THE CONFESSIONS

あるメディアバイヤーが語る、各種 GAFA 論争への本音:「テックジャイアントたちのさらなる小競り合い」

メディアバイヤーの、なかでもパフォーマンスマーケティングにフォーカスする者の場合、予算の大半は依然、テック界のデュオポリー、FacebookとGoogleに費やしている。ただ、どちらも現在、立法府から目をつけられており、結果次第では今後、両者の広告業務に影響が出る可能性もある。Googleはオンライン広告業界での独占状態を理由に10州から訴えられており、Facebookは48州および米連邦取引委員会から独禁法違反で同じく提訴されている。同時に、FacebookはAppleに対し――複数アプリ/サイトをまたぐトラッキングの拒否権をユーザーに与えるiOSアップデートを巡り――公然と戦いを挑み、先頃、このたびの変更は中小企業いじめだと主張する新聞広告を打った。

こうした争いはすべて、メディアバイヤーがアクセスするデータにも、これらプラットフォームに対するバイヤーの考え方にも、大いに影響することが考えられる。そこで、匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらう米DIGIDAYの告白シリーズ(THE CONFESSIONS)では今回、とあるパフォーマンスマーケティングメディアバイヤーに、これらの訴訟とFacebook対Appleの抗争について語ってもらった。

なお、読みやすさを考慮し、発言は端的にまとめてある。

ーーGoogleとFacebookの法廷闘争について、クライアントに説明は行っているのか?

クライアントの大多数はいま、ニュースにはそれほど注目しておらず、だからこの法廷闘争のことも知らない。いまはホリデーシーズンであり、彼らの目はそれよりも売上を伸ばすことに向いている――私のクライアントは、多くが創業者やビジネスオーナーで、自ら会社を動かしているからだ。ただ、私にとっては興味深い。あの訴訟は一体、Google対米州なのか、対EUなのか、それともAmazonまたはFacebookを訴えようとしている誰かとの争いなのか? もっとも、理論自体は素晴らしいが、実践となると、大いに疑問が残る。ああいう法律を作る人間は、インターネットの仕組みからしてよくわかっていない。心配なのは、どんな影響が出るのかろくに考えもしないで、聞こえが良いだけのルールや法律を作られてしまうことだ。

ーーAppleとFacebookの騒動については?

クライアントには、必ずFacebookドメイン認証しておくようにと、メールで伝えてある。iOS14アップデートのせいで[トラッキングを巡る]事態は、2021年、悪くしかならない。これはいずれ起きることであり、[いつそうなってもいいように]備えておくほうがいいのかもしれない。ただ、まだ具体的な話はしていない。というのも、クライアントはいま、ほかのことで手が一杯だからだ。[今回のアップデートとその潜在的影響に関する報道が]いまこの時期に出ているのは、Appleがあえて狙ったとしか思えない。ほかにさまざまなことが起きているから、世間の注目がそこまで集まらないと踏んだのだろう。

ーー今回の変更について、あまり心配していないように聞こえるが?

私はこの業界が長いからだろう。今回のアップデートを皆、未曾有のことのように取り上げているが、私らはもう何年も前から話題にしている。大手テック企業は以前からこういう小競り合いを続け、ほかのプラットフォーム勢を引っ張り回している。どこもウォールドガーデンを作りたいからだ。[Facebookは]中小企業を助けたいとか何とか言っているが、戯言もいいところだ。彼らの頭には株主のことしかない、株主を金持ちにすることしか考えていない。私らのような中小のことなんか、何とも思っちゃいない。連中が考えているのは、私らからどうやって金をむしり取るか。取るだけ取ったら、もう用はない。私らなど、バランスシートの丸め誤差と同じだ。ともかく、我々がはっきりさせておきたいのは、実際にどの程度影響が出るのか、それに尽きる。小さくて済むのか? それとも大きいのか?

Googleの訴訟は、何年かかかると思う。すぐに解決を見るものじゃない。2022年や2023年の話になるだろう。で、どんな判決が出ようが、また訴訟になると思う。それがGoogleだからだ。とことん戦えるだけの財力もある。だから我々が注目するのは、Appleが今回のアップデートをどうするのか、そしてそれがFacebookやSnapをはじめ、ほかのプラットフォームにどう影響するのかだ。Facebookだけに影響するわけじゃない――ユーザーをApple製品からほかのプラットフォームやウェブサイトに動かすどのプラットフォームも影響を受けることになる。

ーーこうした変更やプライバシー問題の件で、夜も眠れないのでは? バイヤーにとって厳しい1年だったようだが。

今年に限らず、メディアバイヤーはつねにきつい。割に合わない仕事だ。こっちの苦労など誰も理解してくれないし、それなりの報酬に値するとも思われていないのだろう。この4~6年はとりわけきつかったか? と訊かれれば、答えは100%イエス。広告プラットフォームの度重なる変更に、テック界の巨人によるさらなる小競り合い、しかもどこも歩み寄ろうとしない。ただ、そのせいで夜も眠れないか? と訊かれれば、答えはノーだ。GoogleやAmazon、AppleやFacebookがやることは、私にはどうにもできない。できるのは、自分にできることだけ。つまり、クライアントを守り、そうせざるを得ないときに、対策を講じるしかない。州がGoogleを訴え、EUがFacebookを訴えている。こちらとしては、どうしようもない。ニュースを見て、一喜一憂するしかない。そして、まさにそれが2020年だった。これからどうなるのかは、正直、誰もわかっていない。どれもこれも、推測で適当に書かれた記事ばかりだ。

ーーそうした変更やあなたが被る影響について、彼ら大手テック企業の幹部に言いたいことは?

GoogleとFacebookとAmazonの幹部には、こう言いたいね。中小企業のことを本気で考えているなら、一刻も早く協力し合って、プラットフォームをまたいでデータを共有できるように、データを楽にまとめられるようにして欲しい。最終損益が落ち込んでいるのなら、[中小企業を助けると]いう言葉だけじゃなくて、そうしてくれ。最終損益が落ち込んでいるのに、口だけだとしたら、それはつまり、中小のことなんかどうでもいい、明らかに株主のことしか考えていない、ということだ。まあ、それならそれで構わない。彼らにとっては、株主の信用が第一なんだろう。ただし、思いきりビンタを食らわせておいて、ビンタなんかしてないとしらを切るな、という話だ。

[テック界の巨人同士による]小競り合いは、高校生の喧嘩みたいなもので、私としては、そんなものに構っている暇はない。しかも、中小企業を助けると言っておきながら、Facebookでのオーガーニックリーチをなくし、それでいて、私たちは中小企業に手を差し伸べます、なんていう記事をニューヨークタイムズ紙にしれっと載せている――まったく、馬鹿も休み休み言え。連中は、デジタルマーケティング界のウォルマートだ。中小を助けるなんてことは、今日も、明日も、いつだろうが、する気はないんだよ。

[原文:‘More petty fights between tech titans’ Confessions of a media buyer on Apple vs. Facebook, Google lawsuits

KRISTINA MONLLOS(翻訳:SI Japan、編集:長田真)