日本でも動画マーケティングは、ずいぶんと一般化してきた。 今年、日本進出から10周年となる、動画プラットフォーム企業のブライトコーブは、7月6日に「Brightcove PLAY TOKYO 2018」をグランドハイアッ […]
日本でも動画マーケティングは、ずいぶんと一般化してきた。
今年、日本進出から10周年となる、動画プラットフォーム企業のブライトコーブは、7月6日に「Brightcove PLAY TOKYO 2018」をグランドハイアット東京で開催。2014年にはじめて開催され、ちょうど5年目の節目を迎える「PLAY TOKYO」は、日本最大級の動画カンファレンスだ。
同社の代表取締役社長、伊崎洋児氏はこの10年を振り返り、日本の動画ビジネスのトレンドについて解説。デジタルマーケティングが浸透している米国では、特にブランド企業において、社内に動画専門チームが存在しており、多様な目的で動画を展開している。そのため、同社でも目的やターゲットに応じたサービス展開を行なっているという。だが、日本ではまだひとつの目的でしか、動画を活用しない事例が多いと指摘した。
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目的により手段を変える
とはいえ、この10年で同社の国内の導入実績も300社を超えるなど、メディアだけでなく、ブランド企業における動画の活用は確実に拡大している。「私たちが動画配信プラットフォームを活用する理由」と題したセッションでは、ネスレ日本(Nestlé)とミズノ(Mizuno)の2社が、それぞれの動画を活用した取り組みや事例を紹介した。
2010年に開始したネスレ日本のオウンドメディア「ネスレアミューズ」は、いまや会員数550万人を超え、年間訪問数が7700万セッションと、国内のブランド企業が手がけるオウンドメディア事例としては、最たるもののひとつだ。さらに、同社はショートフィルムでブランドの世界観を伝える、「ネスレシアター」も展開。
同社がマルチに動画を活用する点について、ネスレ日本のデジタルマーケティング部 部長である出牛誠氏は、「動画を開発することが目的ではない。動画を制作することで、何を実現したいのかが重要。目的により、展開方法も変わってくる」と語った。
たとえば、レシピコンテンツでは、レシピ動画メディアであるDELISH KITCHEN(デリッシュキッチン)を実施。これは、料理レシピへの関心度が高く、ネスレアミューズではリーチしきれていない層にもリーチする目的だ。また、リーチ数ではなく、最後まで動画を見てもらい、エンゲージメント指数を高める目的では、同動画をネスレアミューズ内でも公開し、クイズと連動することで動画の完全視聴を高める施策も実施した。
「(ブライトコーブのプラットフォームを使うことで)動画の配信中、ユーザーがどう動いているか、その行動を詳細に把握できるようになった。データを見ることで、目的に応じた導線の設計がしやすくなり、また新たな回遊を生むことができている」。
守りと攻め
一方、ミズノでコーポレートコミュニケーション部 アシスタントマネージャーを務める間宮裕策氏は、動画マーケティングについて同社の「守りと攻め」の戦略について説明。
まずは、守りだ。同氏は、守りの戦略として、⑴一元管理、⑵インナー配信、⑶SNS連携の3点を挙げ、動画の管理体制を重視したと話した。動画は数多く制作されていたものの、どのカテゴリーの、どのような内容の動画を、誰が投稿しているのか、運用面で課題があったという。また、増えているSNS動画に関しても、複数のアカウントが存在する。そこを、動画ソリューションを導入することで、一元管理ができるようなり、より効果的な運用に繋げている。
そして、動画の管理体制を整備し、守りを固めたら、今度は攻めだ。まずはいま動画の主流となっているSNSで、動画制作を継続してやっていくこと。そのためには、何かと再生数が求められやすいなかで、しっかりそれぞれの動画の役割に応じた、KPIの設定が重要だと、間宮氏は語った。
もう1点は、「とにかく、自作する」ことが重要だという。もちろん外注先に委託はするが、自作することで、自社にノウハウを蓄積させることが目的だ。「まずは自作してみることで、外注時のディレクションも効率的にできるようになる」。
ノウハウの継承
最後に、ネスレ日本の出牛氏は、動画制作のノウハウの継承について、「動画マーケティングには、複数の部門が携わっているので、社内で培った知見をいかに横展開していくか、まさに課題だ」と語った。「ここはデジタルではなく、アナログに、各部署で、顔を突き合わせたセッションやディスカッションを実施することで共有していきたい」。
また、ミズノの間宮氏は、「これからSNSで、見やすいインパクトのある動画を、たくさん作っていきたい。数を増やしたい」と、抱負を見せた。
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※DIGIDAY[日本版]は、「ブライトコーブ PLAY Tokyo 2018」のメディアパートナーです。
Written by 亀山愛
Photo by Shutterstock