今年はAmazonの広告が大きくなった。投資を増大して10億ドル(約100億円)超の事業になり、エージェンシーやブランドからの注目も高まっている。今回は、Amazonのそうしたサービスの詳細について要点をまとめて紹介する。
今年はAmazonの広告が大きくなった。投資を増大して10億ドル(約100億円)超の事業になり、エージェンシーやブランドからの注目も高まっている。今回は、Amazonのそうしたサービスの詳細について要点をまとめて紹介する。
Amazon Marketing Services(AMS)
- セルフサービスによる、DIYのペイド検索メディアを提供している。ブランドは、ヘッドライン検索広告と商品リスティング広告に広告を表示できる。
- ヘッドライン検索広告は、検索結果のトップに表示されるクリック単価の広告であり、買い物客が検索した用語に基づいてターゲティングする。Amazonに対して売るベンダーと、サードパーティのセラーの両方に公開されている。
- スポンサープロダクトは、商品ページとスクロール可能なモジュールとに表示される。これも、ベンダーとセラーの両方に公開されている。Amazonだけのポイントは、Amazonは商品を販売するため、在庫がなくなると広告も止まる点だ。
- 商品ディスプレイ広告は、キーワードによるターゲティングはないが、補足的な商品のページや、さらには競合商品などに表示されることがある。
- 現在ベータ版のAPIが、来年には公開される予定。1日の支出額やキャンペーン管理などをブランドがコンロトールできるようになる。
Amazon Media Group(AMG)
- Kindle広告、スポンサー広告、ディスプレイ広告、家庭外広告(OOH)など、より従来型の広告を購入できる。
- 2017年に始まったAmazon Video Adsは、音量オフがデフォルトで、Amazonのサイトやその他のところで自動再生する動画広告。
- AMGは、「IMDb.com」などさまざまなサイトから「インタレストグループ」を見つけ、ブランドがテイクオーバーを制作して広告スペースを使うのに協力する。
- AMGには「Amazon Advertising Platform(AAP)」がある。Amazonのサイトとサードパーティのサイトで横断的にキャンペーンを実施できる仕組みだ。
- Amazonは今年、AMG向けのセルフサービスを公開した。エージェンシーが自らキャンペーンを管理でき、Amazonを通す必要がない。
- 2017年はまた、スポンサープロダクト広告のAPIも始まった。
広告か、小売体験か
Amazonは、AAP、AMS、AMGなどを通じて利用できる広告製品とは別に、ブランドが「店先」の表示を拡張する方法も提供している。
- Amazon Stores:これは、ベンダーとセラーの両者が、仮想の「買い物」体験をセルフサービスのDIYで構築できるサービスだ。ブランドは、デザイン・テンプレートを選んで商品を選定できる。
- Standard A+:ベンダーはA+に登録できる。Amazonによると、これにより売上を10%向上させられるという。主に、写真と動画をよいものにできる。
- Enhanced/Premium A+:招待制のPremium A+だと、ブランドはモジュールを7つ使える(通常版より増える)ほか、インラインバナー、ローテーションバナー、インタラクティブハイライト、比較など強化された機能を使える。ある広告バイヤーによると、ほかの商品との「比較」をテストしたところ、顧客の70%が2番目に高い価格を購入したという。
Advertiser Audiences
7月に使えるようになったセルフサービスのツール。AmazonはこれでWebサイトの買い物客をセグメント化している。ブランドは、自社の顧客リストをAmazonの買い物客とマッチングさせて、Amazon広告キャンペーンで使うターゲティングセグメントを作ることができる。
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数字
- AMGの最低投資額は5万ドル(約550万円)。
- A+のページの費用は1ページ約250ドル(約2万7000円)だが、ブランドの規模やAmazonが提供するサービスのレベルによっては、もっとかかることもある。
- Premium A+の費用は、ページ数無制限で25万~50万ドル(約2700万〜5500万円)。
インフルエンサー・マーケティング
Amazonではインフルエンサー・マーケティングはまだ新しく、2017年秋にAmazon Spark(プライム会員だけが投稿できる、買い物ができるフィード)がはじまったところだ。つまり、ブランドはまだやれないが、インフルエンサーは実施できる。
バイヤーの声
マーケットプレイス・イグニション(Marketplace Ignition)のプロダクト担当VP、トッド・ハリック氏は、「ブランドは、Amazonとのハイブリッドな販売関係の検討にいっそう力を入れていく必要がある。実際にたくさんの大手クライアントがその取り組みを進めており、どうやるのがいちばんよいのかを把握するために我々が雇われている」と語る。「ブランドはAmazonを、全体的なブランド戦略のひとつのコンポーネントとして見る必要がある。コンテンツ制作や、同プラットフォームにおけるプレゼンス購入のやり方においてだ。そのためにはこうしたページを、全体のトラフィック戦略の一環としてどのように取り込むかを慎重に検討する必要がある」。
別のメディアバイヤーは、「ブランドはAmazonを、光り輝く魅力的なものとしては扱えない」と語る。「Amazonが、すべてにとって究極的な目的になるわけではない。さらに、Amazonで商品を売っていないなら、広告的な視点からは意味はない。Amazonは、友と敵が合体したような存在だ」と、このメディアバイヤーは語った。
Shareen Pathak (原文 / 訳:ガリレオ)