データソリューション企業のDatalogix(データロジックス)は、現実の生活のなかで取得される消費者データを提供することで、カスタマージャーニーを見える化できるとして、多くのプラットフォームと連携している。オンラインで蓄積されたデータだけでは見えない、実店舗での購買データが、Facebookなどのプラットフォームの広告事業に必要不可欠だからだ。
データロジックスは、FacebookやTwitterとすでに提携し、自社のデータテクノロジーでオフライン購買などの測定結果を提供。リターゲティング広告(広告主のサイトを訪問したユーザーの行動を追跡し、他サイトの広告枠に同じ広告主の広告を表示させること)の運用を支援してきた。広告主はおもに実店舗での消費者データとFacebook上のパーソナルデータに基づいた、ターゲティングと効果測定が可能になったという。
データソリューション企業のDatalogix(データロジックス)は、現実の生活のなかで取得される消費者データを提供することで、カスタマージャーニーを見える化できるとして、多くのプラットフォームと連携している。オンラインで蓄積されたデータだけでは見えない、実店舗での購買データが、Facebookなどのプラットフォームの広告事業に必要不可欠だからだ。
オフラインでの購買状況を捕捉
業界関係者らによると、画像投稿共有サービス「Pinterest(ピンタレスト)」もまた広告効果の「証明」を求める広告主の要望に応えるため、水面下でデータロジックスとの提携交渉を進めている。Pinterestは自分の画像をシェアしながら、ボードに自分のお気に入りをブックマークする仕組みが女性に人気だ。日本でこそ知名度はまだ高くないが、2015年2月時点でアクティブユーザーが全世界で5000万人に達している。Pinterestがこのオーディエンスを活かした広告の構築を目指すのは自然の成り行きだ。
あるブランドのデジタルマーケティング担当役員によると、Pinterestはデータロジックスとの提携を年末のクリスマス商戦に間に合わせたいと考えるが、2016年にずれる可能性もあるとしている。同じくデータソリューションを提供するAcxiomとも並行して提携交渉を進めているという。
Advertisement
「Pinterestは急速にデータロジックスなどのサードパーティー(第三者)と結びつきを強めていこうとしている」と、その役員は説明した。別の広告関係者は「Pinterestの広告効果を知りたがる広告主にとって、道が開けた格好だ」と、サードパーティデータの活用を歓迎している
多くのブランド企業は、最終的な効果の確証を得ないうちに、Pinterestで広告を展開するのに二の足を踏んでいた。一方、データロジックスは、PinterestのライバルであるFacebookやTwitterとすでに提携し、自社のデータテクノロジーでオフライン購買などの測定結果を提供し、リターゲティング広告(広告主のサイトを訪問したユーザーの行動を追跡し、他サイトの広告枠に同じ広告主の広告を表示させること)の運用を支援してきた。
Pinterestのマーケティングパートナーである、クラウド顧客管理・営業支援のセールスフォースの担当者は「データロジックスはロイヤルティカード(日本のTポイントカードなどにあたる)履歴のような豊富な消費者情報を持っている。だから、誰かが広告や投稿を視聴したら、データロジックスはエンゲージメントを実店舗での購買にマッチさせられる」。
Facebook、Twitterも利用するビックデータ
オラクルが2014年12月にデータロジックスを買収した際のニュースリリースによると、データロジックスは1億1000万世帯をカバーする1500のデータパートナーを通じて、2兆ドル(約240兆ドル)に及ぶ消費者の支出に関する情報を収集、企業にマーケティング上の知見を提供している。自動車大手フォードや乳製品大手クラフトのような、広告主トップ100のうち82社を顧客とし、顧客合計は650社を越えているという。Facebook、Twitterを含むデジタルメディアのトップ8のうち7社とパートナーシップを結んでいるのだとか。
Facebookとの提携の成功が、ロジテックスのデータの効力を証明し、提携先を拡大する呼び水になった。Facebookは2012年10月からデータロジックスと提携しており、広告主はおもに実店舗での消費者データとFacebook上のパーソナルデータに基づいた、ターゲティングと効果測定が可能になったという。
Facebookは自社プラットフォーム内のユーザーデータに関しては膨大な量を持つが、オフライン行動に関してはアプローチをもたない。データロジックスの実店舗データがこの点を補足し、「Facebook広告で態度を変容させ、購買を決めたが、クリックはせず、実店舗で購入した」などのカスタマージャーニー(顧客が認知、関心、購買するプロセス)の見える化を進めることになる。
クリックは購買とあまり関係ない
データロジックスの最高経営責任者であるエリック・ロザ氏が2013年9月に新興経済サイト「ビジネスインサイダー」に対して語ったところよると、広告主はデータロジックスが提供するデータを利用し、Facebook広告で潜在顧客をターゲティングできる。広告主はFacebook広告を見た顧客と、そうでない顧客を比較して、大きな効果を生み出すことができるという。
購買データ分析はクリックへの「盲信」を覆す。ロザ氏によると、Facebookは膨大な広告予算をもつ生活必需品メーカーから、同社の広告効果を証明するよう要求されていた。Facebookのオンラインデータとデータロジックスのオフラインデータを組み合わせた結果、広告をクリックしたことは購買のシグナルではないとわかった。実際には消費者はブランドに対してさまざまな種類の接触のあとにファネルを降下し、コンバージョンに到達するという。「自動車の広告をクリックする人は、自動車を買わない傾向が強い、が私のお気に入りの統計結果だ」。
(吉田拓史、南如水 / 参考記事)
photo by Thinkstock / Getty Images