ティモシー・アルモー氏が立ち上げたファンバイツは、ブランドとソーシャルメディア上のインフルエンサーをつなげるプラットフォームだ。立ち上げから1年、21歳のアルモー氏は、ブラジルのサッカー選手ロナウジーニョ氏、ディズニー、アディダスといったクライアントを抱えている。会社は2016年、数億円規模の収益をあげることが予想されているという。
英DIGIDAYでは、アルモー氏の最近の1日を紹介してくれるようにお願いした。本記事は、そこからの抜粋である。読みやすさのために、若干の編集をしてある。
ティモシー・アルモー氏は、15才のいとこがイギリス人のユーチューバーKSIに影響されて、靴や服や帽子を買い込むのを見て、ファンバイツ(Fanbytes)を立ち上げた。
ファンバイツは、ブランドとソーシャルメディア上のインフルエンサーをつなげるプラットフォームだ。立ち上げから1年、21歳のアルモー氏は、ブラジルのサッカー選手ロナウジーニョ氏、ディズニー、アディダスといったクライアントを抱えている。会社は2016年、数億円規模の収益をあげることが予想されているという。
いくつかのクライアントにとって、アルモー氏の会社は、エージェンシーのような働きが強くなっている。クライアントのメッセージを上手く増幅してくれる、適切なインフルエンサーとマッチングさせ、コンテンツ制作に一緒に取り組んでくれるからだ。
Advertisement
「インフルエンサーたちは、(ブランドの)オーディエンスにマーケティングできる、もうひとつのチャンネルに過ぎない」と、彼は言う。「コンテンツが非常に重要な役割を果たすというが、私はそれを信じていない。人々がコンテンツについてベラベラと話し続けるのは、追加料金を請求できるからだ。マーケターたちは、FacebookやTwitterと同じように、インフルエンサーマーケティングも捉えるべきだろう。ただのひとつのチャンネルだっていうことだ」。
英DIGIDAYでは、アルモー氏の最近の1日を紹介してくれるようにお願いした。以下は、そこからの抜粋である。読みやすさのために、若干の編集をしてある。
◆ ◆ ◆

21才のティム・アルモー氏「インフルエンサーはただのチャンネルに過ぎない」。
7:00 am 起床。TVドラマ「ビープ(Veep)」を観ながらボール一杯のシリアルを食べる。
8:00 am ロンドンのウォーレン通りのオフィスに向かう。今日は自転車で通勤した。オフィスの近くに住んでいるので、着いたときには受け取ったメールをザッと見る時間が少しあった。
9:00 am 最近のキャンペーンの成果を見るためにチーム全員参加のミーティング。イギリス軍のためのコンテンツキャンペーンを制作中で、これは10月に公開される。このキャンペーンの目標はあまり暴力的に映らない形で、若い男性をリクルートすることだ。
またミーティングでは、アプリ「チューンモジ(Tunemoji)」のために制作したキャンペーンが、うまくいったことが分かった。このアプリではメッセージを音楽に載せて届けることができる。このアプリのコンテンツキャンペーンをインフルエンサーたちと一緒にSnapchat(スナップチャット)やYouTube上で行ったおかげで、アプリストアでは16時間連続でトレンドとなっている。
10:00 am この日最初の(クライアントとの)ミーティング。とあるメディアエージェンシーが、彼らのキャンペーンをさらに増強するためにボクらのソフトウェアを使いたいとのことだった。このツールを使うと、より多くのSnapchatのアナリティクスが得られるところが、売りのひとつとなっている。
このソフトウェア、ビュー数はもちろん、リテンション率もトラッキング可能だ。そして、Snapchatキャンペーンをプログラマティックに購入できる。Snapchatはクローズドなネットワークなので、アナリティクスの側面をすごく気に入ってくれて、2カ月のキャンペーン契約を結んだ。
11:00 am プロダクトチームとのミーティング。ちょうど、新しいプログラマーであるルカを雇ったばかりだ。なんと、ルカは15才なんだ。これによって、チームのスタッフ数が3人になる。いまのところだけでも、ルカはサイトをデザインし直して、インフルエンサーカルキュレーターを作ってくれた。クラウト(Klout)のインフルエンサー版のようなものだ。自分が15才のときは何をしてたかって考えると驚くよ。
11:30 am キャンペーン増強のために、Snapchatインフルエンサーたちがどのような役割を担っているかについて、ブログに書いて投稿する。単語をひとつ書くたびにスペル間違いをするから、いつもよりも時間がかかってしまう。カフェインのせいだ。
12:00 pm 投資家たちとのミーティング。最新の月間成績を彼らへアップデートする。リピーターによって収益は上昇しているけど、Twitterインフルエンサーはそれほど使えてもらえていないみたいだ。ボクらのメインのプラットフォームは、SnapchatとYouTubeということにしている。このふたつに一番のチャンスがあると睨んでいるからだ。
でも、ブランドが簡単にニッチなページをターゲットにできるようにTwitterに関しても開発してきた。たとえば10代の女の子向けファッションアプリが、テイラー・スウィフト関連のTwitterページをターゲットにするという感じだ。
1:00 pm チームと一緒にランチを取る。今日はルカが何を注文するか決める日だった。彼が選んだのはブリトーだった。良いチョイスだよ、ルカ!
1:45 pm Twitterの機能に加える最新の変更について、プロダクトチームと話をする。主な狙いは、キャンペーンをはじめる前から、ユーザーの使用感をもっとシンプルにしたいと思っているんだ。
2:00 pm 長期的なクライアントと営業電話。学校が休みになるので、夏のあいだは若いオーディエンスをターゲットにするのに、すごく良い時期なんだ。だからボクらのキャンペーンも伸びている。
2:30 pm ソフトドリンク会社と、子どもたちにちゃんと水分補給させることの重要さをどうやって伝えるかについての話し合い。十代の女の子にリーチするためにSnapchatが最適なプラットフォームだということに落ち着いた。暑さを乗り切るために何ができるかについて、メッセージを届けることになりそうだ。
3:00 pm サッカー選手のロナウジーニョ氏と、彼のエージェントと、キャンペーンについて話し合い。彼のゴールドのミニセグウェイを世界規模のオーディエンスにプロモーションするキャンペーンのときに、彼とは一緒に働いたことがある。そのときは、YouTubeのフリースタイルサッカー選手であるキーラン・ブラウン氏を起用した。
いまや、そのビデオは250万回の再生回数を越えて、製品も完売になった。ロナウジーニョ氏は、すでにディストリビューションを抑えていたから、コンテンツをぶっ飛んだものを作りさえすれば、うまく行くことは分かっていた。
彼は、また何かをやりたいということだった。私が、ロドリゴ氏と話すと、彼がロナウジーニョ氏の兄弟に通訳して、それから彼らがロナウジーニョ氏に通訳するんだ。シュールだよ。
4:00 pm アールズ・コートの小さなバーでジャーナリストと会う。私たちのセルフサービス機能について説明をするためだ。彼は興味を持ってくれて、プラットフォームをその場で使ってみたかったんだけど、Wi-Fiが切れてしまって、プラットフォームは動かなかった。残念! これは埋め合わせをちゃんとしないといけない。
5:00 pm オフィスに戻り、営業担当たちと会って、どんな感じかを聞く。良い日は92件ほどコンタクトが取れて、そのうちの15件くらいが実際の仕事か何かに繋がる。
6:00 pm 今晩は業界イベントで「嘘なし赤裸々なインフルエンサーマーケティングガイド」という講演をした。インフルエンサーマーケティングはまだまだ新しい分野だ。フォロワー数で値段を決めるというのは本当にありえない詐欺だ。質疑応答はなかなか盛り上がった。年配の観客からは年配のオーディエンスにも有効かどうか質問が出た。私は「まだ21才なので40才にどうやってマーケティングするかは解りません」と言ったら笑ってたよ。講演は上手く行ったみたいだ。
8:00 pm Uberに乗ってメールに返事をしながら家に帰る。Snapchatでのキャンペーンにすごく興味を持ってくれたクライアントがいて、デモを試してみたいと言ってきた。タクシーに乗りながらデモを見せたんだけど。これは、いままで自分が行ったセールス・デモのなかでも、かなり変わった状況だったな。
9:00 pm Ruby on Railsとバックエンドで使われるプログラミング言語をもっと磨きたいと思っているんだ。自分の開発チームがやっていることを、完璧には自分が理解できていないのがすごく嫌だから。
10:00 pm 読書。今週の1冊はフィル・ナイトの『シュー・ドッグ』。フィル・ナイトはナイキを創立した男だ。面白い話に違いない。
12:00 am 明日の朝送られるようにEメールをいくつかスケジュールしてから眠りにつく。
Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)