[ DIGIDAY+ 限定記事 ]口パク動画作成アプリTikTokは、2018年を代表するアプリのひとつとなった。若者の支持を受けたTikTokを、DIGIDAY[日本版]読者はどう捉えているのか。我々はメールマガジン読者を対象に意識調査を実施。その回答によると、TikTokの認知度は99%、ひんぱん利用は21%という結果が見えてきた。
[ DIGIDAY+ 限定記事 ]TikTok(ティックトック)の「熱狂」は、2019年も続くのだろうか。
2018年を代表するアプリのひとつとなった、口パク動画作成アプリのTikTok。自撮り文化が浸透している10代にとって、エンゲージメントを容易に得られる同アプリは、自己表現の場として、圧倒的な支持を集めた。そのため、運営会社のバイトダンス(ByteDance)の評価額は780億ドル(約8兆円)にまで達し、一躍世界最大のスタートアップとなっている。
そこで、DIGIDAY[日本版]では昨年末、メールマガジン(無料)購読者に対して、TikTokに関する意識調査を実施した。本記事では、その調査結果を紹介する。なお、本調査の回答数は、総計166名となった。
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ポイント:
- 回答者の99%がTikTokを認識している
- その一方、アクティブなユーザー(視聴のみも含む)は21%に留まる
- 77%の回答者が、TikTokの企業価値を高すぎると見ている
全世界で8億回のダウンロード数を誇るTikTok。だが、国内ビジネスシーンでの利用については、まだ様子見のようだ。
アクティブユーザーは、5人に1人
DIGIDAY[日本版]の読者は、基本的にマーケティング関連職の従事者であるため、TikTokのメインユーザーとなる若年層とは少し乖離がある。にもかかわらず、「『TikTok』の利用実態についてお聞かせくださいという」という問いに対して、「名前や内容を知っている程度」以上の回答は、合わせて99%に上った。この結果を見れば、いかに昨年のTikTok旋風が凄まじいものであったかわかるだろう。
その一方、「ひんぱんに視聴は行っている」と回答した人は19%、「ひんぱんに投稿・視聴を行っている」と回答した人にいたっては2%しか存在しない。いくらユーザー層が異なるとはいえ、その認知度に対して実際の利用者数は、かなり低い印象を与える。
もっとも前のめりなのは、エージェンシー
「『TikTok』を今後ビジネスで利用したいですか?」という設問に対しては、全体的に「一旦様子見」という雰囲気が色濃く感じられた。そのなかでも、前のめりな印象を感じさせるのが、エージェンシー関係者だ。「積極的に利用したい」「利用を検討してみたい」に合わせて44%の回答が集まり、TikTokへの期待の高さを感じさせる。
一方で、ブランド関係者の「積極的に利用したい」への回答は4%、パブリッシャー関係者に至っては0%であり、どちらも慎重な姿勢を見せている。先日発表されたばかりの「TikTok Ads」が、どのような影響を与えるか注目したい。
「TikTok」の企業価値は、過大評価?
いまや世界一のスタートアップ企業へと成り上がったバイトダンス(ByteDance)。その企業価値についての評価は、「少し高すぎると思う」と「かなり高すぎると思う」との回答が77%を占めた。
その一方、「妥当だと思う」「少し低すぎると思う」への回答は23%に留まった。高まり続ける企業価値をバイトダンス(ByteDance)が証明するには、さらなる飛躍を続けていく必要がありそうだ。
最後に、現在のTikTokブームについて、回答者のコメントを紹介する。
TikTokブームは「一過性」
「同様のプラットフォームは今後も増殖されることが想定されるため、いまは静観」(ブランド/30代男性)
「直接購買活動に繋がりにくい若すぎる層への浸透のため、一過性ではないだろうか」(テックベンダー/30代男性)
「若年層がブランド価値を牽引している感があるため、一過性のもので終わる懸念がまだ強い」(エージェンシー/30代男性)
寄せられる「媒体」としての期待
「媒体としては、若年女性ユーザーへの認知獲得として、有用なメディアと感じる」(パブリッシャー/40代男性)
「To C ビジネス、かつ若者向け商材で活用できる媒体のイメージ」(その他/20代男性)
「だいぶ広告利用が増えている印象を受ける」(エージェンシー/30代女性)
「日本国外にいるが、若年層を中心に民族問わず流行っている」(エージェンシー/40代男性)
課題は若い世代より上の世代の取り込み
「投稿者、閲覧者のそれぞれの年齢層や性別が、今後どう広がっていくか(狭まっていくか)を見守っていきたい」(エージェンシー/40代男性)
「FBから若年層が離れつつあるように、いったん若者ブームが去ったら、その後がどうなるか未知数だ」(パブリッシャー/50代以上男性)
「10代20代の遊びの場所と理解していて、企業のビジネス的なことが入ってくると、Facebookやインスタグラム(Instagram)のように若年世代が離れていくと思う」(エージェンシー/40代男性)
承認欲求を満たす場として若者のカルチャーを見事に捉えたTikTokの快進撃は、このまま続くのだろうか。そして、幅広い年齢層から支持を集め、動画プラットフォームの雄であるYouTubeの牙城を崩す事ができるだろうか。FacebookもTikTok類似アプリ「ラッソ(Lasso)」を昨年、すでにリリースしており、TikTokにとって2019年は正念場となるのか、はたまた独壇場となるのか。
Written by 吉田 圭二