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Apple 、ポッドキャストの「有料化」に向けて動き出す:要点まとめ

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ポッドキャストコンテンツをサブスクリプションで提供するサービスは、現在も存在する。しかし、市場における適正な価格はまだ定まっていない。だがAppleの動きによって、こうした状況が変わる可能性がある。

AppleのCEO、ティム・クック氏は2021年4月20日、クリエイターが近いうちに、広告の代わりにAppleポッドキャスト(Apple Podcasts)内でのサブスクリプションによってマネタイズできるようになると発表した。

重要なポイント:

  • クリエイターは、Appleポッドキャストでサブスクリプションを販売するのに、Appleポッドキャスト・プログラム(Apple Podcasters Program)への加入が必要だ。加入の資格要件はないが、年間19.99ドル(約2180円)の費用が掛かる。
  • クリエイターは最初の1年間、サブスクリプション売上の70%から、税を差し引いた金額を受け取ることができる。2年目からは、その割合は70%から85%に上がる。
  • サブスクリプション向けコンテンツは、ボーナスエピソードであろうと、広告なしの番組であろうとApple専用でなくても良いが、どのプラットフォームでも無料では視聴できない。
  • クリエイターは基本的に、自らの塩梅で価格を設定できるが、Appleは、最低課金価格を月額49セント(約50円)に設定している。
  • サブスクリプション機能とAppleポッドキャストの新しいルック&フィールは、2021年5月、170の国・地域で適用される。クリエイターは、Appleのバックエンド分析プラットフォーム、Appleポッドキャスト・コネクト(Apple Podcasts Connect)を利用して、ページや番組の見映えをよくするのに必要な機能を利用することできる。

プラットフォームの狙いは自らの顧客獲得

ポッドキャストのサブスクリプションへのシフトは、ルミナリー(Luminary)といったサブスクリプションのポッドキャストプラットフォームや、パブリッシャーがサブスクリプション登録者専用ポッドキャストコンテンツを顧客に提供しやすくする、サポーティングキャスト(Supporting Cast)の出現により、2年前ころから加速し始めた。

しかしこれまで、こうしたプラットフォームの動きの大半は、プラットフォーム側のユーザー獲得に焦点が当てられていた。たとえば、Spotify(スポティファイ)でポッドキャストを聴くには、Spotifyのサブスクリプションプランに加入しなければならない。また、ルミナリーのポッドキャストを聴取したければ、月額4.99(約540円)のプランに加入する必要がある。

Appleの今回の動きは、こうした状況に大きな影響を及ぼすだろう。というのも、基本的にクリエイターサイドは今後、Appleポッドキャストのサブスクリプションの価格を好きなように設定できるようになるからだ。

たとえば、俳優ラミ・マレックが主演する『ブラックアウト(Blackout)』などの番組を手がけるポッドキャスト企業であるQCODEは、QCODE+なるサブスクリプションプランを、月額2.99ドル(約330円)で販売すると発表した。また、はじめて広告付きのポッドキャスト番組を展開したことで知られる、アスレティック(The Athletic)は、同社のふたつのチャンネルを、それぞれ月額0.99ドル(約110円)で提供する予定だ。加えて、『アップ・アンド・バニッシュド(Up and Vanished)』や『モンスター(Monster)』といった番組を手がけた、ポッドキャスト制作スタジオ、テンダーフット(Tenderfoot)も、月額4.99ドルのテンダー・プラス(Tenderfoot+)を展開予定だ。

これらの新サービスは規模は小さいが、既存の有料ポッドキャストに比べると価格が安いという点で魅力的だ。たとえば、バスケットボール関係の番組『Dunc’d On』を制作するポッドキャスト配信者、ネイト・ダンカン氏とダニー・ルルー氏は、1番組につき最高で月額16ドル(1740円)を設定している。

「市場ではおそらく、実験的な試みが増えていくだろう。いまのところ、成功事例や実績がまだないからだ」と、ソニー・ミュージックエンターテインメントで、グローバルデジタル事業および米国販売担当プレジデントを務めるデニス・クッカー氏は語る。

乱立するデジタルオーディオサービス

何年ものあいだ、マーケットの片隅にひっそりと存在したデジタルオーディオコンテンツは、ここに来て話題の中心に躍り出た。

ライブオーディオプラットフォームの Clubhouse (クラブハウス)が、シリコンバレーとメディアウォッチャーたちの注目を集めでからわずか数カ月後、Spotify、レディット(Reddit)、Facebookがいずれも、ライブ配信オーディオ機能の提供開始、もしくは買収を行う計画を発表している。

また、オンデマンドオーディオの動きも活発だ。Googleによると4月上旬、ポッドキャストアプリ、Googleポッドキャストのダウンロード件数は5000万件を突破。さらに、それから半年も経たないうちに、同アプリのダウンロード回数は、1億回に達したと発表したという。また、Appleに何年も後れを取ってきたSpotifyは、ポッドキャスト視聴のトップソースとしてAppleを追い越す見込みだ。調査会社eマーケター(eMarketer)は、ポッドキャスト分野でのAppleの市場シェアは2021年には24%まで低下するだろうと予測している。

[原文:Cheat Sheet: Apple scrambles podcasting’s paid landscape

MAX WILLENS(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:村上莞)