Twitterのユーザー収益化に対する最新の試みは、「体験」ではなく「サービス」に焦点を当てている。Twitterは6月3日、かねてから予告していたサブスクリプションサービス「Twitter Blue」を発表した。だが、このサービスでは、予想されていた広告非表示機能については、サポートされていないようだ。
Twitterのユーザー収益化に対する最新の試みは、「体験」ではなく「サービス」に焦点を当てている。
Twitterは6月3日、かねてから予告していた(そして先週、偶然にもリークされた)サブスクリプションサービス「Twitter Blue」を発表した。だが、このサービスでは、予想されていた広告非表示機能については、サポートされていないようだ。
以下、その発表の要点をまとめる。
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重要なキーポイント
- Twitter Blueのサブスクライバーは、「ツイートする」ボタンを押したあと最長30秒以内に公開を取り消せる「アンドゥツイート(Undo Tweet)」機能、ツイートを保存・分類できる「ブックマークフォルダ(Bookmark Folders)」機能、Twitterのスレッドを連続した記事にまとめる「リーダーモード(Reader Mode)」機能、Twitterアプリにさまざまな色やテーマを追加できる機能などを利用できる。
- Twitter Blueは、現時点ではカナダとオーストラリアでのみ提供される。月額料金は3.49カナダドルまたは4.49豪ドル。日本での月額料金は350円と言われれいる。
- 発表後、Twitterの株価はわずかに上昇し、約3%上昇して58.60ドルとなった。
パワーユーザーのためのパワーツール
Twitter Blueは、いくつかの点で、長く愛されているレディット(Reddit)の課金サービス「レディットプレミアム(Reddit Premium)」を彷彿させるところがある。2018年にリニューアルされた「レディットプレミアム」は、典型的な広告サポート体験とは異なる形で、プラットフォームを利用する機会を顧客に提供しているからだ。レディットプレミアムのサブスクライバーには、アバターをカスタマイズしたり、投げ銭用の仮想通貨を利用できる機能など、さまざまな特典が与えられる。
しかし、重要な点で違いがある。Twitter Blueのユーザーには広告が表示されるのだ。そのため、サブスクリプションサービスの収益分、同社の売上は積み増しされる。しかし、広告を掲載し続けることで、Twitterはサブスクリプション料金を抑えることができるのだ。というのも、Twitter Blueは、一般的なユーザーよりも広告収入の多い「パワーユーザー」向けに設計されている。ある独立系アナリストは、Twitterの(収益化可能な)デイリーアクティブユーザー1人あたりの世界平均収益を約17ドル(約1870円)と見積もっているという。アメリカのTwitter中毒者は、それよりもかなり高い価値があると思われる。
開発体制の増強
Twitterは最近、立て続けに製品開発や機能増強を図っている。これは大規模な追加採用が行われたことと、昨夏から影響が出始めた同社の技術インフラへの大規模な投資のおかげだ。
Twitter Blueは、最近ローンチした投げ銭機能「ティップジャー(Tip Jar)」やライブオーディオ機能「スペース(Spaces)」のチケット販売など、ユーザー収益を取り込むために、Twitterがローンチしたプロダクト群のひとつだ。最近、Twitterはサブスクライバー収益に依存するふたつのサービス、「スクロール(Scroll)」と「レベニュー(Revue)」を買収したが、どちらも現時点ではTwitter Blueに含まれていないように思われる。このことから、今後のさらなる展開を示唆しているといえるだろう。
[原文:Cheat Sheet: Why Twitter Blue is tool-focused, rather than experience-focused]
MAX WILLENS(翻訳・編集:長田真)