直近に行われた買収・採用案件の概要を素早く手短に伝え、業界の最新情報を届けることを目的としているDIGIDAY DealBook。今回のテーマは、GoogleによるYouTube広告枠の開放、Metaのジフィー買収の行き詰まり、イーロン・マスクとTwitter社員の対話などだ。
直近に行われた買収・採用案件の概要を素早く手短に伝え、業界の最新情報を届けることを目的としているDIGIDAY DealBook。今回のテーマは、YouTube広告枠の開放、行き詰まりつつあるMetaのGIF共有サービス買収、イーロン・マスクとTwitter社員が行ったミーティングについてなどだ。
欧州委員会の反トラスト法調査を回避するため、GoogleがYouTubeの広告枠を競合他社に開放する。Googleの親会社アルファベット(Alphabet)が所有するYouTubeはこれまで、すでに同社と提携している企業にしか広告の配信を認めていなかった。今回の変更によって、Googleは欧州連合(EU)の反トラスト法規制当局から罰金を科せられる事態を回避したい考えだ。欧州委員会は昨年、Googleが自社のプラットフォームで競合他社による広告枠の利用やユーザーデータへのアクセスを制限しているどうかの調査に乗り出していた。ただし、Googleがこの調査を免れたいのであれば、YouTubeの広告枠を開放するだけでは済まないことは間違いないだろう。
Meta(メタ)も英国で同じような反トラスト法違反に問われている。Metaがジフィー(GIPHY)の買収に関して行っていた申し立てを、競争審判所が6月14日に棄却したためだ。同審判所は、この買収によってデジタル広告市場に不当な優位性がもたらされるとして、Metaによる6件の申し立てのうち、1件を除くすべてを棄却した。その結果、Metaは2020年5月に4億ドル(当初のレートで約430億円)ともいわれる金額で合意した当初の買収計画を進められずにいる。
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Twitterの買収を表明しているイーロン・マスク氏は6月16日、Twitter社員と1時間にわたるミーティングに臨み、買収に関する質問に答えた。このミーティングの司会を務めたのは、TwitterのCMO、レスリー・バーランド氏だった。マスク氏は、8000人の全従業員が招待されたビデオ会議で、買収の目標は自身のリーダーシップの下で10億人のユーザーを獲得することだと語った。また、アプリでユーザーの関心を維持している企業としてTikTokの名を挙げ、ミーティングのなかで同社を称賛した。この1週間前の時点で、Twitterの株価は38ドル(約5130円)前後だったが、マスク氏は同社のために1株当たり54.20ドル(約7315円)を支払う予定だ。なお、マスク氏が買収契約を破棄した場合には、10億ドル(約1350億円)の債務を同社に対して負うことになる。
その他のニュースは以下のとおり:
- Spotify(スポティファイ)が、AI音声を制作しているテクノロジー企業のソナンティック(Sonantic)を買収した。今回の買収は、音楽やポッドキャストなどのコンテンツライブラリーを拡充するためにSpotifyが行っている継続的な取り組みの一環だ。
- TikTokが、ユーザーのスクリーンタイムを制限する新たな機能を導入すると発表した。この動きは、若いオーディエンスが同社のアプリにのめり込む時間を減らすために打ち出した初めての方策だ。13~17歳のユーザーは、1日のアプリ利用時間が100分を超えると、通知が表示されるようになる。
- Apple TVは、米国のプロサッカーリーグMajor League Soccer(MLS)とESPNの契約が切れる2023年から10年間、MLSの試合を配信する権利を獲得した。試合の配信は、MLSとのサブスクリプション契約に基づいて「Apple TV」経由で行われるという。
- ボックス・メディア(VoxMedia)と東部全米脚本家組合(Writers Guild of America, East)は6月16日、95%の組合員がストライキに参加する見込みになったことを受けて、新たな合意に達した。組合員はこの協定を承認することを投票で決定し、編集スタッフと動画スタッフの福利厚生の確保と賃上げを勝ち取った。
- オンライン小売ファッションプラットフォームのザランド(Zalando)が、ライフスタイル、ファッション、カルチャーに特化したメディアブランドであるハイスノバイエティ(Highsnobiety)の株式の過半数を取得した。ハイスノバイエティは編集上の独立性を保ちつつ、ザランドのクリエイティブコンサルタントとして活動する予定だ。ハイスノバイエティは今回の買収に先立つ5月、将来の小売店の開設を見据えて小売企業のゲーブル・ハイネマン(Gebr Heinemann)と契約を締結していた。
- ビデオレンタル会社のレッドボックス・エンターテインメント(Redbox Entertainment)の株価が、この数週間で大幅な上昇を見せた。専門家のなかには、2021年にゲームストップ(GameStop)の株価が急騰したときのように、レッドボックスの株式を「ミーム株」と呼ぶ者もいる。今回の株価の上昇は、チキン・スープ・フォー・ザ・ソウル・エンターテインメント(Chicken Soup for the Soul Entertainment)がレッドボックスの買収を発表したことがきっかけだった。
- 収益インテリジェンスプラットフォームのシックスセンス(6sense)が、広告テクノロジープロバイダーのグラナイト・メディア(Granite Media)を買収した。シックスセンスとの提携により、グラナイト・メディアは自社の広告ツールを利用する企業に対し、より優れた消費者マーケティングを提供できるようになる。
- マーケティングエージェンシーのホワイト64(WHITE64)が、独立系ブランディング・デジタルスタジオのジェイク・グループ(Jake Group)を買収した。この買収により、ホワイト64はクライアントに対してより高度なデジタルマーケティングを提供できるようになる。ジェイク・グループのスタッフはホワイト64のチームに合流する予定だ。
- ピュブリシス・メディア(Publicis Media)のAPXコンテンツ・ベンチャー(APX Content Ventures)部門が、総額2500万ドル(約33億7400万円)の資金援助プログラム「Inclusion Investment Fund」の援助対象企業を初めて発表した。このプログラムは、ピュブリシスの「ワンス・アンド・フォー・オール・コーリション(Once & For All Coalition)」と呼ばれる資金援助活動の一環で、インクルーシブを推進している10社のパートナーにプロジェクト用の資金を援助するものだ。
Carly Weihe(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:黒田千聖)
Illustrated by Ivy Liu