Facebook 広告ツールがダウン、そのときバイヤーらは?:米中間選挙直前に大規模障害が発生

10月29日の午後、W2PYのデジタル戦略責任者であるアマンダ・オーソン氏は、悪夢のような経験に見舞われた。Facebook Ads Managerがダウンしたのだ。

ペンシルベニア州ランカスターに拠点を置く小規模エージェンシーで、政治家たちの広告キャンペーンを担当するオーソン氏にとって、中間選挙の1週間前に広告キャンペーンのパフォーマンスにアクセスできなくなるのは、致命的だった。

米国東部時間のこの日の正午ごろから、彼女は自分が担当する広告に何が起きているか、一切の情報を得られなくなった。

Facebook Ads Managerの画面は、彼女が米国東部時間16:40に送った、下のスクリーンショットのとおりの状態に陥った。

 

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アマンダ・オーソン氏による、10月29日のFacebook Ads Managerのスクリーンショット

 

「パニック状態だ。ゴールラインにこんなに近づいてから状況を把握できなくなるなんて、考えられない。今夜まで試してみて、もし復旧しなければ、予算を他のプロジェクトに再配分するほかない」と、同氏は語った。

いらだちのTwitter投稿

障害に巻き込まれたのは、オーソン氏だけではなかった。同じくFacebookで政治キャンペーンを展開している、PNCのデジタルディレクターのブライアン・ヤング氏は、以下のようにいらだちをツイートした。

 


Brian
@BYoungMedia
Facebook Ads Managerに大規模障害が発生しているか知りたくてTwitterを見ている人へ。発生中です。またしても。しかも中間選挙の8日前に。一体どうなってるんだ?

 

オーソン氏は、10月29日のダウンは一時的なもので、まもなく復旧すると、Facebookの担当者から聞かされたという。オーソン氏の場合、復旧は米国東部時間の20:00ごろで、アクセスできなかったのは約8時間だった。ヤング氏は、約6時間後にはFacebook Ads Managerに再びアクセスできるようになったと話す。Facebookの広報担当者が米DIGIDAYに語ったところによれば、Facebookはこの問題について、10月26日(米国時間)に投稿されたマーク・ラブキン氏(広告・ビジネスプラットフォーム担当バイスプレジデント)のツイート以外に、公式コメントを発表する予定はないという。

バイヤーにとってのFacebook

この日のダウンは記憶にあるかぎり最長だったが、Facebookの広告管理ツールが不安定なのは日常茶飯事だと、メディアバイヤーは話す。

ソーシャルアウトフィッター(Social Outfitter)の広告ディレクター、デビッド・ハーマン氏は、過去1カ月間、同ツールは少なくとも週に1度は数時間にわたって利用できなくなったと話す。彼はまた、システム内部のいくつかのツールについても懸念を示した。たとえば、取材の前の週には、値の最適化ツールを使った最低落札価格の設定ができなくなったという。

言うまでもないが、他のセルフサービス広告プラットフォームもそれぞれ問題を抱えている(Googleツールについては信頼性に疑いの声があがっている)。けれども、さまざまなデジタルプラットフォームを扱うメディアバイヤーに言わせれば、Facebookのシステムほどイライラさせられるものはない。クライアントがFacebook広告に大金をつぎ込むなか、彼らが特に懸念しているのは、その不安定さだ。

「バイヤーにとって、Facebookはますますストレスの溜まる環境になってきている。サイトは落ちる、オークションは不安定、公開ボタンが機能するかは運任せだ」と、B2Bクライアントを手がけるデジタルマーケターのベッツィー・ハインドマン氏は語る。「巨大企業の仕事とは思えない不安定さだ」。

エージェンシーたちの対応

バンクーバーに拠点を置くエージェンシー、テイク・サム・リスク(Take Some Risk)の創業者で、戦略責任者でもあるデュアン・ブラウン氏は、空白のスクリーンが表示され、プラットフォーム上で何もできなくなったのは今回の障害がはじめてだと話す。だが、彼がFacebookで直面したトラブルは、これ以外にも枚挙にいとまがない。

「Googleのプラットフォームなら、ときどき5分ほどダウンすることはあっても、数時間ずっと何もできず、まるで先が見えないようなことはありえない。ここ数年、わたしはFacebookで、広告やキャンペーンをアップロードできない問題に何度も見舞われた。そんなときは、1時間後にリトライすればうまくいった」と、ブラウン氏は語った。

Facebook Ads Managerがダウンしたとき、メディアバイヤーたちはただ手をこまねいて復旧を待っていたわけではない。すぐさまTwitterやFacebookグループをチェックして、障害が自分たちだけなのかどうかを確かめた。ブラウン氏は、クライアントに連絡し、Googleのシステムで同クライアントの他の仕事をこなしたり、メールを返したり、長期的プロジェクトを進めたりして過ごした。

「以前務めたエージェンシーでは、何時間もネットに繋がらないことがしょっちゅうあった。代わりの仕事はいくらでもある。Facebook専門のエージェンシーなら話は別だが」と、ブラウン氏はいう。

他に予算は振り分けない

ブラウン氏は、こうした事態が起きたときでも、ふつう予算を他の仕事に振り分けることはしないという。それも問題が続く一因かもしれない。

「ほとんどのプロジェクトはぎりぎりの予算でやっている。そのため、復旧したらどれだけの損失が生じたかを計算し、埋め合わせなくてはならない。責任はすべて我々にあり、Facebookに負わせることはできない。今回の失態については、広告クレジットによる補償を得られるかどうか、Facebookに問い合わせるつもりだ」と、ハーマン氏は語った。

エージェンシーには他のプラットフォームも他の仕事もあるとはいえ、Facebookがダウンしたままなのは気がかりだ。デジタルエージェンシーのジュース(Juice)の共同創業者であるトロイ・オシノフ氏は、短時間のダウンは重大な懸念事項ではないが、今回のような長時間のものは、かかった費用と結果が見られなくなるので問題だと話す。

「デジタルマーケティングの利点は、フィードバックを即座に得られ、迅速に回答できることにある。フィードバックが途絶えてしまえば、優位性も失われる」と、オシノフ氏は語る。

Facebookのシステムがダウンしたとき、オシノフ氏のチームはShopifyやGoogle Analyticsなど他のプラットフォームをモニターし、トラフィックとコンバージョンの測定を行った。それぞれのプラットフォームは異なる目的を果たしているので、トラブルの直後に予算の再配分をすることは通常ないと、同氏はいう。

Facebook側の対応

ハーマン氏は、全クライアントにメールを送り、プラットフォーム上で一切の変更ができない状態であること、Facebookから復旧連絡があり次第アップデート作業を行うことを伝えた。「クライアントの返答はFacebookへの悪態だけだった。問題は、多くのブランドがGoogleを離れてしまったことだ。彼らはFacebookに依存している」と、同氏は語る。

Facebookは、Googleに次ぐデジタル広告業界第二の巨大勢力であり、プラットフォームの不具合は経営問題に発展しかねない。しかもFacebookは、問題を把握しきれていない節がある。ハーマン氏は、Facebookツールへの不満をよくTwitterで表出しているが、Facebookの広告担当チームの多くが彼のアカウントをフォローしているという。

Facebookの広告担当バイスプレジデントを務めるロブ・ゴールドマン氏や、プロダクトディレクターのロブ・レザーン氏は、バイヤーとのやりとりにTwitterを活用している。


Jordan Mock
@returnofthemoc
@Facebook Ads Managerがダウンしたことで、デジタルマーケターのあいだでパニックが広がっている…

 

Rob Leathern
@robleathern
申し訳ありませんでした。この問題は現在は解決済みです。

 

Mark Rabkin
@mrabkin
Ads Managerの問題は解決されました。この件でご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。

ハーマン氏によれば、彼のチームはFacebookの開発者チームとともに非公開のFacebookグループにも参加しているという。

「彼らはきわめて迅速に我々にコンタクトしてきた。少なくとも、我々バイヤーが直面している問題を認めたわけだ。おそらく、内部で何らかの動きがあったのだろう」と、ハーマン氏は語った。

Kerry Flynn(原文 / 訳:ガリレオ)