PUBLISHERS AND GOOGLE

Google の「商品レビューに関するアップデート」は、パブリッシャーにとって痛手?:要点まとめ

Googleは、専門知識や情報をインターネット上に散在させることを好む。今回の検索エンジンのアップデートは、コマースコンテンツの専門知識を分散させ、急速に発展するeコマースの世界でのGoogleの役割をさらに強固なものにするだろう。

Googleは2021年4月8日、「商品レビューに関するアップデート」を発表。これは、どのようなコマースコンテンツが検索結果の上位に表示されるかを左右するものだ。厳密にはコアアップデートではないものの、ビジネスにおけるコマースコンテンツの重要度が高まっているパブリッシャー界隈には、大きな影響があると見ていい(現状、英語で書かれた商品レビューのみが対象)。

今回のアップデートにより、商品に関する情報をまとめた商品レビューではなく、商品を「実際に使って評価した商品レビュー」が優先的に表示されるという。この動きはパブリッシャーにとって痛手となる。特に、商品レビューをまとめることで成功を収めているパブリッシャーにとっては。

主なポイント

  • 具体的には、商品に関する「専門的な知識を伝える」レビューや、製品が実際にどのようなものかを「メーカーが提供する以上のユニークな内容で」表現しているレビューが有利になる。
  • 商品を比較したコンテンツも効果的だ。今回のアップデートでGoogleは、Webサイト所有者に対し「商品に定められている各種の性能が、実際にどの程度達成されているかについて、定量的な測定値を提供すること」を考慮に入れるよう求めている。
  • 今回のアップデートは、現状英語で書かれた商品レビューのみが対象だ。なお、この変更が反映されるまでには2週間かかるとGoogleは述べている。

良いコンテンツを選別

Googleはこれまで、検索の変更はユーザーのためだといい続けてきたが、今回のアップデートがその使命にどれくらい寄与しているかは容易にわかる。近年、コマースコンテンツの市場はますます混雑している。ブランドや小売企業がアフィリエイトマーケティングへの関心を高め、パブリッシャーがその手数料を追い求めているためだ。2020年のパンデミックをきっかけに、この傾向に拍車が掛かった。多くの広告主は、メディア支出に慎重になる一方で、アフィリエイトマーケティングに投資したのだ。

大規模なコマース事業を持つあるパブリッシャーの幹部は、匿名を条件に今回の検索エンジンのアップデートについて、以下のように語る。「正直なところ、世の中の(コマースコンテンツの)多くがくだらないものになっている」と明かした。「昨今は、内容との釣り合いが取れていないものが多いと思う」。

Amazonのカスタマーレビューを集めてまとめたコンテンツではなく、商品を実際に使って評価したコンテンツが優先されることは、その観点からも理にかなっている。

しかし、コマースコンテンツ事業を持つパブリッシャーの幹部たちは、懸念を示している。というのも、コマースコンテンツの制作に、これまで以上の時間と資源を投じる必要性が高まり、新しい商品カテゴリーへの進出にも莫大な費用がかかることが予想されるからだ。また、よく調査された詳細な商品レビューは「規模の拡大が難しい」と、別のパブリッシャー関係者も述べている。

ショッピングエコシステムの構築

Googleにとって、質の高いレビュー作成を推進するのは、ほかの意味でも有益だ。多くのプラットフォームと同様、Googleは消費者のeコマース行動において、いかに最大限の役割を果たすかを思案している。専門家による実際のレビューで満たされた環境をつくることで、米国の消費者の大部分が商品検索の多くを行うAmazonとの差別化につながるのだ。ダイナタ(Dynata)が2020年8月に実施した調査では、米国の成人の53%が、まずAmazonで商品検索を行うという結果が出ている。

Amazonは、パブリッシャーによる商品レコメンドやレビューを、プラットフォーム内に組み込もうと試行錯誤しているところだが、Amazonが所有、運営するプロパティもGoogle同様、広告でますます混雑している

Googleによる、過去の検索エンジンに関するアップデートは、パブリッシャーのコマース事業に、さまざまな形で影響を与えてきた。2019年後半には、パブリッシャーのサブドメインにホストされているコンテンツの扱い方を変更し、かつて有望だった、クーポンを活用したマネタイズ手法を断ち切った。さらに同年、パブリッシャーをいら立たせる出来事があった。Googleが、パブリッシャーの商品レコメントコンテンツの一部を収集し、検索結果に表示されるGoogleショッピングのウィジェットに組み込みはじめたのだ。これは実質、売上促進のためにパブリッシャーのインサイトを盗用しているにも関わらず、パブリッシャーにその対価を支払わないという形になっている。

パブリッシャーの頭のなかには、「また同じことが繰り返されるのではないか」という不安がよぎっている。Googleは2021年3月後半、Googleショッピングのホームページに、ベスト・シングズ・フォー・エブリシング(Best Things for Everything)というウィジェットを導入し、数十のカテゴリーからキュレートされた商品を紹介しはじめた。ウィジェット内の商品ページには、やはりパブリッシャーのコンテンツの一部が表示されている。

[原文:Cheat Sheet: Google curbs publishers’ commerce plans with a product reviews update

MAX WILLENS(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:村上莞)