マーケターが召喚される、 Facebook 諮問グループの内側:「腰を据えて苦情を言える」

2011年のこと、マッキャン(McCann)のCEOだったニック・ブライアン氏、ハバス(Havas)のCEOだったデイビッド・ジョーンズ氏、コカ・コーラ(Coca-Cola)の幹部だったウェンディ・クラーク氏らトップマーケターとエージェンシー幹部が、ニューヨークのFacebookオフィスに集まった。Facebookの広告セールスの責任者であるキャロリン・エバーソン氏が招待したもので、FacebookのCOOのシェリル・サンドバーグ氏も出席。CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は動画カンファレンスで参加した。

これは、Facebookのクライアントカウンシルの最初の会合だった。現在からすると、まだ小さかったFacebookと、Facebookにお金を投じる人々のあいだに対話を生み出すべく、マーケターを招集したのだ。

動画でつながれたザッカーバーグ氏は、各メンバーに質問を求めた。現在はマーケティングテクノロジー企業のユー&ミスター・ジョーンズ(You & Mr. Jones)の創業者で、クライアントカウンシルからは3年前に離れたジョーンズ氏は、Facebookに投じるメディア予算の費用対効果はテレビ広告と比べてどうなのかを尋ねた。ザッカーバーグ氏はこの質問にすぐには答えられなかったが、調べたいと応じた。

次の会議では、Facebook広告と購入意志の相関関係を証明する、ニールセン(Nielsen)と共同で行ったサンプルサイズ1億件の調査がクライアントカウンシルに提示された。「かなり驚いた」とジョーンズ氏は語った。

現在のカウンシルの姿

現在、Facebookにはマーケターのカウンシルが4つある。クライアントとメディアバイヤーのカウンシル、クリエイティブのカウンシル、測定のカウンシル、そして小規模企業のカウンシルだ。最近は、メディア予算の投じ先としてFacebookに価値があることを証明する必要があるFacebookの思惑とは離れて、ブランドセーフティ、米国大統領選、サードパーティデータなどが話題になる傾向がある。

各カウンシルは頻繁に会合を開いていて、その目的は主に、新しい製品機能の議論や、待望の苦情の場だ。カウンシルは資金を投じるマーケターがプラットフォームと製品の改善について話をする場になっている一方で、メンバーを務めたことのあるさまざまな幹部によると、指標や価格設定などの問題について鬱憤を晴らす場としても機能している。

「ベータ版のテストついてもその他のことについても、腰を据えて苦情を言える」とある参加者。この幹部によるとまた、カウンシルのメンバーになると、Facebookがサードパーティデータの利用を禁止して広告ターゲティングの提供を取りやめたときのように、大きな変更について場合によっては5~6時間の準備時間が得られることが多い。現在は、ユニリーバ(Unilever)のCMOのケイス・ウィード氏、ピュブリシス・メディア(Publicis Media)の最高デジタル責任者のヘレン・リン氏、電通イージス・ネットワーク(Dentsu Aegis Network)の最高戦略責任者のナイジェル・モリス氏、BBDOワールドワイド(BBDO Worldwide)のCEOのアンドリュー・ロバートソン氏などがFacebookのカウンシルのメンバーに名を連ねている。

もうひとつの目的

Facebookのカウンシルのメンバーを務めるあるブランド幹部によると、カウンシルにはもうひとつの目的がある。「自分がかなり重要な人物なのだと感じさせてくれるのだ」と、この幹部はいう。

カウンシルのメンバーは、Facebookオフィスの社員バッジまでもらえる。

Facebookでカスタマーチームのディレクターを務めるサマンサ・ステットソン氏は、「我々のビジネスパートナーたちは業界を前進させることに関心がある」と語る。「我々の業界が直面しているさまざまな重要分野について率直なフィードバックを幅広くもたらしてくれる、信頼できるアドバイザーのコミュニティがカウンシルから生まれた。実際に、ブランドセーフティや測定からクリエイティブの新しいフォーマットまで、さまざまなテーマについて情報を新しくするのにカウンシルが役立っている」と、同氏はいう。

クリエイティブにも言及

2011年の発足以来、Facebookのカウンシルのメンバーを務めるロバートソン氏は、カウンシルはかなり時間をとられるが、その価値はあると語った。主なテーマは、Facebookにおける消費者の振る舞い、製品ロードマップ、広告で並外れた成果をあげているブランドなどだ。

Facebookはさらに2012年に、クリエイティブのトップ幹部らとクリエイティブのカウンシルを立ち上げた。2017年には、Facebookが広告主に提供している指標について問題が連続して明るみに出たことを受け、ユニリーバのウィード氏やネスレ(Nestle)でデジタルメディアやソーシャルメディアの責任者を務めるピート・ブラックショウ氏をメンバーに迎え、測定のカウンシルを作った。

Facebookはまた、国ごとのカウンシルも立ち上げている。たとえばオーストラリアでは2017年4月、エージェンシーやブランドの上級幹部をメンバーとしてカウンシルを立ち上げた。日刊紙オーストラリアン(The Australian)の報道によると、一連の測定問題とブランドセーフティ問題の後、Facebook広告の価値を大っぴらに疑問視するバイヤーが増えたことを受けてのことだった。現在は、ブラジル、インド、英国にもクライアントカウンシルがある。

「融和的なばかりではない」

マッキャンのクリエイティブチェアマンのロブ・ライリー氏は、グローバルのクライアントカウンシルとクリエイティブカウンシルの両方でメンバーを務めている。同氏によると、クライアントカウンシルはこのところ、時間の大半を測定と指標に費やしている。「マーク・ダーシー氏とキャロリン・エバーソン氏は厳しい質問をたくさんされている」と、同氏。「融和的なばかりではない」と語った。

カウンシルのあるメンバーによると、さらに最近、注目されているのは、ブランドセーフティの議論であり、また、政治や2016年の選挙結果におけるFacebookの役割だ。特にエバーソン氏は、Facebookの最近の「真摯さの取り組み」の概要を説明するのに時間をかけている。とはいえ、通常は、あくまで製品の更新に遅れを取らないよい方法だ。

助言とコンサルティングの企業、アールスリー(R3)でプリンシパルを務めるグレッグ・ポール氏は、各社、収益の大部分が広告主からのものなのだから、カウンシルはよい取り組みだと語った。CMOもバイヤーも必要に迫られており、Facebookにしろほかのプラットフォームにしろ、「アクセスが改善」するのはその点でプラスにしかならない。

ポール氏は同時に、カウンシルはたいてい強制力がなく「自己肥大化」しているので、Facebookの事業について助言する諮問機関により近いものに方向転換するべきだと語った。「マーケターは、猛烈な成長を続けたい場合、Facebookの透明性に個人的に関わり、また会社レベルで関わるのだと思う必要がある」と同氏はいう。

課題とライバルの動向

別の元カウンシルメンバーは、変わったのはFacebook自身が大きくなったことだと語った。かつては親密な集まりだったものが、Facebookから60人も出席することもあるようになり、製品展示会に近くなっている。それでも協力的ではあったが、ポイントは外れてきた。

Facebook以外のプラットフォームもカウンシルを設けている。Twitterのクライアントカウンシルには、上級のCMOやエージェンシーのトップ幹部が参加する。メンバーは約24人。Twitterの広報担当者は、カウンシルのメンバーや行われている議論は紹介してくれなかったが、Twitterのたくさんあるリソースのひとつにすぎないとした。ユニリーバのウィード氏は、最近のツイートによるとTwitterのカウンシルのメンバーだ。

Snapchat(スナップチャット)も、ブランドとエージェンシー、双方のバイヤーを中心にしたCMOカウンシルや、クリエイティブカウンシルを設けている。広報担当者によると、カウンシルはSnapchatが同プラットフォームの体験について人々から意見を聞くのに役立っている。Snapchatのカウンシルに詳しい人物によると、Snapchatのカウンシルはより打ち解けたもので、Snapchatにおけるプレゼンスを高めたいクライアントに特におすすめだという。

Facebookにとって最良

グループ・エム(GroupM)の最高デジタル投資責任者、スーザン・シーコファー氏は、Snapchatのカウンシルのメンバーだ。同氏によると、話題は測定関係が多い。プラットフォームの全体像をつかんだり、ほかのエージェンシーやブランドから懸念していることを聞いたりするのに、カウンシルはよい方法だと、シーコファー氏はいう。「1日の終わりには、短期プラントと長期プランの両方を理解することができる」と同氏は語った。

あるカウンシルメンバーは、「これが興味深いのは、耳を傾けていると見られるように、また前向きに対応していくように、Facebookが本気で取り組んでいるからだ」と語った。「透明性を高めるというのもある。カウンシル自体が透明化の取り組みだった2011年とは確かに違っている。しかし、積極姿勢を強め情報を求めるために実際に苦心している。Facebookの考え方が確実に市場に出るようにするには、最良の方法だと私は見ている」。

Shareen Pathak (原文 / 訳:ガリレオ)