Amazonは、ロイヤルティとなるリワードに関して、Amazon製プログラムを使う企業への支援を進めている。このプログラムはAmazon Moments(モーメント)と名付けられ、2月14日にサービス提供を開始した。これまでにTikTok(ティックトック)やブラボ(Bravo)などが参加を表明している。
Amazonは、ロイヤルティとなるリワードに関して、Amazon製プログラムを使う企業への支援を進めている。
このプログラムはAmazon Moments(モーメント)と名付けられ、2月14日にサービス提供を開始した。これまでにTikTok(ティックトック)やブラボ(Bravo)、ソニーのクラックル(Crackle)、セサミ・ストリート(Sesame Street)、ワシントン・ポスト(The Washington Post)、ディズニーヒーローズ(Disney Heroes)などが参加を表明している。
サービスの詳細
Amazon Momentsは、アプリやウェブサイトのサブスクリプション契約の更新など、商業的に重要なアクションをとったカスタマーに企業がリワードとしてAmazonブランド商品やほかの小売企業が販売する商品を提供するためのプログラムとして注目されている。
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企業がリワードの対象とする「機会(Moment)」を選択することで、企業自身がダッシュボードでキャンペーンの日付を設定し、対象カスタマーを指定し、リワードの商品やパッケージの追加を行い、販促メッセージとリワードページのカスタマイズができるようになる。その後、アプリ内メッセージや通知、ソーシャルメディアの投稿などを通じて、カスタマーに対しtアプリやブラウザに応じた特定のアクションを推奨する。
そしてカスタマーが指定したアクションを行うたびに、企業からAmazonへと料金が支払われる仕組みとなっている。
試験運用の効果
Amazon Momentsの責任者を務めるアミール・カバラ氏は、アクションあたりのコストはカスタマーひとりあたりの生涯価値(LTV)を超えないように柔軟に設定できると語っている。たとえばあるニュースパブリッシャーのサブスクリプションに登録したカスタマーの価値が50ドル(約5500円)であれば、誤差を考慮して企業は40ドル(約4400円)のヘッドフォンを提供できる。
さらにカバラ氏は、CPAの面から特定のユーザー層ごとにリワードをカスタマイズできると語っている。たとえばゲーム開発者であれば、新規ユーザーには5ドルのリワードを、アクティブユーザーには25ドル、課金額が多いユーザーには200ドルと異なるリワードを設定できる。
特定のアクションにインセンティブとしてのリワードを提供できるようになれば、広告主は短期的なメリットを享受できる。カバラ氏は、あるエンタメ系のアプリやウェブサイトではリワードによって1日あたりの平均ユーザー数が291%、チャットメッセージが79%増加したと語る(具体的な企業名について同氏は明かさなかった)。
だがカバラ氏は続けて、このプログラムは長期的目標を掲げる企業にとってさらに大きなメリットがあると強調する。このプログラムを試験運用したとある動画配信サービス企業では、10ドルの商品をリワードとして提供したところサブスクリプションの登録者が「倍になる見込み」となったという。
復活するリワード
リワードプログラムは近頃、復活の兆しを見せている。マーケターはリワードプログラムについて、カスタマーを引き止めるための強力なインセンティブであると同時にショッピング体験の「ゲーム化」を行うツールとみなしている。だがリワードプログラムをゼロから作るのは大変だ。そんななか広告主がAmazon Momentsに期待しているのは、リワードを探して届けるという部分についてはAmazonに任せつつも、自らコントロールできるようなプログラムだ。
これについてカバラ氏も次のように語っている。「Amazon Momentsの対象となるリワードの流通についてはすべてAmazonが請け負う。マーケターはリワードの調達やフルフィルメントについての心配なしに、カスタマーが事業に貢献するような行動をとったときに支払いをするだけで良い」。
Amazon Momentsは、Amazon事業の広告収益よりもはるかに大きな存在となりうる。
枠組みの外側
アクションを促す各社の広告は、実質的にAmazonのウォールド・ガーデン(壁に囲まれた庭)の枠組みの外側にある。Amazon Momentsであれば、取引がどこで行われるかは関係ない。Amazonプラットフォーム外でのトラフィックの収益化もこれまでより容易だ。昨年初めて試験運用されたAmazonアトリビューション(Amazon Attribution)も観察筋からそうした重要な一歩として称賛された。
アドテク企業ナニガンス(Nanigans)でマーケティング部門のバイスプレジデントを務めるライアン・ケリー氏は「これまでブランド各社には、モバイルアプリのデータをAmazonと共有する十分な理由は存在しなかった」と指摘し、次のように述べている。「だが、もしブランド各社がAmazon Momentsを活用するのであれば、AmazonプラットフォームのAPIを統合せざるを得ない。Facebookの場合、すでに大半のアプリはFacebook SDKを実装しているかFacebookのAPIを使用している。Amazonもこのような状況を目指しているのは明らかだ」。
Seb Joseph(原文 / 訳:SI Japan)