[ 1分まとめ ] Amazon の「巨大配送ネットワーク」の仕組みとは?

ホリデーシーズン真っ只中のいま、Amazonの巨大なロジスティクスネットワークにとっては試練の時だ。

Amazonは顧客に対してどれだけの数の配送を行うか、明らかにはしないものの、彼らが使う最大の配送業者のひとつ、アメリカ合衆国郵便公社(the United States Postal Service:USPS)は年末までに毎日2050万のパッケージを平均して配送する見通しだ。楽天インテリジェンス(Rakuten Intelligence)が今年出した分析によると、USPSはAmazonの配送の1/3超を担当している。

Amazonは近年、プライム会員向けに翌日配達といった大きな配送関連の約束を顧客に打ち出してきたが、これらを達成するためにロジスティクスネットワークをさらに良いものに改善すべく構築している。これによって、現在配送に使っている配送会社に対してもAmazonは強い立場を持てるようになる。その結果、Amazonが持つ高い配送のスタンダードを満たしてもらうよう、これらの配送会社への働きかけもできる。12月中旬、ウォールストリート・ジャーナル(the Wall Street Journal)が報じたところでは、「FedEx(フェデックス)の配送メソッドによるパフォーマンスが改善するまで」は、彼らの地上配送を使ってはいけないと、サードパーティのセラーたちにFedExの利用を禁止した。

しかし、これらすべてのロジスティクスへの投資はコストがかかる。「(オンライン・デリバリーは)非常にマージンの薄いビジネスで、コストは大きい」と、eマーケター(eMarketer)の主任アナリストであるアンドリュー・リプスマン氏は述べる。「可能な限りコストを削減し、なんとか(ビジネスとして)実行可能にすることにかかっている」。その流れを本稿では、一問一答形式で説明する。

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──Amazonで商品を購入した。この瞬間、私の商品はどこにあるのか?

誰から購入したかによる。Amazonにはふたつの種類のセラーが存在する。ひとつはサードパーティのセラーだ。これはAmazonのサイト上で彼らのプロダクトを販売するものの、Amazonとは独立した会社だ。もうひとつはAmazon自体だ。サードパーティは自らすべての配送を実行するか、Amazonにお金を払って配送を行ってもらうか決めることができる。後者においては、セラーがプロダクトをAmazonの倉庫に、その商品が購入されるまで保管してもらうことになる。

総じて、Amazonは世界中に175のフルフィルメントセンターを抱えている。Amazonが商品を保管するフルフィルメントセンターには2種類ある。仕分け可能センター(sortable center)ではオモチャや本といった比較的小さな商品が保管され、仕分け不可のセンター(non-sortable center)では家具のような大きめな商品が保管される。そこから荷物は仕分けセンター(sortation center)へと送られ、トラックに積み込まれ、同じ郵便番号に向かう荷物と一緒に最終目的地へと発送される。この業者はUPSかもしれないし、USPSかもしれないし、FedExかAmazonのトラックということもある。

──ちょっと待った。Amazonは自分でトラックを持っているのか。

持っている。ここ数年間、Amazonは長距離配送のために何千ものトレーラー・トラックを購入してきた。短距離、最終配送先への配送のためのバンも購入している。最初にプライム会員向けの無料2日配送、続いて無料1日配送に対応する商品の数が増えるなかでAmazonはこの投資を行ってきた。顧客に自社のトラックを使ってプロダクト配送ができれば、社運もコントロールできる可能性が高まるだろう、というのが狙いだ。

Amazonはまた、2015年に自社の貨物飛行機チームもローンチさせている。これはボーイング(Boeing)から飛行機をリースする形でほとんどが構築されている。Amazonはまた2021年までにAmazonエアー(Amazon Air)が70台の飛行機を持つことを予想しているという。

──とてもお金がかかりそうなプロジェクトたちだ。

その通り。Amazonは2018年の収支報告で移動、配送、仕分けセンターを含む配送コストは2016年の162億ドル(約1.7兆円)から2018年の277億ドル(約3兆円)へと増加したと報告した。フルフィルメントのコストは2016年の176億2000万ドル(約1.9兆円)から2018年の340億300万ドル(約3.7兆円)へと増加した。

こういったコストの一部を他社負担へと移行させることに成功させた手法のひとつが、2018年にローンチさせた配送サービス・パートナープログラムだ。このプログラムでは車40台以下、従業員100人以下の荷物配送チームをローンチさせることに報酬を払う。配送チームのオーナーはAmazonではなく、チームのオーナーが従業員の給与や、彼らの健康保険といった福利厚生の支払いをする責任を持つ。最近では、3カ月分の給料に加えて1万ドル(約109万円)をAmazon従業員に払い、プログラムを通じて配送ビジネスのローンチを促すということを行っている。

──ほかにはどのようにAmazonは支出をしているのか?

どこで支出をしていないか、の方が正しい質問だ。ロジスティクスとフルフィルメントにおいてAmazonが行ってきた投資のなかでも特筆すべきものには、2012年のキヴァ・ロボティクス(Kiva Robotics)の7億7500万ドル(約847億円)での買収がある。これはフルフィルメントセンターにおける自動化をさらに進めるためだ。そしてケンタッキー州北部における貨物飛行機のハブ空港を作るための15億ドル(約1640億円)の投資が挙げられる。売り上げの成長を果たすうえで、1日配送の適応商品を増やすことが重要であるとAmazonが考えるあいだは、こういった投資が継続して増えるだろう。

「顧客が増え、配送ネットワークを改善させるために投資を増やす、そのためより早く配送することができる、という循環には素晴らしいフライホイール効果が存在している。競争優位は時間が経つにつれて蓄積されていく」と、リプスマン氏は言う。

Anna Hensel(原文 / 訳:塚本 紺)