いま注目を集めるライブコマース業界。日本でもメルカリ、SHOWROOMなど有名企業が続々と参入している。9月5日、その“熱い”市場にトランスコスモスは俳優の山田孝之氏を取締役に迎え、ECプラットフォーム「me&stars」を立ち上げると発表。インフルエンサーのプレミアムコンテンツをライブ動画で販売するという。
本記事は、DIGIDAY[日本版]の兄弟サイト、ミレニアル世代向けのビジネスニュースサイト「BUSINESS INSIDER JAPAN」からの転載となります。
いま注目を集めるライブコマース(動画コマース)業界。中国での人気の加熱はすでに報じられている通り。日本でもメルカリ、SHOWROOMなど有名企業が続々と参入している。
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9月5日、その“熱い”市場にトランスコスモスは俳優の山田孝之氏を取締役に迎え、ECプラットフォーム「me&stars」を立ち上げると発表した。インフルエンサーのプレミアムコンテンツをライブ動画で販売するという。サービスリリースは今冬を予定している。

会見でライブコマース事業を説明する山田孝之氏と佐藤俊介氏。
トランスコスモスは1966年創業。コールセンター、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)、デジタルマーケティング、ECなどの分野で、おもにBtoBのITサービスをグローバルに展開してきた。2017年9月6日時点での時価総額は約1172億円。
なぜいま、トランスコスモスがライブコマースに参入するのか。トランスコスモスの取締役CMOでもあり、設立されるミーアンドスターズ株式会社のCEOに就任する佐藤俊介氏に聞いた。
「プレミアムな体験」への大きなニーズ
佐藤氏はシンガポール在住だ。モノがあふれるシンガポールでは、市場に流通していない特別な体験や時間を買いたいという人々のニーズは日に日に高まっているという。実際に海外では、Appleのティム・クックCEOとのランチをする権利が数千万円で落札されたりと、「体験を買う」行為に桁違いの金額が支払われている。

新しくECプラットフォームを立ち上げる佐藤氏(撮影:今村拓馬)
同時に海外では、セレブや芸能人が事業投資をしたり政治的意見を表明したりと、「個」の力が強い。影響力の強い「個」による体験型のコンテンツには、大きなマーケットがある。
これをなんとか事業化できないか。
そう考えていたとき、山田氏と出会う機会があった。山田氏は「カメレオン俳優」とも呼ばれ、ジャンルを問わずさまざまなことにチャレンジすることで知られている。話をする中で、新しいことへ挑戦したいという彼の想いに共鳴し、ともに事業を立ち上げることになったという。
記者会見で山田氏はこう語った。
「俳優だからといって、芝居だけをしていればいいとは僕は思いません。俳優である前に僕は一人の人間なので、自分が面白いと思ったことをしていく。それだけですね」(山田氏)
強豪との違いは「トップオブトップ」
ライブコマースには、すでにSHOWROOMなどの先行サービスがある。違いについて、佐藤氏は「トップオブトップを狙っていく」ことだという。
今出ている先行サービスは、マイクロインフルエンサーなどインターネット発の有名人を主役にしたものが多い。しかし今の日本ではまだまだ知名度の高い有名人の方が影響力が強い。「Me&Stars」は、そんな有名人たちが出演することになるという。
「事務所が関わっていることなので具体名はまだ言えませんが、(メルカリやSHOWROOMのような)先行サービスではやらないよね、といった人たちが出ることになると思います」(佐藤氏)
有名サッカー選手とPK戦?
主な事業の軸は「プレミアムLIVEコマース」だ。ユーザーがオークションなどを通じて、インフルエンサーのプロダクトを落札したり、インフルエンサーを支援したりするようになるという。

「経営のことは何もわからないので、まだまだ学ばせてもらっています」と語った山田氏
どんな「体験」が提供されるのかについては、「単純に握手とかではなく、それ自体がコンテンツになるもの」だという。そのため、企画には放送作家を使い、山田氏も内容をチェックしている。「体験」の具体例について、佐藤氏は記者会見で「有名なサッカー選手とPK戦ができたりとか、有名人と食事ができたりとか、一緒にミーティングができたりだとか」と述べた。
プラットフォームでは無料モデルと有料課金モデルが使い分けられる。動画を見たり、体験に参加する部分では有料課金モデルが採られる。利用者層のターゲットについては「インフルエンサーが誰に向けて発したいか、というニーズに合わせていく。iTunesのように、さまざまなコンテンツがあるプラットフォームを目指す」(佐藤氏)だという。
河上から河下までをBtoCでも
「Me&Stars」では、デジタル広告、EC、さらにカスタマーサポートまで一気通貫して担えるというトランスコスモスの強みを最大限活かす。今までBtoBで担っていた「顧客のデジタル化を支援する」試みを、toCで実現することが、今回の事業のキーとなっている。
「飛び石のように思われるかもしれないが、実は(トランスコスモスの)今までの事業の派生上にはあるんです」(佐藤氏)
「俳優業では、脚本ができた時点などある程度作品が仕上がった段階で参加する。『me&stars』ではスターの方にこちら側から声をかけて、何をしていくかを一緒に考えていく。ゼロイチで仕掛けていける面白さがあると思います」(山田氏)
[BUSINESS INSIDER JAPAN オリジナル記事]
(撮影:西山里緒)