Amazonは最新の機能拡張で、eコマースプラットフォーム「Amazonフレッシュ(AmazonFresh)」でスポンサープロダクト広告の表示を米国内で開始した。Amazonフレッシュ製品の広告は、Amazonフレッシュの検索結果に加えて、Amazonの通常の検索結果と製品の詳細ページ内に表示されるという。
35億ドル(約3900億円)規模のAmazon広告ビジネスは成長し続けている。
Amazonは最新の機能拡張で、eコマースプラットフォーム「Amazonフレッシュ(AmazonFresh)」でスポンサープロダクト広告の表示を米国内で開始した。Amazonがニュースを伝えるためにアドバイヤーに送った電子メールによると、Amazonフレッシュ製品の広告は、Amazonフレッシュの検索結果に加えて、Amazonの通常の検索結果と製品の詳細ページ内に表示されるという。
広告メニューの詳細
Amazonフレッシュの取り扱いアイテム向けのスポンサープロダクト広告は、Amazon広告を専門に扱うエージェンシー、ステラ・ライジング(Stella Rising)でマーケットプレイス担当バイスプレジデントを務めるリナ・ヤシャエバ氏によると、Amazonフレッシュ製品以外ですでに利用されているバージョンと同様に、広告主が広告を採用しやすくなるだろうという。広告はキーワードに基づいてターゲット化でき、人々が広告をクリックした場合に、たとえその製品が購入されなくても、広告主は料金を支払う。
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Amazonがニュースを伝えるためにアドバイヤーに送った電子メールによると、そうした広告は、Amazonフレッシュの検索結果に加えて、Amazonの通常の検索結果と製品の詳細ページ内に表示されるという。つまりAmazonは、Amazonフレッシュの検索結果内に広告をはじめて表示することを認めたわけだ。
2019年2月28日にAmazonのモバイルアプリで「チップス(chips)」を検索したところ、オーガニック検索結果による製品リストの上にレイズ(Lay’s)のポテトチップスのAmazonフレッシュ広告が表示されていた。電通イージス・ネットワーク(Dentsu Aegis Network)のeコマース担当シニアバイスプレジデントであるウィル・マルガリティス氏によると、通常Amazonは、検索結果のページ上でオーガニック検索結果による製品リストのなかにスポンサー付き製品の広告を2から4、分散して表示している。
広告は、Amazonフレッシュを利用できる米国内のユーザーだけに表示される。Amazonフレッシュが利用できるのはロサンゼルスやニューヨークのような一部都市に限られているが、広告はAmazonフレッシュのメンバーではない人にも表示されるだろうと、ヤシャエバ氏はいう。Amazonの生鮮食品配送サービスであるAmazonフレッシュは、Amazonプライム会員だけが利用できるが、Amazonプライム会員でも、Amazonフレッシュを利用するには月額15ドルを追加で払わなければならない。
Amazonの広報担当者にコメントを求めたが、記事発行時刻までに回答はなかった。
競合他社への影響
食料品や消費財のマーケターがAmazonフレッシュ製品を宣伝できるようにすることは、生鮮食品配送と広告ビジネスを展開するライバル(ウォルマート[Walmart]、クローガー[Kroger]、ターゲット[Target]など)に対するAmazonの立場を強化することになるだろう。「食料品は、米国内ではデジタル販売がもっとも浸透していないカテゴリーのひとつだが、Amazonはマーケットシェアを2桁増加させてきた」と、ヤシャエバ氏はいう。同氏は、eコマース解析企業ワンクリックリテイル(One Click Retail)の試算を引用し、Amazonの食料品販売は2018年第2四半期に40%増加し、6億5000万ドル(約720億円)にまで成長したと語った。
だが、Amazonフレッシュ広告の登場でAmazonは、実際の製品販売より多くの広告費をウォルマート、クローガー、ターゲットから奪う可能性がある。マルガリティス氏によると、人々はAmazonサイトで食料品や消費財をブラウズして検索という形でレビューをチェックするかもしれないが、実際に製品を購入するのは実店舗だろう、という。マルガリティス氏は、食料品や消費財のブランドは、新しい風味の新商品や製品の特長についての人々の認知度を上げる方法として、Amazonの最新の広告製品の利用を考えるべきだとアドバイスした。「Amazonは本当にブランディングの機会となる」と、マルガリティス氏はいう。
Amazonの顧客が、Amazonフレッシュで製品をフォロー・購入するよりAmazonフレッシュの広告をクリックすることのほうが多いと判明したら、キャンペーンの成功度合いを判断する広告主の能力が問われることになるだろう。広告主は通常、自分たちが配送できる販売をベースにしてAmazon広告を評価するが、それができるのは、その販売がAmazonのプラットフォーム内で成立した場合に限られる。マルガリティス氏は「それがAmazonの全体的な問題だ。その原因はAmazonが販売と直接的な結びつきを与えていることにある。多くの場合ブランドは、Amazonをはずすことの影響を理解するのに苦労する」と話す。
アトリビューションの問題
Amazonは、自社が所有するホールフーズ(Whole Foods)を使って、Amazonフレッシュ広告で起こりうるアトリビューションの問題を解決できるだろう。Amazonフレッシュ製品の広告をクリックする人は、Amazonフレッシュでは購入しないかもしれないし、Amazonフレッシュの会員にすらならないかもしれないが、ホールフーズの店に立ち寄り、そこでそれを購入するかもしれず、決済のときにAmazonプライム会員資格をスキャンする可能性さえある。その場合、Amazonは、実店舗での販売とオンライン広告を結びつけることができるだろう。ウォルマートはすでに、オンラインのブラウジングが実店舗での販売にどのように貢献しているかを知るために、各ブランドにそうした種類のインサイトを提供しているが、それはAmazonにとっても「いずれはやることだろう」と、マルガリティス氏は語った。
Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)