中国の バイドゥ 、Snap・ピンタレストと広告販売で提携

中国のテック系企業バイドゥ(百度)が、シリコンバレーのアジア地域における広告分野に参入した。

スナップ(Snap)は7月はじめ、バイドゥと結んでいた2年間の販売パートナーシップ契約を更新した。これによりバイドゥは、スナップと提携して中華圏と日本、韓国における広告販売を行う。今年はじめにバイドゥはピンタレスト(Pinterest)やレディット(Reddit)とも同様のパートナーシップ契約を結んでいる。こうした契約はバイドゥのグローバルビジネス部門による取り組みの一環だ。同部門はスナップなどと提携して、サブスクベースのアプリやネイティブアドのプラットフォーム、従来型の広告などで収益をあげている。

バイドゥにとって広告は、主要な収益源だ。2018年には全収益の76%を占める150億ドル(約1.65兆円)が、広告収益となっている。ほかにも同部門はオンライン動画プラットフォームのアイチーイー(愛奇芸:iQiYi)からサブスク収益をあげている。最新の業績報告で、バイドゥは2005年の上場以降で初となる損失を計上した。同社は原因として中国の景気減速と政府のオンラインコンテンツに対する規制強化を挙げている。そこで同社は広告収益全体を底上げするため、提携するプラットフォームの数を増やしている。

バイドゥと契約するメリット

シェン・フー氏はバイドゥの米国部門で米国戦略およびパートナーシップ担当リーダーを務めている。同氏は2012年から中国本国のバイドゥで戦略パートナーシップを担当し、2016年中頃からカリフォルニア州サニーベールの同社オフィスへと活躍の場を移した。同オフィスは2014年に人工知能(AI)と自動運転車の研究を主眼とした研究開発施設としてオープンしたが、フー氏のチームは5人体制で主に広告収益の研究を行ってきた。

同チームは米国を拠点とするテック系企業に対し、自社リソースを使わずに中国を含むアジア地域へ広告販売を行う方法を提供している。たとえプラットフォームを中国で展開していなくても、こうしたプラットフォームにとって中国企業は極めて大きい成長機会をもたらす存在だ。テッククランチ(TechCrunch)が報じた通り、Facebookはチーターモバイル(Cheetah Mobile)、パパイヤモバイル(Papaya Mobile)といった中国の広告主と提携している。一方Snapやレディット、ピンタレストらはバイドゥのアプローチを受けて同社との提携を選択している。フー氏は2017年からSnapと、2018年の終わりからピンタレストと、そしてその後にレディットと関係を築いている。

eマーケターで予測ディレクターを務めるシェリーン・シャム氏は、米国のプラットフォームにとってバイドゥに中国及びAPAC地域の広告主を担当してもらうことは、メリットがあると指摘する。

「米国のソーシャルプラットフォームの多くは、中国での運営に制限が設けられているが、バイドゥのような地元企業と提携すれば、大規模な営業を展開することなく、既存の広告主にアクセス可能だ。世界展開を狙う中国企業が増えるなかで、海外のカスタマーへのマーケティングの需要は高まっている。バイドゥは、中国国内でのトラフィックは極めて大きいが、同社にとっても、こうした海外展開に噛むことで。収益の一部を確保できるという旨味がある」と、シャム氏は語る。

キャンペーンやクリエイティブも

フー氏によれば、バイドゥは広告主の参入を支援するだけでなく、広告主のキャンペーンも後押ししているという。この収益の分配について同社は明らかにしていない。バイドゥは広告主にアカウントの開設料金は課していないが、メディア支出に基づく手数料を徴収している。この割合についてもフー氏は具体的な数値は伏せているが、同社の取り組みについて次のように語っている。

「パートナーのメディア企業に対し、中国をはじめとする地域における露出と成功のためのサポートを行っている。広告主に対してFacebookやTwitter、Google以外のプラットフォームの選択肢も提示している。さらに提携企業に対して、毎週開催しているウェビナーで広告の新機能についてトレーニングやクリエイティブに関するアドバイスも実施している」。

さまざまなプラットフォームに対し、フー氏のチームはクリエイティブ面で現地の言語に関するサポートも展開している。フー氏は、このサポートはとりわけレディットにとって重要になっていると指摘する。レディットの広告は文章形式が主で、ユーザー層もアドブロッカーを使い、広告に対して批判的なことで知られている。

レディットのオンラインセールス担当ディレクターを務めるエミリー・フオ氏はは米DIGIDAYへのメールで次のように述べている。「バイドゥと提携することで、多数の国際的な広告主に一度にリーチでき、また宣伝によるビジネス拡大も実現できる。これからも同社と提携し、主要市場における宣伝のリーチを拡大していきたい」。

どの企業もウエルカム

フー氏によると、こういった広告主は、ほかのサービスやアプリで、バイドゥと提携したことがある企業が多いという。だが、バイドゥはどの企業に対しても門戸を開いている。たとえば、Snapのセールスチームは、APAC地域の広告主からのバイドゥに対するリクエストを伝えているという。

「拠点となる地域と、宣伝したい商品について訊ねている。これまでさまざまなウェブサイトを中東で宣伝し、成功してきた。とりわけ女性向けアパレルは大きな可能性を秘めた分野だ」と、フー氏は語る。

将来に向けて、バイドゥは提携するプラットフォームだけでなく消費者向けアプリにおける販売収益の拡大も目指している。フー氏はパラマウント・ピクチャーズ(Paramount Pictures)による映画『バンブルビー(Bumblebee)』のキャンペーンを例に挙げ、こうした取り組みをさらに増やしていきたいと語る。昨年12月にバイドゥはパラマウントと提携し、米国市場でバイドゥのフェイスモジ(Facemoji)キーボードの拡張現実(AR)フィルターを、日本市場でSimeji(しめじ)キーボードを、中国市場でバイドゥキーボードを展開した。

「Snapをはじめとするパートナー企業と提携することで、AR広告の機能向上を実現した。これにより、広告主にさらに説得力のあるサービスを提供できるようになった。ほかの広告についてもパラマウントと同様に、当社のキーボードを活用した展開が可能だ」と、フー氏は最後に語った。

Kerry Flynn(原文 / 訳:SI Japan)