Facebookがどうあれ、Snapchatの親会社、スナップ(Snap)は、2017年の第2四半期の歳入報告で自身の存続性と成長性を示す必要があった。だが、その内容は素晴らしいと言えるようなものではなかった。2度目となるスナップの歳入報告から学ぶべきことをまとめる。
Snachatのサービスや機能をコピーし、あっという間にそのユーザー基盤や広告収入を食い荒らすFacebook。その影に隠れ、Snapchatの親会社、スナップ(Snap)は奮闘を続ける。
Facebookがどうあれ、スナップは2017年の第2四半期の歳入報告で自身の存続性と成長性を示す必要があった。だが、その内容は素晴らしいと言えるようなものではなかった。
下記に、2度目となるスナップの歳入報告から学ぶべきことをまとめる。
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主な数字:
- 1億7300万人のデイリーユーザー(前四半期比で700万人増)
- 1億8200万ドル(約200億円)の収益(3200万ドル[約35億3200万円]増)
- 1ユーザーから平均1ドル5セント(約114円)の収入(15セント[約17円]増)
- 540万ドル(約5.9億円):メガネ型カメラの「スペクタクルズ(Spectacles)」やその他からの収益(−290万ドル[約3億2000万円])
- 4万2000本:「スペクタクルズ」の累計販売数
- 30%増:ディスカバー(Discover)のパブリッシャーが提供するストーリーの閲覧数の増加割合
- 現在、スナップのアドインプレッションの60%がプログラマティック化
- 20:一般的なユーザーが1日に作成するスナップの数
ウォール街が期待していたこと:
ここ最近はウォール街がスナップに対して弱気なのは明らかだが、これは第1四半期の収益報告から現在までのあいだで、スナップの株価が株式公開買付時の価格から40%以下にまで急降下していることが原因だ。アナリストが期待しているのは、スナップがデイリーユーザー数、広告収入の両面で十分に成長し、Snapchatのサービスの真似をしているFacebookの攻勢を生き残れるという確証を示すことだ。
CNBCによると、スナップの第2四半期の収益報告では、およそ1億7400万人のデイリーアクティブユーザーと1億8600万ドル(約203億円)の歳入が報告された。これはどちらの側面でも不十分であり、株価はさらに下がっている。
あるツイートで示されたFacebook効果:
Can you guess when FB and Instagram started to clone Snapchat's features? pic.twitter.com/vxFLXNoPG6
— Kurt Wagner (@KurtWagner8) 2017年8月10日
Snapchatのデイリーアクティブユーザー(DAU)数における四半期ごとの推移
FacebookとインスタグラムがSnapchatのマネゴトをはじめたときに、こんな未来を予測できた?
同一ユーザーからさらなる収入を:
Snapchatは、ウォール街を満足させるほどのデイリーユーザーを獲得できていない。株式公開以降、スナップは「デイリーユーザー数を企業としての成功の指標にするのは間違っている」と、投資家に訴え続けた。そのかわりに、注目すべきことは既存のユーザーからどれだけ収入を得ることできるかであると主張してきたのだ。2017年の第1四半期末、スナップは1ユーザーから平均90セント(約99円)の収入を得ており、第2四半期では1ドル5セント(約116円)に増えている。
ここで問題なのは、テック系企業を評価する指標として、特にデイリー・マンスリーのアクティブユーザー数のような数字を使うことがウォール街で慣習となってしまっていることだ。しかし、これらの指標で見れば、スナップは失敗しており、インスタグラムのストーリーが次々とユーザーと広告主を獲得している現在は、スナップに投資する時期として適切ではない。
大事なのは8月中旬以降:
先週8月14日の月曜日、新規株式公開から150日間の従業員や初期投資家の「ロックアップ」期間が終了した。この日を境に、従業員は公開からはじめてスナップの株式の売却が可能となる。スナップの執行部がどのように振る舞うかとかは関係なく、従業員がどうするかは企業内のモラルを示す、良い指標となるだろう(スナップのCEO、エヴァン・スピーゲル氏によると、彼自身、そして共同設立者のボビー・マーフィー氏はともに、年内に株式を売却するつもりはないという)。
Snapchatがパブリッシャーに示す愛情:
スナップは、バーティカル・ネットワーク(Vertical Networks)、CNNやブリーチャー・レポート(Bleacher Report)などの、ディスカバーのサービスパートナーを歳入報告でハイライトした。スピーゲル氏は、バーティカル・ネットワークの人気番組『フォンスワップ(Phone Swap)』がどのようにしてエピソード単位で1000万人以上の平均視聴者数を獲得できたかについて記している。そしてさらに、バーティカル・ネットワークがこの番組をリニアTVで実現・成功させたことについても言及した。
また、CNNとブリーチャー・レポートも、パブリッシャーによるディスカバーのチャンネルがそれぞれ1200万人、1600万人の月間視聴者数を獲得したという賛辞を受けた。Snapchatは、まだインスタグラムが真似をしていない、ディスカバー部門のリーチやその品質の素晴らしさを強調しているかのようにも見える。
見え隠れする良い兆し:
2016年の上半期以降、Snapchatの成長はほとんど横ばいの状態である一方で、アプリではユーザー数を増やしている傾向が見られる。アプリのアナリティクスを手がける企業、アップトピア(Apptopia)による全世界におけるiOSおよびアンドロイドのトラッキングデータによると、6月から7月にかけて、スナップのデイリーアクティブユーザー数は12%増と跳ね上がり、8月はそれをさらに上回った。
スピーゲル氏はまた、第2四半期中のSnapchatのアドインプレッションの半数以上が、自社で構築したアドプラットフォームと広告APIを通じて行われたと語る。
広告代理店グループの最大手、WPPのCEOマーティン・ソレル氏は、2017年中にエージェンシーのSnapchat上での広告費は倍増し、2億ドル(約220億円)に達するだろうと語る。しかし、この金額をもってしても、スナップはあと数百万ドル必要なのではないだろうか。