Googleが9月18日に、そのニューヨークオフィスに200人の関係者を招待した目的は、アドフラウド(広告詐欺)の現状と将来について探るというものだった。しかし、この2時間のイベントを通じて、彼らの透明性への取り組みを自画自賛し、そして他社も同様に尽力するべきだと促す形になった。
Googleが9月18日に、そのニューヨークオフィスに200人の関係者を招待した目的は、アドフラウド(広告詐欺)の現状と将来について探るというものだった。Google関連のニュースを発表したり、Googleの業績や取り組みを称賛することではなかったのだ。しかし、この2時間のイベントを通じて、結局は彼らの透明性への取り組みを自画自賛し、そして他社も同様に尽力するべきだと促す形になった。
「(アドフラウド)は全員にとっての問題だ。これには全員で協働する必要がある」と、Googleのプロダクトマネジメント部門ディレクターであるペイヤム・ショジャーイ氏は、イベントのあとに語った。
アドフラウドに対抗するための透明性取り組みが業界で進められるなか、Googleがその点で業界のリーダーであるというアピールが行われているわけだ。しかしGoogleの一般データ保護規則(GDPR)の扱いについてはベンダーたちからの懸念も出されており、ブランドセーフティに関する問題もYouTubeでは依然として存在している。デジタル広告最大のネットワークのひとつであるGoogleだが、アドフラウドはより一層のコミュニケーションと協力を必要とする戦いだと述べている。ショジャーイ氏によると、Googleはアドフラウド対策の専門スタッフとして120人の従業員を抱えている。
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「撃退不可能ではない」
サイバーセキュリティ会社ホワイトオプス(White Ops)と共同開催となった今回のイベントだったが、出席者にはマーケター、エージェンシー、パブリッシャー、広告主が名を連ねていた。「アドフラウド入門」と題されたプレゼンテーションでは、ホワイトオプスの共同ファウンダーであるテイマー・ハッサン氏とマイケル・ティファニー氏はアドフラウド対策はモグラたたきのようでありながらも、撃退が不可能ではないと述べた。彼らの考える解決策とは、詐欺行為の背後に存在しているモチベーションを破壊することだ。
「困難な取り組みであり、長く続く戦いだが、勝つことが不可能な、永遠に続くモグラたたきゲームではない。なぜなら我々は経済面にターゲットすることが可能だからだ。セキュリティのほとんどは、問題の根本であるインセンティブ部分に取り組まない。セキュリティのなかには、ただ保護を目的とする結果、犠牲者が別の人になっていくだけ、というものもある」と、ハッサン氏は言う。
同様にモグラたたきゲームのように描写されるのはフェイクニュースだ。フェイクニュース撲滅に取り組むFacebookは、フェイクニュース拡散をするパブリッシャーたちにとってのインセンティブを排除することでその拡散を防ごうとしている。ショジャーイ氏にとっては、業界全体からの協力が得られない限りはこのモグラたたきゲームが続くという認識だ。ads.txtの普及をGoogleは勧めてきた。エグゼクティブたちは「決定的なボリューム」に普及レベルが達したと語っている。
手の届かない場所
Googleはメディアレーティング協議会(Media Rating Council)による監査であらゆる側面での認証を受ける、もしくは認証プロセスにある唯一のデジタルプラットフォームだ。これは全米広告主協会(Association of National Advertisers、略称ANA)のビル・タッカー氏、アメリカ広告業協会(American Association of Advertising Agencies、略称4As)のルイ・ジョーンズ氏による共同プレゼンテーションのスライドで明らかになった。カテゴリーは、ビューアブル・パイプライン、ベンダーインテグレーション、洗練された無効トラフィック、サードパーティオーディエンス、そしてブランドセーフティだ。
それでも、予測ができない行動の変化や、ads.txtのようなソリューションに対応するのが困難なプラットフォームもある。プログラマティックプラットフォームのアムネット(Amnet)のトレーディング部門グループディレクターであるエミリー・ケネディ氏は、モバイルアプリにおける保護は保証が難しくなっているという。それは、モバイルアプリにおけるads.txtを採用が遅れていることが、原因のひとつだそうだ。
「モバイルアプリはずっと例外のように扱われてきた。データが限られているからだ。多くの広告主にとっては、それらの他の制限が原因で、広告を出したいにも関わらずモバイルアプリでの購入を難しくしている」と、ケネディ氏は言う。
アプリ以外も視野に
Googleのショジャーイ氏のチームは、現在モバイルを最優先に取り組んでいるというが、また他のデジタルプラットフォームにも目を向けているようだ。
「完成に近づいている。すでに存在するアプリストア在庫を活用して、上手くつなげようとしている。その一方でオーディオ、デジタルの屋外におけるコネクテッドTVといった新しいチャンネルもある。マーケット全体にとっては非常に大きな成長分野だが、まず在庫をクリーンにする方法を見極めようとしている」と、ショジャーイ氏は語った。
Kerry Flynn(原文 / 訳:塚本 紺)