「従来 テレビ は頭打ち、その頭もどんどん下がっている」: Hulu ピーター・ネイラー氏

いまやOTT広告界のマーケットリーダーとなった動画ストリーミング大手Hulu(フールー)は、視聴者がコネクテッドTVに群がり、それを広告主が追いかける姿に目を遣りつつ、さらなる飛躍の年に向けて着々と準備を整えている。

たとえばDTC(Direct to Consumer:ネット専業)およびパフォーマンスマーケターからの収益に関して言えば、Huluは前年比85%増を記録している。2018年に総売上15億ドル(約1665億円)を記録した同社の全広告ビジネスのうち、DTC企業との具体的な取引高について、広告営業部SVPのピーター・ネイラー氏は具体的なことは何も明かさなかった。だが同氏によれば、Huluはすでに、IABに加入するDTC企業上位250社のうち半数以上と、取引があるという。

「ディスラプターおよびDTCブランドは、概算で3000社ほど。そのすべてが我々の標的だ」と、ネイラー氏は語る。「さらなる成長のときがまもなく訪れようとしているのは明らかであり、大いに期待している」。

インターネット視聴率調査/デジタル市場分析企業Comscore(コムスコア)によれば、Huluの広告付き配信視聴者は現在、月間5000万人を超える。そんな同社の広告ビジネスの成長や、ソーシャルプラットフォームにおけるブランドセーフティ問題が追い風になっている事実、そして他分野での好調ぶりについて、ネイラー氏が語ってくれた。なお、読みやすさを考慮し、発言には多少編集を加えてある。

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――Huluは2018年、「バジェットセーフティ」を標榜していた。業界は互いに協力してブランドセーフティを明確に定義し、ビューアビリティや第三者検証、ドメインスプーフィングといった問題にフォーカスすべきだと、訴えたわけだが、何か具体的な進展は?

ソーシャルプラットフォームにはかなりのリスクが伴うということを、ブランドはいまやかなりの程度、理解してくれている。そして、何が自分たちにとって、もっとも良い状態のかは、ブランド自身が決めるしかない、ということも。これには、間違いなく幅がある。たとえば、何かに反対する不愉快なインプレッションがひとつでもあると、これは看過できない、すぐに撤退させてもらうという広告主もいる。その一方で、大げさに肩をすぼめる程度で済ませるブランドもいて、後者にはリスクと見返りとのバランスに関する計算がある。認定デジタル販売者(ads.txt)といった進歩は見られるし、パブリッシャーの姿勢も一貫している。

重要な問題として真摯に受け止めている人も間違いなくいる。たとえば、最近の事例では、直後に電話がいくつもかかってきた。「うちの予算をもっとおたくに割けないか?」と。つまり、彼らは予算を振り替えようとしている。人々が大挙してYouTubeから逃げ出しているか、と聞かれれば、答えはノー。だが、我々の電話が鳴っているか? と聞かれれば、答えは、もちろん、となる。

おかげさまで、そうした問題のおかげで、我々の[OTT]市場は著しく伸びている。そして、広告主はすべてのプラットフォームがそれぞれまったく異なり、インプレッションの配置換えを検討する場合、Huluが選択肢として非常に優れている、という点を理解してくれている。我々は、メディアにとってリスクフリーの場を提供している。

――Huluのような企業は現在、きわめて有利な立ち位置を確立している。映画もテレビ番組もある。プレロール広告もミッドロール広告もある。何らかの広告がビューアブルでない状態はありうる?

正直に言おう。Huluの場合、80%が自宅での視聴で、アプリを介している。14%がタブレットでの視聴で、これもアプリを介している。アプリを介する視聴者は100%ビューアブルだ。強いて言えば、デスクトップだけは、完全ではない――ビューアビリティは99.6%だ。我々はつねに閲覧完了率に基づいて営業をかける。交渉時に難癖を付けようとするメディアバイヤーにしてみれば、拍子抜けだろう。

――ただ、そこがポイントなのでは? 誰もがHuluになれるわけでも、OTT業界に入れるわけではない。

OTTという場にはいくつかユニークな特徴があり、だからこそ私は、OTT全体に大いに期待している。テレビは史上もっとも強力な広告手段ではあるが、従来のテレビはすでに頭打ちであり、頭の位置も下がってきている。マーケターはテレビに代わる選択肢を求めており、OTTはその需要に応えるものだ。しかも、OTTはオンデマンドであるため、選択肢として優れているし、視聴者はいまや、従来のいわゆるリニアTVよりもデジタルに親しんでいる。我々が行なっているすべてが、今後の[テレビの]あり方になるだろう。

――では、Huluにとって克服すべき課題は?

テレビの広告表示の半分を我々は持っているが、それが依然、侵襲的な広告モデルであることは承知している。現在、新たなモデル、つまりコンプリメンタリーな広告モデルの導入を進めている。実際、今後3年間で、広告収入の50%を非侵襲的モデルに担わせることを目標にしている。大言壮語に聞こえるかもしれないが、現在取り組んでいる静的バナー広告がその実現の一助になってくれると、期待している。

――広告ユニットのうち、そうした新たなタイプがインベントリの拡大にどの程度寄与すると? 一般に供給よりも需要が多い、というのがHuluの思想ですよね。

いや、我々はつねに視聴者ファーストでなければならない。広告がよく考えられた、コンテンツと関連性のあるものである限り、視聴者は容認してくれる。しかし、行きすぎてしまい、無分別に何でも流してしまうと、視聴者に去られるリスクが発生する。加えて、我々には広告なしのプランがあり、ワンクリックで切り替えられる。したがって、広告表示については間違いなく、慎重になる必要がある。

――今年度の広告収入の見込みは?

成長は著しい。ただし、具体的な数字を明かすつもりはない。昨年度は、前年比45%の伸びを記録した。サブスクライバー数の伸びを見ても、それは一目瞭然だろう[編註:2500万人]。エンゲージメントと視聴時間も77%増加している。これらを総合すると、我々は今後、より多くのインベントリと視聴者をマーケターに届けることができる、ということになる。実際、空前と言えるほどの成長を期待している――数字は教えないがね」。

SAHIL PATEL(原文 / 訳:SI Japan)