやインスタグラム[Instagram]などのソーシャルプラットフォームに大勢のフォロワーを有する)インフルエンサーが主演する、制作パートナーが手がけた番組の勧誘をするためらしい。このインキュベーションプログラムは、エンターテインメント、ニュース、スポーツなど、バーティカルにまたがる。クリエイターが実際の番組制作を担当し、Facebookは資金やほかのサポートサービスを提供する、と情報筋は述べている。
本記事の公開時点で、Facebookからコメントは得られていない。
Advertisement
新プログラムの詳細
Facebookは、パブリッシャーや制作パートナー1社につき6~8番組に出資することを検討しているが、勧誘されたあらゆるプロジェクトに出資する保証はないと、Facebookから概要の説明を受けた2人の情報筋は語る。取引の全体的な枠組みは、番組を承認した時点でFacebookがパブリッシャーに支払いを行うというものだ。Facebookは全8話のシリーズに20万ドル(約2200万円)前後支出する見込みだと、ある情報筋は話す。
明確にしておくと、このプログラムの一環で制作された番組は、Facebookの「オリジナル番組」ではない、と情報筋は述べている。Facebookは、限られた期間(ある情報筋によると約3カ月)の独占配信権を得るだけで、その後は、制作パートナーに配信権が戻る。
「(Facebookは)より多くのインフルエンサーに食い込みたいと思っている」と、Facebookから概要説明を受けたある情報筋は語る。「だが、タレントと直接番組を制作するのではなく、業界トップクラスのパブリッシャーとの協力を望んでいる」。
「好調なスタート」が狙い
Facebookはこの1年間、インフルエンサーにFacebook Watchの利用を促す取り組みを強化してきた。昨年の6月には、ロサンゼルスでの初めての「クリエイター・デー(Creator Day)」に120人のクリエイターを招待し、新サービスを紹介したり、製品マネージャーとタレント間のワークショップを開催したりした。今年2月には、第1回「ビドコン・ロンドン(VidCon London)」カンファレンスや、それに先立つ別のクリエイター・デーに向け、英国で大きな存在感を示した。ロンドンで行う取り組みでは、クリエイターがFacebook Watchの広告プロダクトを通じて利益を上げられる方法にも重点が置かれる。具体的には、Facebookでのフォロワーが2000万人を超える自己啓発の大家ジェイ・シェティ氏が、昨年にどうやってFacebookの広告売り上げで100万ドル(約1.1億円)以上稼いだかを語る。
別の動画クリエイターは以前、Facebookのアドブレイクプログラムはたいした売り上げをもたらしていないと述べていた。
Facebookのこの独特なプログラムは、Facebookやインスタグラム、YouTubeなどのソーシャルプラットフォームですでに膨大なファン層を抱えているクリエイターとの協力を目指す取り組みの延長線上に置くことができる。女優のジェイダ・ピンケット=スミスや、MTVなどの人気ページの開設者のような有名人かどうかに関係なく、Facebookは「好調なスタート」を切ることができるプロジェクトを追求する傾向があると、複数の情報筋が以前に米DIGIDAYに語っている。
そうしたフォーカスは、この新しいプログラムの対象外のFacebook Watchプロジェクトでも変わっていない。たとえば、Facebookは最近、Facebook Watch向けの動画を制作するあるパートナーに対して、まだ立案中のプロジェクトの主役にインフルエンサーを起用するよう求めた、と制作パートナーの情報筋はいう。
Watch向け番組への出資
「この新しいプログラムは、Facebookにオーディエンスがいるパブリッシャーやクリエイターと協力するというFacebook Watchの古いアイデアの範囲内で、ターゲットをもっと絞ったアイデアだ」と語るのは、Facebook Watchの開始以来、Facebookに複数の番組を販売してきたあるパブリッシャー幹部だ。
Facebookは2019年も引き続き、Facebook Watch向け番組への出資している。そのなかには、MTVの「リアル・ワールド(The Real World)」のリブート作品や、NBA(米プロバスケットボール協会)のスター、ステフィン ・カリー選手を起用する最近発表されたシリーズのような、話題のプロジェクトも含まれている。ゆくゆくは、動画のアドブレイクから分配する売り上げによって、Facebook Watchの番組を完全に支援できるようにしたいと、Facebookの幹部は述べている。
「今後は投資を調節していくのは確かだ。人々が視聴したいコンテンツの大半を制作するつもりはない」と、Facebookのコンテンツ戦略・計画責任者であるマシュー・へニック氏は、CESで開かれたバラエティー(Variety)のイベントで語った。
Sahil Patel(原文 / 訳:ガリレオ)