DAZN 、人気 ユーチューバー 起用で 「若年層」獲得を狙う : ボクシングのスナチャ番組

DAZN(ダゾーン)はボクシングをもう一度メジャーなスポーツにしたいと考えている。そこで頼りにしたのがSnapchat(スナップチャット)とふたりのユーチューバー、ローガン・ポール氏とKSI氏だ。

DAZNは10月28日、11月2日に開催されるプロボクサーのカネロ・アルバレス選手とセルゲイ・コバレフ選手の試合、および11月9日に開催される人気ユーチューバーのローガン・ポール氏とKSI氏の再戦(両氏は2018年8月25日にもボクシングで対戦している)をプロモートする、2本のSnapchat番組のうち最初の1本を公開する(※原文記事は10月28日公開)。

「新しいファンを獲得し、今後予定しているすばらしい(試合の)スケジュールだけでなく、カネロやローガンのようなスターの存在を知ってもらいたい。それを実現してくれるのがSnapchatだ」と、DAZNのデジタル部門を統括するスティーブ・ブラバンド氏は言う。

Snapchatのセルフサービス型の広告バイイングツールによると、このアプリでボクシングとレスリングを観戦する米国のファンは、月間1030万人から1070万人にのぼるという。

とりわけ、ポール対KSIの試合は、両者のユーチューバーとしての人気を考えると、DAZNの加入者を増やす潜在力を持っている。ワシントン・ポスト紙によると、昨年YouTubeで配信された2人の最初の試合は、10ドル(約1080円)の観戦料で110万人のオーディエンスを集めた。

DAZNのSnapchat番組

DAZNの最初のSnapchat番組は「DAZNファイトウィーク(DAZN Fight Week)」と称し、月曜から金曜の配信で、過去の試合のハイライトに加え、土曜日の対戦に備える選手たちの舞台裏を伝える。うち3本は、DAZNとレブロン・ジェームズ氏のメディア会社アンインタラプテッド(Uninterrupted)が共同で制作し、10月22日にYouTubeで配信したドキュメンタリーシリーズ「40デイズ:カネロ対コバレフ(40 Days: Canelo vs. Kovalev)」をSnapchat向けに編集して使用する。また、ポール対KSIの試合前にも同様の番組を配信する予定という。

ブラバンド氏によると、「40デイズ」のSnapchatバージョンに関しては、アプリ側のアドバイスにしたがって、10分程度のオリジナルを4~5分にカットするという。氏は以前、ESPNの「スポーツセンター(SportsCenter)」のSnapchatバージョンを担当していた。さらに、横長の映像を縦型に構成しなおし、複数の画像を並べて表示するマルチボックスフォーマットを採用する。ブラバンド氏によると、このようなフォーマットを活用することにより、「もっと身近に試合を体験できる」という。

DAZNの2番目のSnapchat番組は「DAZNファイトナイト」と称し、11月2日にオンエア予定で、対戦中にそのハイライトをライブ配信する。この番組を制作するにあたり、DAZNはソーシャル部門のスタッフを試合会場に配置して、直接映像を撮らせるという。また、同行するニューヨークのチームは、ブロードキャスト用のフィードから必要な映像を切り取り、「DAZNファイトナイト」のハイライト用に編集しなおす作業を担当する。

番組収益は両社折半で

Snapchatの運営会社スナップ(Snap)は、DAZNに番組の制作料を支払っていない。代わりに、両者ともにこの番組の広告を販売し、その収益を折半する。

月額20ドル(約2170円)または年額100ドル(約1万800円)を支払って試合を観戦する有料会員を獲得できれば、DAZNはSnapchatの番組からもっと稼ぐことができるはずだ。このような番組を制作する意味もまさにそこにある。

Snapchatの番組から直接DAZNに加入させるのは難しいかもしれない。スナップの広報担当によれば、企業が自社のエディトリアルコンテンツ内にリンクを張ることはできない。一方、Snapchatの広告を購入し、DAZNのチャンネルを視聴したことのある人にリターゲティングすることは可能だ。

DAZNの広報担当者は具体的な有料会員数、売上および利益は明かさなかったが、フォーブス(Forbes)の推定では、DAZNの有料会員は400万人を超える。また、フィアスビデオ(FierceVideo)によると、DAZNの北米担当EVP(エグゼクティブバイスプレジデント)ジョー・マコウスキー氏もこの5月に400万という数字を肯定している。

有料会員獲得への影響

DAZNがSnapchatの番組から見込める有料会員の数は、無料お試し期間の提供を停止するという決定によって頭打ちになるかもしれないが、それは必ずしも悪いことではない。フォックススポーツ(Fox Sports)の元幹部で、クレイクスメディアコンサルティングのプリンシパルを務めるパトリック・クレイクス氏によると、無料トライアルを提供するより課金するほうが、ユーザーは情報に基づく自発的な意志決定をせざるを得ず、短期間での解約を減らすことにもつながるという。

さらに、11月のふたつの試合で獲得した新規の有料会員が、12月の試合を待たずに解約するとしても、アルバレス選手の次の試合のときに、彼らが再び加入する見込みは十分にある。「カネロが年に2~3回対戦すれば、それで40ドル(約4340円)から60ドル(約6510円)が入ってくる。課金しなければ得られない収入だ」と、クレイクス氏は言った。

Tim Peterson(原文 / 訳:英じゅんこ)