業績好調のFacebook、GDPRやデータ流用問題は影響せず

Facebookは、ユーザーのプライバシーや米大統領選中のハッキングに対する取り組みをめぐって、メディアに叩かれてきた。だが、ユーザーが増え、モバイル広告が収益を牽引しているおかげで、事業面では絶好調だ。欧州ではデータ規制が差し迫っているものの、Facebookの幹部は4月25日、メディア予算を獲得し続ける見込みだと述べた。いつものことだが、Facebookは目を見張るような決算発表を行った。

以下が、その注目すべき点だ。

  • 月間アクティブユーザー数は22億人、日間アクティブユーザー数は14億5000万人で、いずれも前年比13%増。
  • ユーザー数は前四半期から6700万人増加(米国とカナダでは1300万人増加)。
  • 四半期の収益は119億7000万ドル(約1.3兆円:前四半期からは10億ドル[約1100億円]の減少だが、前年同期からは39億4000万ドル[約4300億円]の増加)。
  • 利益は49億9000万ドル(約5400億円)。
  • モバイル広告は広告売り上げの91%を占め、前年同期の85%から上昇。
  • 広告売上全体では前年同期比50%増。

とはいえ、Facebookが今後も成功するのは容易ではないだろう。Facebookはターゲティング広告に依存しており、選挙コンサルティング企業ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)によるデータ流用疑惑に続く、欧州で差し迫るプライバシー規制と、データのパートナーに対する制限で、その有効性が低下する恐れがある。一般データ保護規則(GDPR)が5月に発効すると、ユーザーデータは、収益に不可欠なユーザー属性のひとつが厳しく制限される。Facebookの前四半期の売り上げは、最大の牽引役である米国とカナダが56億ドル(約6100億円)で、欧州が30億ドル(約3300億円)でそれに続く。欧州は、ユーザー1人あたりの平均売り上げが前年から50%近く増加し、もっとも急成長している地域でもある、とニュースメディアのAXIOS(アクシオス)は指摘している

GDPRに対する姿勢

だが、こうした制限が広告効果に悲惨な影響を及ぼすことはないと、Facebookは主張する。

「人々のプライバシーを尊重するターゲティング広告のほうが好ましい」と、Facebookの最高執行責任者(COO)であるシェリル・サンドバーグ氏は、あらかじめ用意された原稿で述べている。

プライバシー擁護派は、プライバシーを尊重していないデータ収集にターゲティング広告が依存していると想定して、この発言をめぐって顔を真っ赤にするだろう。だが、懸念を防ぐのに、ユーザー数を多く見せる製品変更方針ではなく、もっと透明性が高いアプローチを堂々と採ってきたので、Facebookは闘うのを厭わないようだ。

欧州ユーザーの動向

こんなことを書く価値があるのかわからないが、Facebookは、欧州におけるユーザーの増加率が次四半期は「横ばい」かもしれないと述べ、「広告売り上げに何らかの影響が及ぶ可能性がある」と、最高財務責任者(CFO)のデビッド・ウェーナー氏は語っている。

「これについては注意深く監視していく。基本的には、保護しながら広告事業を構築できると考えている。変更が広告売り上げに大きな影響を及ぼすとは思っていないが、限界状態の最適化の可能性に何らかの影響を与える恐れがあるのは確かだ」。

Facebookは、GDPRをより大きな業界の問題と位置づけている。ウェーナー氏とサンドバーグ氏は、まだ戦略的な予算を獲得することができると主張した。

「変わらないのは、広告主がもっとも高いROIの機会に目を向けるということだ。最良の広告と最良の測定を提供したい。業界全体で物事が起きる限り、それは可能であり、我々は依然としてとても強い立場にあると思う」と、サンドバーグ氏はいう。

それに、ケンブリッジ・アナリティカは業績にあまりダメージを与えていないようだ。サンドバーグ氏によると、支出を停止すると言ってきた広告主は「少数」で、1社はすでに戻ってきたという。

広告の掲載場所

Facebookではモバイルがまだ主流だが、広告の掲載場所が変更され、ニュースフィードの枠を越えて拡大するかもしれない。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は前四半期に、ニュースフィードにおけるユーザーの1日あたりの滞在時間が5000万時間減少したと述べた。今四半期には、受動的に動画を視聴しているユーザーが減っているらしく、動画に軸足を移すことに執着しているパブリッシャーにとって吉報ではない。

そうした行動の変化の代わりに、Facebookは、利用頻度が高い製品を拡充し、パブリッシャーと広告主が参加する機会を増やしつつある。たとえば、Facebookの長編動画シリーズを視聴中に友人とチャットできる機能「ウォッチ・パーティー(Watch Party)」を設けた。

Facebookは「ストーリーズ(Stories)」を重視する姿勢も強めている。いまのところ、広告主は、「インスタグラムストーリーズ(Instagram Stories)」でしか広告を購入できない。だが、ザッカーバーグ氏は、Facebookストーリーズに広告が掲載される可能性があると示唆している様子だった。サンドバーグ氏は、「メッセンジャー(Messenger)」でも「期待できる」広告を目にしていると述べている。

新しい収益化方法

サンドバーグ氏が電話会見で述べたように、Facebookでの広告活動は変化しないし、おそらくサブスクリプションが将来導入されることもないだろう。

「サブスクリプションなど、数多いほかの形のマネタイゼーションについて、確かに考えてきた。我々の前には多くの道がある」と、サンドバーグ氏は語る。

サンドバーグ氏が指摘したように、すべてのFacebookページに広告主がいるわけではなく、すべての広告主がFacebookやインスタグラム、メッセンジャーで広告料を支払っているわけではない。それが変化する可能性もある。

もちろん、Facebookが将来に向けて計画してきた製品は、それだけではない。ザッカーバーグ氏は拡張現実(AR)や仮想現実(VR)に言及した。

「(VRが)いつ重要な製品になるかはわからない。現実には、力をつけるために、VRが重要になる前に投資が必要だと思う」。

Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)