プラットフォーム上に蔓延する誤った情報やフェイクニュースに対するFacebookの対策内容には、賛否両論がある。しかし、最近提出された証拠によると、Facebookにおけるフェイクニュースの量は減少していることが示唆されている。
プラットフォーム上に蔓延する誤った情報やフェイクニュースに対するFacebookの対策内容には、賛否両論がある。しかし、最近提出された証拠によると、Facebookにおけるフェイクニュースの量は減少していることが示唆されている。また英国の独立したレポート複数において、政府による規制が求められているなか、Facebookが自らの取り組みの進捗状況を公表すれば、状況はさらに改善の方向へと進む可能性がある。しかし、取り組みを公表する(しない)という点では、Facebookは批判を集めている。
パブリッシャーとの協働
国際ニュースエージェンシー、エジェンス・フランスプレス(Agence France-Presse:以下、AFP)は、17カ国におけるファクトチェックにおいてFacebookとパートナーを組んでいる。グローバル編集長であるフィル・チェットウィンド氏は、「建設的に批判をする関係性だ。(Facebookの改善が)もっと必要か、と聞かれたらイエスだ。全体的な、建設的かつポジティブな進化が見られているか、と聞かれたら、全体的にはイエスだ、という回答になる」と語る。
Facebookは1月、5カ国に関して取り下げられたドメインの数やAFPの仕事の結果、ユーザーに送られた通知の数といったデータを公表しはじめた。ファクトチェックを行う団体の仕事と、その影響を四半期ごとのレポートで含むというFacebookの公約の一部に対応している。
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しかし、Facebookができることはもっとある。フェイクニュースのせいで広告が停止されたのかどうか説明する、というのはそのひとつだ。Facebookは外からの意見や提案を聴く姿勢を見せているものの、透明性を実現するのは簡単ではない。
「オンラインジャーナリズム文化とデータビジネス文化の違いを過小評価してはいけない」と、チェットウィンド氏は言う。
非営利団体との協働
ほかの障害を指摘する団体もある。英国のファクトチェック非営利団体であるフル・ファクト(Full Fact)は、Facebookが英国におけるファクトチェックプログラムを導入した1月から同社と協働している。彼らはFacebookからのデータをより多く必要としているという。
「我々はFacebookに、より透明度の高い、幅広いデータシェアを求めている。Facebookがシェアする情報を増やせることは明らかだ。それこそが、責任あるインターネット企業に我々が期待することだと伝えるだろう」と、フル・ファクトのディレクターであるウィル・モイ氏は言う。
いまのところ、フル・ファクトはFacebookにおいて10件のファクトチェックを行っただけだ。そのなかにはランカシャー州のプレストンのアパートのなかで住んでいるとされる馬の写真が含まれる。この写真は2万5000回シェアされた。しかし、これはアメリカ、イリノイ州の建物の窓に馬の模型が映り込んでいるものだと判明した。さらに有害な主張としては、イギリスの年金生活者よりもイギリスに滞在している不法移民や難民の方が多くの援助を受け取っているという投稿があった。2000回シェアされたこれも、事実ではないと証明された。
フル・ファクトは3カ月ごとにレポートを公開する。プログラムがどれほど効果を示しているか、そしてどのように改善される必要があるかについて、そのレポートでは語られる。そのあいだ、彼らは誤った情報が誤っていることを証明するためのプロセスはどのような物が適正なのか、またどれほどの時間とリソースをそこに割くべきかといった項目に取り組む。現時点では6人編成のエディトリアルチームがコンテンツの査証を行っている。どの記事・情報を審査するかのガイドラインにも取り組んでいる。彼らが仲介に入る3つのトピックにはテロ攻撃のあとの報道、選挙前の報道、そして健康にまつわるコンテンツがある。
Facebookの現状
Facebookがさらに透明性を高めるというプロセスにおいて、ファクトチェック団体や非営利団体が大きな力を見せるかというと疑問である。1月には、Facebookから報酬を受けてファクトチェックを行っていたアメリカのスノープス(Snopes)とアソシエイテッド・プレス(Associated Press)がプログラムの参加を現時点では停止すると発表した。将来的には、また取り組みたいとは述べている。英国では、ニュースの将来的な経済モデルを研究する、ザ・ケーンクロス・レビュー(The Cairncross Review)が取り組みに対する提言を発表している。信頼できない情報源を特定するなどといった、プラットフォームによるユーザーのニュース体験改善の取り組みを、独立した規制団体が監視するべきだというものだ。
自らの取り組みは公開せずに、PRのチャンスとして利用している、そしてジャーナリストたちを非難の的として利用し、特定のトピックに関してはファクトチェック団体へと非難の矛先を向ける。Facebookにはこのような批判が集まってきた。Facebook自体はこういった行為を否定している。
昨年11月にフランスで起きた黄色いベスト抗議運動のあいだも多くの誤った情報が拡散されたが、一度誤りだと証明されれば、拡散は停止されたと、チェットウィンド氏は言う。「フェイク」とされた物のそれ以降のインプレッションを平均して80%ほど削減するようにアルゴリズムを調整することがFacebookはできる。
Facebookは現時点で、20の言語における39のファクトチェック団体と世界規模で取り組んでいる。この他にもマシーンラーニングを活用してフェイクニュースと戦うといった取り組みも行っている。
今後求められること
「ファクトチェックは何かひとつの万能薬が登場してすべてを解決してくれるような分野ではない」と、チェットウィンド氏は言う。むしろ、誤った情報にもさまざまな種類があり、それぞれが異なる方法で対策されなくてはいけない。
「リソースだけが問題ではない。リソースはもちろん有益な判断基準だが、問題をどう診断してどう仲裁するか、だ。Facebookはデータをもっとシェアすることで、彼ら自身も良い恩恵を受けることができる。何をシェアできて、何ができないか、説明する必要が出てくるだろう」と、モイ氏は言う。
Lucinda Southern(原文 / 訳:塚本 紺)