コネクテッドTV 、その「広告価値」を高める4つの要因:量と質に見られる改善点

コネクテッドTVが、着実にコンテンツ消費の状況を変えつつある。

アメリカでは2018年にモバイルを抜き、デジタル動画広告のインプレッションがもっとも多いスクリーンがコネクテッドTVになった。コンテンツの収益化を図るための新たな手法として注目され、アドテク業界全体がコネクテッドTVに取り組みはじめている。

しかし、実はコネクテッドTVはそれほど新しい技術ではない。アメリカのTVストリーミングプラットフォームであるRoku(ロク)をはじめ、複数の企業がこの10年間でコネクテッドTV専用端末を製造してきた。では、なぜいま、コネクテッドTVが成長を見せているのか?

動画用広告配信プラットフォーム、SpotXの日本支社でカントリー・マネージャーを務める原田健氏に要因を伺った。

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1. オーディエンスとインベントリの規模の拡大

「アドテク業界は長年にわたってコネクテッドTVの可能性に注目してきたが、これまでコネクテッドTVの広告購入において大きな課題があった。オーディエンスとインベントリのふたつが不足していたことだ。幸いなことに、この課題は解決されつつある。コネクテッドTVの導入は、ここ数年で2桁もの成長を見せ、ユーザーの増加に伴いコネクテッドTVアプリも徐々に充実してきた。これらのアプリの多くは広告によってサポートされており、従来の方法では販売されていないインベントリの拡充にもつながり、アプリの価値も見直されつつある」。

2. ターゲティング機能の向上

「たとえ十分なオーディエンスとインベントリがあっても、期待しているターゲットオーディエンスに到達できなければ意味がない。きめ細かいターゲティングができなければ、コネクテッドTVも従来のTV放送も大きな違いがないことになる。デジタル広告の魅力はデータアクティベーションの可能性にあるが、残念ながら、デスクトップやモバイルでのデジタルターゲティングは主にクッキーベース。そのため、コネクテッドTVのようなクッキーのない環境で、消費者をターゲティングする方法が確立できていなかった。しかし、その状況も変わりつつある。ニールセン(Nielsen)やトゥルーオプティック(Tru Optik)といった調査会社が、コネクテッドTVでWeb上のビデオに匹敵するターゲティングを実現する、きめ細かいデータを提供しはじめている。『プログラマティックTV』の実用化も、近づいていると言えるだろう」。

3. 質の高いユーザーエクスペリエンスの提供

「多くの視聴者は広告に邪魔されずにウェブ閲覧をしたいと考えている。広告の表示により、ユーザーエクスペリエンス(UX)が著しく妨げられることがあるからだ。アドブロックはコネクテッドTVの問題ではないが、広告はUX全体に大きな影響を与えており、UXを妨げないようシームレスに表示されなければならない。現在は無料のコネクテッドTVアプリが急増しており、ユーザーに選択肢がある。使用しているアプリで広告が常にバッファリングされていたり、同じ広告が繰り返し再生されている場合はそのアプリの使用をやめ、より良いUXを提供するアプリを探すだろう。こうした問題を解決するソリューションとして、サーバーサイド広告挿入(SSAI)が登場した。SSAIにより、ストリーミング中に広告をシームレスに挿入し、より滑らかでリニアなアドエクスペリエンスを実現することができる」。

4. 競合製品(企業)の分離

「コネクテッドTVやOTT(オーバーザトップ)の利用増加に伴い、プレミアムインベントリも増加しており、ユーザーの『広告疲れ』を防ぐ方法を考慮する必要が生じている。この問題を解決するのが、競合製品(企業)の広告が連続しないようにする、『競合の分離』だ。競合を分離することで、長編コンテンツを配信するパブリッシャーなら、広告の重複を除外するカテゴリを利用することで、さまざまなソースからのクリエイティブと情報によって広告枠を満たすことができる。たとえば、最初に表示される広告は広告主がパブリッシャーから直接インベントリーを購入したコカ・コーラの広告だった場合、その後表示される広告は供給方法や広告主に関係なく、競合する飲料の広告が表示さないように設定することができる。これにより、毎回関連性がある多様な広告をオーディエンスに提供することができる」。

「コネクテッドTVははまだ成長段階であり、すべての課題が完全に解決されたわけではない。しかし、着実にコンテンツ消費の状況を変えてきており、この傾向はいまだ減速の兆しを見せていない。従来のWebインベントリからプログラマティック表示が主流となったのと同様に、リアルタイムビッディング(RTB)でのコネクテッドTV利用も、ますます価値ある広告チャネルに拡大し続けるため、今後急増すると予想される」。

Written by 分島翔平