TikTok 運営企業、バイトダンス で知っとくべきことすべて

短いフォーマット動画のセンセーションを巻き起こしたTikTok(ティックトック)を所有する北京ベース企業バイトダンス(字節跳動)。世界でもっとも価値があるスタートアップと言われる彼らが株式上場するという噂が流れた78億ドル(約8500億円)の価値がつけられているバイトダンスは、すぐにこの噂を否定している。

上場するかしないかに限らず、いまのところTikTokに注意を向けていないマーケターやパブリッシャーたちは、バイトダンスに注目をする必要がある。以下、重要なポイントをまとめた。

バイトダンスの機能

バイトダンスは2012年3月にチャン・イーミン氏によって操業された。いまではエンターテイメントを提供するモバイル向けアプリの数々で知られている。彼らはアリババ(阿里巴巴)、バイドゥ(百度)、そしてテンセント(腾讯)と言った中国の大手テック企業と真っ向から競合している。

彼らが現在所有するアプリにはTikTok以外にも、インドのソーシャルメディアアプリであるヘロー(Helo)、元ヒップスター(Hypstar)であるヴィゴビデオ(Vigo Video)、中国版TikTokのドウイン(抖音)、インドネシアのニュースコンテンツアプリであるベイブ(Babe)、中国向け短尺フォーマット動画アプリであるフオシャン(火山)がある。

バイトダンスによる最初のプロダクトであるトウティアオまたはジンリ・トウティアオ(今日头条)は、中国でもっとも人気のAIによるニュース・アグリゲーターだ。アイリサーチ(iResearch)によると、2018年11月までに2億4000万のユニークデバイスにインストールされたという。

初期に開発されたアプリにはネイハン・ディアンチー(Neihan Dianzi)もある。ユーザーたちは動画やミーム、テキスト経由でジョークをシェアするというものだったが、2018年の中国政府の検閲によって閉鎖された。バイトダンスはまた、ソフトバンク(SoftBank)、セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)と言ったベンチャーキャピタル業界における大手の資金も受けている。

なぜこれが重要か?

バイトダンスや、アリババ、バイドゥ、そしてテンセントと言ったその競合他社たちは、世界第2番目に大きい経済圏において、GoogleやFacebook、Amazonと言ったグローバルプラットフォーム企業との競争なしに展開されている。

ロイター(Reuters)によると、バイトダンスの価値は78億ドル。今年前半だけで収益は70億ドル(約7640億円)以上を生み出している。バイドゥの企業時価総額は366億ドル(約3.99兆円)で、アリババは4587億ドル(約50兆円)。そしてテンセントは時価総額が3845億ドル(約41.9兆円)となっている。比較対象として、Googleの時価総額は8745億ドル(約954兆円)だが、これまで中国でビジネスをやるにあたり多くの課題を抱えてきた。

しかしTikTokの人気が証明しているように、バイトダンスのような企業はコンシューマーアプリ分野を牽引している。特にモバイルにおけるソーシャルコマースが圧倒的な幅を利かせている中国で顕著だ。このリーチはいま、中国の外へと伸びつつあり、ほかの企業たちも見習いつつあるのだ。

10月前半、Googleが短い動画フォーマットのアプリであるファイヤーワーク(Firework)を買収検討しているという報道がなされた。まさにTikTokがグローバル規模で人気に火をつけた動画フォーマットにGoogleが興味を示した形だ。

その他のテックプラットフォームと同様に、バイトダンスの収益の中心は広告だ。しかし、彼らが抱えるアプリのなかでも、もっとも人気があるアプリのひとつであるTikTokに関しては、広告セールスと戦略を固める初期段階にある。

なぜ誰もがTikTokにフォーカスするのか?

中国ではドウインという名で知られるTikTokは、2018年に米国でもローンチされた。ミュージカリー(Musical.ly.)を買収し、TikTokと統合したあとでのことだ。ラルフローレン(Ralph Lauren)やチポートレイ(Chipotle)といったブランドや、コンプレックス(Complex)、バイス(Vice)といったパブリッシャーが流れ込んだことで、人気はうなぎ上りとなった。

以前のSnapchat(スナップチャット)がそうであったように、TikTokは若いオーディエンスのあいだで人気を集めている。流出した2019年6月の広告売り込みスライドによると、TikTokユーザーの大部分(69%)はZ世代(16歳から24歳)で、25%は25歳以上となっている。過半数のユーザーが女性(60%)である。アメリカにおいては、TikTokの月間アクティブユーザー数は3000万人、彼らは平均して1日に46分をアプリ上で費やしている。グローバルでは、月間アクティブユーザーの数は8億人であり、うち5億人が中国である。

しかし、センサータワー(Sensor Tower)によると、第3四半期において、グローバル・ダウンロード数で4%の減少を見せた。それでも1億7700万回ダウンロードで世界第2位を依然として誇っている。ちなみに1位はワッツアップ(WhatsApp)の1億8300万回だ。

米DIGIDAYが先日報じたところでは、バイトダンスは米国の広告部門を拡大して需要に対応する必要があると、メディアバイヤーたちは言っている。そんななか、TikTokは広告主への売り込みをより主体的にはじめようとしているところだ。

TikTok上で広告を流しはじめたメディアバイヤーたちがいる。ハーマンデジタル(Herrmann Digital)のプレジデントであるデーヴィッド・ハーマン氏は、TikTokの広告はSnapchatのような、ほかの成熟したプラットフォームと比べて「非常に異なるパフォーンマンスを見せる」と述べた。「いまはダイレクトなレスポンスではない。(TikTokでは)認知度を高めるのが目的で、Snapchatではコンバージョンを高めるのが目的と言った具合だ。私はまだ、(SnapchatとTikTokは)共存できると完全に信じている。TikTokは確実に重要なプレイヤーだが、まだ道のりは長い」。

現時点でTikTokはクリエイターマーケットプレイス(Creator Marketplace)をβテスト中だ。ブランド、エージェンシー、そしてマーケターたちがTikTokにおける影響力の大きなクリエイターを見つけ、繋がるためのプラットフォームとなる。

しかし、TikTok上でコンテンツを制作して、そこからパブリッシャーが収益を生む方法はまだ存在しない。その一方で、ワシントン・ポスト(The Washington Post)やハースト・マガジンズ(Hearst Magazines)のようなパブリッシャーたちが数多く、プラットフォームに試験的に参入している。

バイトダンスの次のステップは?

最終的に株式上場をするにしてもしないにしても、バイトダンスは現在、グローバルな成長にフォーカスしている。特にアメリカだ。SnapchatやFacebookといった企業から人材をヘッドハンティングしようと、かなり過激な人材獲得の動きを見せている。

そして、以前にも経験しているように、検閲の課題にも取り組んでいる。今回はアメリカの議員たちからだ。アメリカの議員たちはTikTokが集めたユーザーデータについて懸念を示しており、またTikTokのアメリカユーザーによって試聴されるコンテンツを中国政府が検閲しているのかどうかについても思索している。

ほかのプラットフォーム同様、バイトダンスはリーチとプロダクトを多様化させる方法を探っている。CNBCの報道によると、教育関連のハードウェアへと業務拡大を狙っているかもしれないとのことだ。また、音楽ストリーミングやスマートフォン開発にまで業務拡大の意志を見せているという報道もある。

Deanna Ting(原文 / 訳:塚本 紺)