最新の調査では、対象者の26%の人がFacebookアプリをスマートフォンから削除したことが分かった。それでも、Facebookのエコシステム内でさらなるテストを熱望する広告主はあとを絶たない。そんななか、いま熱い戦場となっているのが、Facebookのストーリー(Stories)だ。
最近のピュー研究所(Pew Reserch)が行った調査で、対象者の26%の人がFacebookアプリをスマートフォンから削除したことが分かった。それでも、Facebookのエコシステム内でさらなるテストを熱望する広告主はあとを絶たない。そんななか、いま熱い戦場となっているのが、Facebookのストーリー(Stories)だ。
2018年9月6日、Facebookマーケティングパートナー(Facebook Marketing Partners)に向けて送られたメールによると、「アプリの画面上部に書き込みが表示され24時間後に消える」というFacebookストーリー内の広告はまだベータ版の段階だが、2018年末には全世界で本格運用が始まる予定だ。このメールは、デジタルメディアコンサルタントのマット・ナバラ氏によって、Twitterに投稿され、同時にさらに多くの広告主に対しては、セールスピッチとともにベータ版への招待が送られた。
「あなたの顧客は、すでにインスタグラム(Instagram)のストーリーへの広告で、オーディエンスにリーチできているでしょう。そして今回、タテ画面でフルスクリーンを使ったFacebookストーリー内の広告で、さらに多くの人々にリーチできる機会を得ることができます」といった内容が、そのメールには書かれていた。
Advertisement
コスパの良さが評判
ベータ版を利用中の広告主は、インスタグラムストーリー、またはFacebookのニュースフィードで広告を運用していれば、Facebookストーリー内でも、その広告を運用できる。この制限によって、広告主もFacebookも、Facebook上の広告プラットフォーム内での運用実績の比較が可能になる。
メディアエージェンシーのFacebookストーリー広告に対する反応は良好だ。この新しいフォーマットが、安い価格と高いエンゲージメントの維持に役立っているのだ。デジタルエージェンシーのウォーラルー・メディア(Wallaroo Media)の創設者、ブランドン・ドイル氏は、1カ月ほど前にFacebookストーリーでの広告運用を試しはじめたと語る。そのいくつかの広告が、計2万ドル(約223万円)という広告投資から見て、そのほかのすべての広告よりも優れた結果を示したという。
「CPMやコンバージョンレートは、先月行った広告掲載のなかでベストの結果だった。おそらくまだ競争相手が少ないからだろう」と、ドイル氏は語る。
クリエイティブ性が鍵
航空券の予約サービスを提供するホッパー(Hopper)で顧客獲得部門を率いるサイモン・ルジェン氏によると、同時期に類似したターゲットやクリエイティブ向けに行った広告掲載におけるCPMは、インスタグラムストーリーがおおよそ5ドル(約556円)だったのに比べ、Facebookストーリーは2.3ドル(約256円)だったという。
コンバージョンレートもなかなか良かったと、ルジェン氏。Facebookストーリー内の広告から直接アプリをダウンロードし、すぐさま検索して航空券を予約したユーザー数は、インスタグラムストーリー経由で来たユーザー数と同じぐらいだったという。Facebookストーリーとインスタグラムストーリーの両方にある広告は、Facebookのニュースフィードやインスタグラムのフィード内の広告よりもパフォーマンスが良かった。ホッパーでは、Facebookストーリーのフォーマットに合わせた広告デザインの優先度を上げ、別のフォーマットにはその広告デザインを合わせこんでいるとルジェン氏は語る。
Facebook自身も、ストーリー内での広告掲載をより簡単にするために、広告主がクリックひとつで広告をストーリー向けのフォーマットに変換できるようにしている。スマートリー・アイオー(Smartly.io)でクリエイティブスタジオを率いるホセ・サンチェス氏は、同社はベータ版を利用中の広告主が自身の資産をタテ型動画向けに編集する手助けを行ってきたと述べた。同氏は、このフォーマットが目覚ましい結果を出してはいるものの、そのフォーマットだけではパフォーマンスを上げるには不十分だ、と強調した。「ユーザーのモバイル端末の画面全体を覆いつくすような広告を出す以上、クリエイティブ性が鍵となる」と、彼は語る。
いまは制限が多い
Facebookストーリーの新しさは魅力のひとつだが、そのほかの類似プラットフォームと比べると、オーディエンスの規模は非常に小さい。Facebookは2018年5月、ストーリーを毎日使っているユーザー数が1億5000万人だということを公開したが、インスタグラムストーリーのデイリーユーザー数はその倍以上だ。一方、Snapchat(スナップチャット)のデイリーアクティブユーザー数は、ストーリー機能を含めた全体で1億8800万人だ。
Facebookストーリーには、自身の成長の妨げともなりかねない欠点がある。ボストンに関わるニュースをSNSでシェアしているオンリー・イン・ボストン(OnlyInBOS)の匿名希望の創設者によると、彼はオーガニックに書き込みをシェアするためにFacebookストーリーを活用したが、特にインスタグラムストーリーと比較したときの機能の欠如には失望したという。
「Facebookストーリーは将来有望だが、いまは制限が非常に多い。リンクもタグもつけられないし、アップした画像の解像度を大幅に下げてしまうのも問題だ。理由がまったくわからない」と彼は語る。
ビュー数も改善の余地が
ビュー数もまだまだ改善の余地がある。彼のFacebookページは1万4000人のフォロワーがいるが、ひとつの書き込みに対するオーディエンスはわずか200人だという。だが彼は、特にそのサイトでのシェアが簡単であることを考慮すると、それでもFacebookストーリーは試す価値があるという。
「まだ、人々が試していない機能については、問題ないと思う。これが、現在私がそこにコンテンツを投入して、ビュー数をモニタリングしている理由でもある」と、オンリー・イン・ボストンの創設者は語る。