「動画広告」に不満を覚える、 Amazon の広告主たち

Amazonで動画広告を利用できないことが、広告主の間で問題となっている。

Aamzonの広告ビジネスは、直近の四半期に22億ドル(約2442億円)という最高収益をあげ、その後も急速に成長を続けている。Amazonの検索もディスプレイ広告も非常に効果的ではあるが、現状の2社独占状態から3社独占状態へと打開するまでには至っていない。この記事の執筆にあたりインタビューを行なった広告主やエージェンシーによると、メディア戦略において、AmazonがGoogleやFacebookよりも上だと考えるにはまだ根拠が不十分だという。動画はそれを示すひとつの要素であり、多くの広告主はそれをAmazonに求めはじめている。

クライアントたちの見解

「ペルノ・リカール(Pernod Ricard)のブランドにとって、動画はコンテンツミックスで鍵となる要素だ。Amazon上でも適切なフォーマットで提供されれば、間違いなく検討に値する」と、ペルノ・リカールでグローバル・デジタル・アクセラレーションディレクターを務めるピエール=イブ・カロック氏は語る。「我々が(Amazonで)まず注力すべきなのは、適切なeコマースを作り上げることだ。その後は、広告を検討するが、主には検索だ」。

現在はそこまで規模が大きくはないというだけで、Amazonには動画ビジネスがある。映画情報サイトのIMDB.comやゲーム実況プラットフォームのTwitch(ツイッチ)、ファイヤーTV(Fire TV)、そしてAmazonのプライムビデオ(Prime Video)のスポーツ中継番組とともに、Amazon.comのプラットフォーム上で動画広告が販売されている。だが、広告主がAmazonの広告プラットフォーム内に自分たち自身で作り上げたプラットフォーム上では、これらの動画インベントリのすべてが買付の対象とはなっていない。

レゴ(Lego)は2017年に、アメリカ国内のAmazonアプリ上での検索結果ページ上で動画広告を掲載する実験を行なった。その効果は上々で、さらなる広告購入を推し進めるには十分な結果となった。

「この実験によって、動画や情報量の多いメディアも、購入に至るまでのプロセスの一部となることで、その重要度が再認識できた。なんといっても、購入プロセス全体の70%がAmazonからはじまっているのは大きい」と、レゴで新興プラットフォーム・パートナーシップ部門を率いるジェームズ・ポルター氏は語る。「人々が何かを買うのと同じ場所にコンテンツを配置すれば、可能性は広がるだろう」。

Amazon自身の対応

2018年7月、AmazonのCFOを務めるブライアン・オルサフスキー氏は決算報告の場で語ったところによると、新しい広告のフォーマットを準備中だという。

「マーケターの多くは、いまもAmazonをパフォーマンスの向上を直接的に促すためのツールとして見ており、動画は多くのケースで二の次に追いやられている」と、メディアエージェンシーのエッセンス(Essence)でアクティベーションディレクターを務めるジョセフ・マイヤーズ氏は語る。「Amazonのデータを使ってブランド認知のキャンペーンを実施したときでさえ、動画の面で多くの制約があり、あまりうまく機能しなかった。Amazonの目の届く範囲内で使えるインベントリという観点では動画広告には制約があり、(そうした広告の)最適化や報告のために我々が使うツールの多くは、まだ出て間もない」。

Amazonはこの件に関するコメントを控えている。

Amazonの広告ビジネスの成長スピードは凄まじいが、主要な消費財や小売ブランドは、Amazonの自社ブランドビジネスにさまざまな問題を抱えており、世界中の広告主はこれをむしろ実験的なプラットフォームとして捉えている。Amazonもそのことを認識しており、マーケターに動画(広告の)機会を密かに与えはじめている。ここでは、Amazon.comやAmazonのアプリ、Amazonプライムの『サーズデイ・ナイト・フットボール(Thursday Night Football)』、そしてファイヤーTVのインベントリのすべてが含まれる。

求められる動画広告

ハイネケン(Heineken)はAmazonの広告ビジネスをフル活用することについては多くを語っていないが、Amazonのプライムビデオ上での広告提供には魅力を感じている。ブランドディレクターのニック・キャスビー氏によると、この酒造メーカーのイギリス支部で、2019年にAmazonサイト上で同社初となる動画キャンペーンを実施する予定だという。

「来期はAmazon活用の計画がある」と、キャスビー氏。「Amazon上で独自のタイトルに関連したコンテンツやフィーチャーを行うつもりだ。(我々のブランドに)関連のあるそれぞれの番組でこのプラットフォームと協働し、のちにそれに見合ったコンテンツを制作するかもしれない」。

Amazonで動画広告が増えていくのは時間の問題だ。真の課題は、GoogleやFacebookよりも良い形で提供できるかどうかにある。Amazonは、ショッピングの体験のなかにうまく動画を組み込むための手法を見出すため、このフォーマットがブランドのショップに配置されたときに実際に購入に与える影響を調査してきた。

「特にライフスタイル関連商品や高級品などのプロモーションとして動画を取り扱うクライアントは皆、Amazonでの動画広告を求めている」と、eコマース管理会社のクォンティファイド(Kwontified)でマーケティングを率いるジョーダン・テイラー氏は語る。「Amazonのモバイルアプリで(動画広告の)実験の規模が大きくなっているが、我々はAmazonが店舗ページ上でも動画を試しているところも目にしている。売れる商品、売れない商品を見極めるために、ブランドが自身のページでどのように動画を活用しているかを、Amzonが気にかけているのは間違いない。それを知ることで、動画広告をさらに広範囲にわたって展開して行くかどうかを決めるつもりなのだろう。Amazonがやることには、すべて目的がある」。

Seb Joseph(原文 / 訳:Conyac