ネットワーク執行法 、ドイツの新法律に 政治家たちが注目:各プラットフォームが違法投稿を削除

ドイツでは、ソーシャルネットワーク上の投稿内容についてソーシャルネットワーク企業が責任を負う法律が存在する。この法律が施行されて半年が経過した先週、FacebookYouTube、そしてTwitterがこれまでドイツで削除またはブロックしたコンテンツについて報告書を提出した。これと同じような法律がイギリスでも検討されているなか、政治家たちはドイツ政府がアメリカのテック系プラットフォームとどう向き合うのかを注視している。

ネットワーク執行法(NetzDG)という名の同法律は、各プラットフォームに法に反するおそれのあるコンテンツを24時間以内に削除することを求めている。違反内容によっては削除までに7日間の猶予が与えられる場合もあるが、いずれにせよ期間内に削除できなかった場合は5000万ユーロ(約64億円)という重い罰金が課せられる可能性がある。さらにプラットフォームは半年ごとに違反コンテンツの報告義務を負うこととなっている。今回の報告書の概要は以下の通りだ。

  • Twitterは26万4000件の通報を受け、通報されたコンテンツの11%をブロックまたは削除した。
  • YouTubeは21万5000件の通報を受け、通報されたコンテンツの27%をブロックまたは削除した。対象となったコンテンツの大半はヘイトスピーチや過激な政治思想となっている。
  • Facebookは1704件の通報を受け、21%をブロックまたは削除した。
  • YouTubeは、ブロックする必要のあるコンテンツの93%を通報から24時間以内にブロックしている。
  • だが、637件については削除までに24時間以上を要した。
  • Facebookのコンテンツ削除の大半は24時間以内に行われたが、24件については1週間以上かかっている。
  • YouTubeは刑法専門の法律事務所に40回、相談を行っている。

法律事務所ホイキン・キューン・リューア・ヴォイテク(Heuking Kühn Lüer Wojtek)の共同経営者、ルーベン・ホフマン氏は「報告が開示されるまではブラックボックスだったが、報告を見ればプラットフォーム各社はこの法律の求める義務について真剣に取り組んでいることが分かる。表現の自由はドイツ憲法と民法で保証されており、プラットフォームに削除を求められるコンテンツは限られる。すなわち刑法に抵触するような基準のものだ」と語る。

削除の妥当性

この法律に批判的な立場の人間は、この法律の罰金を恐れたプラットフォームが過剰なブロックを行い表現の自由が損なわれるのではないかと、懸念の声を上げている。同法律では、どのコンテンツが違法に当たるのかを明確にしておらず、プラットフォームの裁量に委ねられる部分が大きいからだ。

同法律で初となる今回の報告書だが、各プラットフォームが使用したツールも異なっているため前述の懸念が現実となったのかを把握するのも容易ではない。

たとえばFacebookの通報数が少ないが、原因は同社がNetzDG用に用意した通報機能がFacebookの規約違反に対する通報システムと異なるためだ、という批判の声が上がっている。YouTubeやTwitterはこれまで使っていた違反通報システムに組み込む形で通報機能を導入している。

6カ月後に再評価

通報をうけたコンテンツに対し、各プラットフォームが実際にブロックした割合は少ない。これをもって各プラットフォームが過剰反応していない証左と捉えることもできる一方で、それぞれの事例について評価しなければ本当のところは分からないと、ホフマン氏は指摘する。

次回の報告書は6カ月後に提出される。そのとき各プラットフォームのコンテンツ削除の積極性に変化がないか、注目を集めることになるだろう。ドイツ連邦司法庁は、今回の報告書を2020年の同法律の再評価に用いるとしている。

ホフマン氏は「コンテンツが違法かどうかを民間の機関が判断するのは好ましくない」と語り、現行の法律をより優れたものにするにはテック系企業が出資して中立機関を立ち上げ、政府による監督を行うべきだと指摘している。

Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)