Facebookはスローテンポな展開を見せていたFacebookとインスタグラムのショッピング機能を急速にアップデートし、次々に正式版を発表している。マーチャントであるブランドにとっての欠点に対処し、Facebookのソーシャルチャンネルを通じて売り上げを伸ばそうとする企業により利用してもらうことが狙いだ。
先日Facebookは、ゆっくりとした展開を見せているFacebookとインスタグラムの両方のプラットフォームにおけるショッピング機能にアップデートを加えたと発表した。今回の改善によって、ブランドにとっての欠点に対処し、Facebookのソーシャルチャンネルを通じて売り上げを伸ばそうとする企業により利用してもらうことが狙いだ。
発表された中でもすぐに影響のある大きなものは、7月にリリースされたインスタグラムの「ショップ(Shop)」のFacebook版とも言えるFacebookショップ(Facebook Shop)の新機能だ。新しいブランドやプロダクトを発見し、アプリ内で購入してもらうことを目的とされたこの機能は、各Facebookショップからユーザーひとり一人に最適なプロダクトを提案するもので、β版が8月25日から公開されている。
一大ショッピングプラットフォームに
Facebookのプロダクト・マネージメント部門ディレクターであるジョージ・リー氏はFacebookの大きなユーザーコミュニティを根拠に(Facebookのユーザー数は統計データプラットフォーム、スタティスタ[Statista]の7月時点のデータによると26億人、インスタグラムでは10億人だ)、Facebookショップの機能がほかにはないユニークものになると予測している。「我々には非常に多様性に富んだ、マーケットプレイス(のような場所)がある」と彼は述べ、ファッションやビューティ、ウェルネスなど特定のカテゴリーに人気が集中するインスタグラムと対比する。
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それに加えて、インスタグラムチェックアウト(Instagram Checkout)もβ版から正式版へと「数週間以内に」展開する準備をしているとの声明も発表された。Facebookコマースマネージャー(Facebook Commerce Manager)、ショッピファイ(Shopify)、ビッグコマース(BigCommerce)、そしてFacebookショップを利用しているブランドたちは利用できる予定だ。Facebookの発表によると、今後対応するプラットフォームパートナーの数は増やすとのことだ。取引とバイヤーの保護のための、1配送につき5%の販売手数料は今年末までは免除される。
インスタグラムのプロダクト部門バイスプレジデントであるヴィシャール・シャー氏は現在のインスタグラムチェックアウトがβ版であることから、取引関連のデータを公表することを拒否した。
もうひとつローンチされるのがインスタグラムライブショッピング(Instagram Live Shopping)だ。ライブストリーミング中にブランドがプロダクトを販売することを可能にするこの機能は、チェックアウトの正式ローンチとほぼ同じ時期に展開されるという。「(ライブストリーミングをしながらのショッピングは)世界中で成長を確認している(消費者)行動であることは明らかで、アメリカのようなマーケットではまだ成長が始まったばかりだ」とシャー氏は言う。
「店舗」としての機能拡充を図る
β版として5月にローンチされたFacebookショップは、ブランドがFacebookとインスタグラムからアクセスできる店舗をオープンするものだ。今後数週間でFacebookはショップ機能をすべてのビジネスアカウントが使えるようにする予定だ。それに加えて、コマースマネージャー経由で新しいカスタマイズオプション、新しいメッセージ機能、そしてデータの分析・シェアを通じてインサイトを得られる機能が加えられる。
「これまではマーチャントが自分たちのアクションにつなげられるような形でのデータ提供はできていなかった。いくつものデータを共有することと、プロダクト変更の判断をできるようなデータ(ショップの見た目や構成など)を見せることは別だ」とリー氏は言う。「新しいインサイトのほとんどは店舗のパフォーマンスが中心に据えられている。結局のところマーチャントが知りたいのは、『ユーザーに実際に使ってもらうためには、どのように店をレイアウトすればいいのか』という点だ」。
追加されたカスタマイズオプションには、新しいレイアウトデザインも含まれる。ブランドたちが自分たちのオンライン店舗をどのような外観にするか、コントロールできる度合いが高まっている。また、メッセージ機能はカスタマーサービスとして使える。ショップのユーザーたちはメッセンジャー(Messenger)、ワッツアップ(WhatsApp)、もしくはインスタグラムダイレクト(Instagram Direct)を使って店舗にダイレクトメッセージを送ることができる。
[原文:Facebook aims to answer brand pain points with ‘data that’s actionable for merchants’]
JILL MANOFF(翻訳:塚本 紺、編集:分島 翔平)