- 車載ディスプレイを通じて自動車内広告を配信する4スクリーンは大手自動車メーカーと契約し、メーカーを越えた広告配信を実現しようとしている。
- 自動車内広告領域の強豪だったウェイズがGoogleに吸収され、4スクリーンは元ウェイズ人材を採用し、VCから約33億円を調達
- ドライバーの車内時間をターゲットに、ファストフード店やガソリンスタンドなど走行範囲内にある広告主の広告を展開する予定。
4スクリーンは自動車内広告でメルセデス・ベンツやアウディ等と契約。
ウェイズがGoogleに吸収された隙をついて、4スクリーンは市場での足がかりを築く。
自動運転車が本格的に普及するまで、あと数年は待たなければならないだろう。それでも、ドライバーのショッピングや買い物の選択に影響を与えるマーケティング機会を作り出そうとする企業の動きは、止まることがない。
4スクリーン(4screen)は、自動車内広告の分野を支配しようと活動しているドイツ企業だ。インタラクティブな車載ディスプレイを通じて自動車メーカーへの浸透を図っており、すでに、メルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)、アウディ(Audi)、トヨタ、シュコダ・オート(Škoda Auto)とダイレクト・ユーザーインターフェースに関する契約を締結している。
同様のソリューションを展開するライバルのウェイズ(Waze)は、(2013年にウェイズを買収した)親会社Googleの地図部門に吸収され、2023年には数人の従業員が解雇されたが、4スクリーンはこの状況を、足がかりを築くチャンスと見なしているのだ。そして、米国市場への進出をさらに活発化しようとしている。
あらゆるメーカーを通じてドライバーにアプローチ
4スクリーンの共同創業者でCEOを務めるファビアン・べステ氏によると、同社はウェイズにいたジェフリー・コール氏を米国事業責任者に、ジーンフィリップ・コスタ・モタ氏を欧州事業責任者に任命するなど、元ウェイズの人材を引き抜いているという。また、米国市場への進出にあたり、広告業界のベテランで、WPP(ザクシス[Xaxis]と24/7リアルメディア[24/7 Real Media])の幹部を長年務めたデビッド・ムーア氏を会長に起用した。
4スクリーンは、S4Sベンチャーズ(S4S Ventures)から500万ドル(約7億5000万円)の資金を調達している。S4Sベンチャーズはサンジャ・パルタロ氏が運営し、マーティン・ソレル氏とスタンホープキャピタル(Stanhope Capital)のダニエル・ピント氏が一部を所有するベンチャーキャピタル企業だ。他の投資家が参加したシリーズAラウンドを合わせると、4スクリーンが今年調達した資金は2200万ドル(約33億円)に上っている。
べステ氏が指摘したように、ドライバーは世界全体で1日あたり平均約1時間を車の中で過ごしており、重要性が年々縮小しているラジオのような従来型のチャネルではなく、新たなルートでマーケティングを展開する絶好の機会が生まれている。また、車載ディスプレイがかつてないほど普及している今、ドライバーがオプションとして追加するウェイズなどのアプリと違い、4スクリーンのサービスは車載ディスプレイのインターフェースに組み込まれている。[続きを読む]
- 車載ディスプレイを通じて自動車内広告を配信する4スクリーンは大手自動車メーカーと契約し、メーカーを越えた広告配信を実現しようとしている。
- 自動車内広告領域の強豪だったウェイズがGoogleに吸収され、4スクリーンは元ウェイズ人材を採用し、VCから約33億円を調達
- ドライバーの車内時間をターゲットに、ファストフード店やガソリンスタンドなど走行範囲内にある広告主の広告を展開する予定。
4スクリーンは自動車内広告でメルセデス・ベンツやアウディ等と契約。
ウェイズがGoogleに吸収された隙をついて、4スクリーンは市場での足がかりを築く。
自動運転車が本格的に普及するまで、あと数年は待たなければならないだろう。それでも、ドライバーのショッピングや買い物の選択に影響を与えるマーケティング機会を作り出そうとする企業の動きは、止まることがない。
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4スクリーン(4screen)は、自動車内広告の分野を支配しようと活動しているドイツ企業だ。インタラクティブな車載ディスプレイを通じて自動車メーカーへの浸透を図っており、すでに、メルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)、アウディ(Audi)、トヨタ、シュコダ・オート(Škoda Auto)とダイレクト・ユーザーインターフェースに関する契約を締結している。
同様のソリューションを展開するライバルのウェイズ(Waze)は、(2013年にウェイズを買収した)親会社Googleの地図部門に吸収され、2023年には数人の従業員が解雇されたが、4スクリーンはこの状況を、足がかりを築くチャンスと見なしているのだ。そして、米国市場への進出をさらに活発化しようとしている。
あらゆるメーカーを通じてドライバーにアプローチ
4スクリーンの共同創業者でCEOを務めるファビアン・べステ氏によると、同社はウェイズにいたジェフリー・コール氏を米国事業責任者に、ジーンフィリップ・コスタ・モタ氏を欧州事業責任者に任命するなど、元ウェイズの人材を引き抜いているという。また、米国市場への進出にあたり、広告業界のベテランで、WPP(ザクシス[Xaxis]と24/7リアルメディア[24/7 Real Media])の幹部を長年務めたデビッド・ムーア氏を会長に起用した。
4スクリーンは、S4Sベンチャーズ(S4S Ventures)から500万ドル(約7億5000万円)の資金を調達している。S4Sベンチャーズはサンジャ・パルタロ氏が運営し、マーティン・ソレル氏とスタンホープキャピタル(Stanhope Capital)のダニエル・ピント氏が一部を所有するベンチャーキャピタル企業だ。他の投資家が参加したシリーズAラウンドを合わせると、4スクリーンが今年調達した資金は2200万ドル(約33億円)に上っている。
べステ氏が指摘したように、ドライバーは世界全体で1日あたり平均約1時間を車の中で過ごしており、重要性が年々縮小しているラジオのような従来型のチャネルではなく、新たなルートでマーケティングを展開する絶好の機会が生まれている。また、車載ディスプレイがかつてないほど普及している今、ドライバーがオプションとして追加するウェイズなどのアプリと違い、4スクリーンのサービスは車載ディスプレイのインターフェースに組み込まれている。
「この60分間に、私たちはできるだけ多くのニーズを満たしたいと考えている」と、かつてBMWで自動運転技術に携わっていたベステ氏は話す。「ドライバーは、何か食べたり、車を充電したり、どこかに駐車したり、メンテナンスしたりすることが必要になるかもしれない。場合によっては修理もだ。普通なら、このようなときには第三者のサービスを利用する必要がある」。
だが、4スクリーンのサービスは複数のメーカーの車に組み込まれているため、広告主はすべてのメーカーにリーチでき、メーカーごとにアプローチする必要がないという。広告は各自動車メーカーの車載マップシステム内に表示される。
広告の機会を理解し、フォーマットを提供する
サービスの対象となる広告カテゴリーは、ファストフード店(4スクリーンはすでにマクドナルド[McDonald’s]と提携)やガソリンスタンド(シェル[Shell]も提携先)などだ。一方、まだ契約先が決まっていないカテゴリーとして、小売業や食料品チェーン、自動車部品などがある。たとえば、車のガソリンが少なくなったドライバーに対し、車内のインタラクティブシステムを通じて、走行範囲内にある広告主のガソリンスタンドをレコメンドするといったことが可能になると、べステ氏は説明した。
「この段階の企業が、これほどの規模のOEMをこのレベルで実現しているのは非常に珍しい」と、パルタロ氏はいう。「これは印象的というレベルを超えている。広告主とどのように話をすればいいのか、広告主が期待するKPIをどのように生み出せばいいのかといった点で、広告の機会を理解し、標準化されたフォーマットを実際に構築できる会社が必要とされているのだ」。
「さまざまなトップメーカーと提携して車載ディスプレイの領域を確保したことで、彼ら(4スクリーン)は前進するための素晴らしいプラットフォームを手にした」と、ムーア氏はいう。「4スクリーンのソフトウェアプラットフォームは、あらゆるメーカーと連携するように設計されている。今は行動することが大切だ。正しく行動し、正しい行動を続けるのみだ」。
「私たちは、S4Sベンチャーズの4スクリーンへの投資に大いに期待している。自動車内広告に対する彼らのアプローチは実に革新的であり、彼らのテクノロジーが車内体験の未来を定義すると確信している」と、メディアモンクス(Media.Monks)のオーナーで、S4キャピタル(S4 Capital)のエグゼクティブチェアマンを務めるソレル氏は語っている。
自動車内広告の市場は、ウェイズがGoogleから独立したサービスではなくなったこともあり、現時点ではそれほど大きくない。2022年のウェイズの収益は約4億ドル(約600億円)だった。
[原文:As Waze absorbs into Google’s maps unit, 4screen sees a chance to grab the in-car ad steering wheel]
Michael Bürgi(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:分島翔平)