「ストリーミング動画サービス」の進化を示す 4つのグラフ

巨額のコンテンツ予算を持つプラットフォーム向けに、テレビ番組のようなコンテンツを制作するメディア企業が増えてきた。それにつれて、オーバー・ザ・トップ(以下、OTT)ビデオ市場は、動画視聴の新たな場として拡大を続けている。

視聴料や広告料を資金源にしたビデオ・オンデマンド・サービスには健全な収入見通しがある。だが、メディア企業は、雑然とした情勢のなかで自社の動画を見てもらうのに苦戦しているようだ。

OTT市場の現状を表す4つのグラフを紹介しよう。

混み合った市場の成長を妨げるNetflix

2017年にはソーシャルメディア企業が、Netflix(ネットフリックス)のようなマスマーケットプラットフォームやスカイ(Sky)やHBOのような伝統あるケーブルテレビ局をOTTエコシステムに加えた。質の高いコンテンツに投資するプラットフォームは、視聴者を獲得するうえで優位に立つ。なかでも年間予算に関してはNetflixが依然として王座についている。動画に野心を抱くパブリッシャーにとって、80億ドル(約8500億円)にものぼるNetflixの2018年のコンテンツ予算は魅力的だ。

ジュニパーリサーチ(Juniper Research)の最新報告によると、NetflixやAmazonのビジネスはすでに、スカイやHBOのような有料TVに加え、英国のBBCやITV、米国のCBSといった無料TV放送さえ凌駕している。さらに、Facebookは、オリジナル動画を見られるWatchタブ向けに30分のプレミアムコンテンツを制作するプロバイダーに最高300万ドル(約3.1億円)を支払うことを示唆しているし、Appleも2018年には少なくとも10個のオリジナル新作シリーズを追加する予定だという。

オリジナル番組の年間予算

オリジナル番組の予算以外に、AmazonやFacebookが英プレミアリーグの放送権パッケージの入札に参加するという噂が何カ月も前からある。いまのところFacebookよりAmazonのほうが、参加する可能性が高いようだ。スカイやBTはすでに、7つの国際放映権パッケージのうちの5つに対して、合わせて63億ドル(約6680億円)を支払っている。ウィー・アー・ソーシャル・スポーツ(We Are Social Sport)のディレクター、ジョー・ウェストン氏は次のように述べる。「Facebookは、それが戦略的に重要だと思ったら、これまで金を出し惜しんだことはない。最終的にはタイミングの問題だと思う。Facebookは、まだその用意ができていないのだろう」。

Netflixのフランス問題

Netflixがすべての国を手中に収めているわけではない。メディア解析企業アンペア・アナリシス(Ampere Analysis)が調査をした14カ国のうち、フランスは、有料テレビの契約数がもっとも多い国のひとつであるにもかかわらず、ビデオ・オンデマンド・サービスの視聴契約率は一番低い。

少なくともひとつはビデオ・オンデマンド・サービスと契約しているインターネットユーザー

フランスのインターネットユーザーは、サブスクリプション型ビデオ・オンデマンドより有料テレビを好む人が倍以上いる。それに対し米国では、サブスクリプション型ビデオ・オンデマンド・サービスを視聴している人が72%で、有料テレビを視聴しているのが71%だ。英国の場合は67%が有料テレビと、58%がサブスクリプション型ビデオ・オンデマンド・サービスと契約している。

Netflixはフランスでももっとも人気のあるサブスクリプション型ビデオ・オンデマンド・サービスであり、Amazon、キャナルプレイ(CanalPlay)、SFRプレイ(SFR Play)がこれに続いている。サブスクリプション型ビデオ・オンデマンド・サービスは若い世代の視聴者に人気があり、フランスの18~24歳のユーザー層の61%がひとつは契約している。

アンペア・アナリシスのディレクターであるリチャード・ブロートン氏は、フランスで有料テレビが多い理由には、フランスで制作したコンテンツの割合が高いことを求める地元の厳しい規制、フランスのテレビ局によるネット接続できる高機能なセットトップボックスの積極的な販売、英語ではなくフランス語によるコンテンツへの需要などがある、と説明する。

OTTの売り上げは2022年までに有料テレビの半分に達する

OTTの売り上げは、広告主導のビデオ・オンデマンド、ペイパービューやサブスクリプション型のビデオ・オンデマンドも含んでいるが、2016年の370億ドル(約3.9兆円)から5年で834億ドル(約8.8兆円)にまで増加し、テレビおよび動画の市場は2022年までに2830億ドル(約30兆円)にも達するだろうと、デジタル・テレビ・リサーチ(Digital TV Research)の報告書には書かれている。

同じ期間中、有料テレビの売り上げは減少するが、減少幅は小さいだろう。サブスクリプションはOTTの収益化にとってもっとも安定した未来だが、OTTの広告売り上げを追い抜くほどになるまでには、まだ時間がかかりそうだ。

有料テレビとOTTの売り上げ比較

最大の課題はオーディエンスリーチと見つけやすさ

米DIGIDAYの調査によると、OTTコンテンツを制作しようと思っているパブリッシャーには3つの大きな課題がある。ロイヤルティを持つ新しいオーディエンスの獲得、コンテンツのディスカバラビリティー(見つけやすさ)、収益化だ。メインプレイヤーから健全な資金を得ているとはいえ、ユーザー獲得競争は熾烈を極めている。米国だけでもOTTプロバイダーは200以上あり、オーディエンスもまた、移り気なもので、数が限定されたサービスに対して料金を払うことにのみ満足するものだ。

OTTプラットフォーム向けコンテンツ制作における最大の課題の課題は?

オーディエンスリーチの確立 / プラットフォーム上でのコンテンツの発見 / 収益化に向けての努力 / コンテンツ制作 / 信頼できるオーディエンス計測 / その他

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)