Facebookがニュースフィードのアルゴリズムを変更したことですでに、バイラルメディアが閉鎖の危機にさらされている。しかし影響はパブリッシャー企業以外にも及んでいた。Facebookが戦略を変えることによって、その戦略をサポートしてきた会社にも影響が及ぶのだ。
Facebookがニュースフィードのアルゴリズムを変更したことですでに、リトル・シングス(Little Things)やコックス・メディア(Cox Media)が所有するレア(Rare)といったパブリッシャーが犠牲となった。そして、ほかのバイラルメディアも閉鎖の危機にさらされている。しかし影響はパブリッシャー企業以外にも及んできた。Facebookが戦略を変えることによって、その戦略をサポートしてきた会社にも影響が及ぶのだ。
企業の例は多岐にわたる。たとえば、パブリッシャーたちのニュースフィード用動画に使える素材を提供してきたジューキンメディア(Jukin Media)。Facebook上での有料の配信サービスを提供していたザ・ソーシャルエッジ(The Social Edge)。そして、Facebookページを通じてパブリッシャーたちのコンテンツをシェアし、利益を上げていたタレントマネジメント企業もそこに含まれる。
「Facebook上で収入を、今後どうやって得るかは私もわからない。それを探ろうとするのも、もう終りにする」と語ったのは、アイ・ディスカバー・スターズ(I Discover Stars)というFacebookページを運営するエンリコ・テイラー氏だ。彼は、自身のページのコンテンツをリトル・シングスがシェアしたことによる損害、詐欺行為、そして手数料未払いを理由に5万ドル(約530万円)を求めて訴訟を起こしている。「4月まではやってみる、それで無理であれば私もやめる」と語った。
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職を失う周辺ビジネス
リトル・シングスがコンテンツを拡散するために頼っていたFacebookページは、アイ・ディスカバー・スターズ以外にもたくさんある。リトル・シングスのCOO兼プレジデントであるグレッチェン・ティビッツ氏によると、閉鎖する前のリトル・シングスは、なんと100以上にも及ぶFacebook上のパブリッシャーたちから成る、拡散ネットワークを保持していたのだ。Facebook上での拡散のために、リトル・シングスは毎月50万ドル(約5300万円)以上をこれらのパブリッシャーたちに支払っていたと、この件に直接関わっていたリトル・シングスの関係者は語る。
Facebookは1月後半に、ブランデッドコンテンツに関するポリシーも変更している。こういった変更の結果、これらのページの多くは収入源を失う。それだけではなく、いくつかのタレントエージェンシーたちが作り上げていた、こういったページを生み出し、マネジメントする職も消えてしまう。
スタックコマース(StackCommerce)の最高収益責任者であるカール・ハウス氏は言う。「これらのタレントのなかには、Facebookにリンクを投稿することで最盛期には毎月5万ドルから10万ドル(約530万円から1060万円)以上を稼いだ人もいる。Facebookにコンテンツを投稿するインフルエンサーたちをまとめているタレントマネジメント企業にとってこれらの変更は、この作業を行うチームが丸ごと雇用できなくなることを意味している」。
動画のライセンス業務
Facebook上で動画を投稿し、スケールしようとしていたパブリッシャーたちは、多く存在していた。彼らに動画素材を提供していたジューキンメディアやストーリーフル(Storyful)といった企業もダメージを受けるだろう。彼らはピザを一生懸命運ぶネズミを捉えた映像、スター・ウォーズのチューバッカのマスクを付けて爆笑する母親の映像、といったユーザー発信のコンテンツを見つけ、ユーザーたちからライセンスを取得し、その権利をパブリッシャー、テレビ放送局、広告エージェンシーといった第三者パーティに売っていた。ストーリーフルからは本稿へのコメントをもらえなかった。
「ストーリーフルとジューキンは非常に良い仕事をしている。今後も続けていくのではないかと、私は思う」と、NY1ニュース(NY1 News)のシニアエグゼクティブプロデューサーであるエリック・ゴーナン氏は語る。「しかし、Facebookのニュースフィード上の動画投稿に過剰に依存していた企業からの収益は失うかもしれない」。
ジューキンメディアのコミュニケーションズ部門のバイスプレジデントであるマイク・スコグモ氏によると、動画のライセンス業務はジューキンの収益源のうち、もっとも大きいものだ。しかし、彼らはデジタルパブリッシャー以外にも放送局や広告エージェンシーも顧客として抱えている。また、オリジナル番組をテレビ放送局やFacebook Watch(ウォッチ)といったプラットフォームに販売することでも収益を上げてきた。彼らのサイト上におけるブランデッドコンテンツやほかの形式の広告も販売している。
ブランデッド投稿にも影響
しかし、メディアエージェンシーに勤める関係者のひとりは、彼らのブランデッドコンテンツビジネスも影響を受けるだろうと指摘する。ほかのFacebookパブリッシャーの多くと同様、ジューキンが所有しているFacebookページのオーガニックリーチは減少傾向にあるからだ。
ジューキンの報告によると、2月の月間Facebook動画視聴数は年比較では増加している。しかし、彼らが所有しているメディアのうち、コアのブランドにおける動画再生回数は過去12カ月間减少していることがクラウドタングル(CrowdTangle)のデータで分かる。スコグモ氏はこの减少も、彼らのコアブランドからのスピンオフとして発生したページが成長したことで相殺されていると指摘する。

各ページによってシェアされた動画について:ジューキンとジューキンが所有するメディアにおけるFacebook動画の視聴数 via クラウドタングル
「Facebookが何らかの変更を発表するとき、我々は注意深く観察をする。しかし、パフォーマンスにおける大きな减少は、確認されていない。我々が変わる理由はまだない」と、スコグモ氏は語った。
Max Willens(原文 / 訳:塚本 紺)