インフルエンサー が頼る、同業者だらけの非公開チャット:「みんなアルゴリズムが大嫌い」

2月初め、Facebookのクリエイターコミュニティにちょっとしたパニックが起きた。Facebookが「オーディエンスネットワーク(Audience Network)」と呼ばれるアドネットワークのモバイル版の閉鎖を計画していると報道されたためだ。クリエイターたちは、Facebookが彼らから動画をマネタイズする手段を奪おうとしていると思った(結局は誤解だったのだが)。しかしこの時、彼らはFacebookにおけるクリエイターとの調整役であるパートナーマネージャーに連絡するのではなく、クリエイター専用のFacebookグループに書き込みをして、答えを求めた。「グループページに行くと、私と同じような人々がアドバイスをしていた。そこにはちょっとしたコミュニティがあった」と、あるFacebookクリエイターは匿名を条件に語った。

プラットフォームに変化が起きたとき、仲間内から情報を得ようとするのは、Facebookのクリエイターたちだけではない。YouTubeのクリエイターも、ディスコード(Discord)などのプラットフォームにあるグループチャットを利用して、予告なしのアルゴリズムの変更や、動画へのミッドロール広告挿入(2分半ごとに入れる)のやり方、動画サムネイルの作り方(時間表示で隠れないよう顔が左側になるようにするなど)のコツを教え合っている。FacebookもYouTubeも、クリエイターにこうしたサポートを提供するパートナーマネージャー職をおいているが、クリエイターたちは彼らが事前通知をせず、プラットフォームの変更について十分な説明もしないことに苛立っている。そして、クリエイター同士の方がわかりやすくサポートを提供しあえることに気づいた。

「クリエイターどうしで情報共有する方が簡単だ。我々にはパートナーマネージャーと違って、変化に日常的に接している個人的経験がある。彼らには与えられた情報しかない」と、YouTubeクリエイターのロイ・ファビト氏はいう。同氏のアカウント「グアバジュース(Guava Juice)」のチャンネル登録者は1400万人を超える。

クリエイター中心のグループは少なくとも数年前からあった。こうしたグループはふつう非公開かつ招待制で、数十人から数百人のメンバーからなる。クリエイターたちはここ1年で、こうしたグループの必要性をよりはっきりと認識するようになった。FacebookやYouTubeが規制当局、消費者権利団体、広告主の厳しい目に応えるように、次々にプラットフォームに変更を加えているためだ。

チャット内での人気トピック

2019年9月、YouTubeのクリエイターのグループチャットが大騒ぎになった。YouTubeがキッズコンテンツと判断される動画へのターゲット広告提示をストップしたのだ。「何をしていいか誰もわかっていなかった。そこでクリエイターはお互いに、どうしようかと相談しあった」と、カーター・シェアラー氏はいう。同氏は600万人のチャンネル登録者を抱え、YouTubeクリエイター団体チームRAR(Team RAR)のCEOも勤める。

プラットフォームのアルゴリズム変更は、こうしたグループチャットで人気のトピックのひとつだ。シェアラー氏が参加している、ディスコードのあるグループチャットでは、メッセージは12のカテゴリーのどれかに分類されるのだが、そのひとつがYouTubeのアルゴリズムだ。一部のクリエイターは、こうしたグループチャットこそが、プラットフォームにアルゴリズム変更があったことを知り、それが動画にどう影響しうるのかを理解するのに一番の方法だと感じている。

「YouTube自身が社内の担当者に(アルゴリズム変更とそれがクリエイターに与える影響について)十分な情報を提供しているかどうかも怪しい。YouTubeにとってさえ、実際に変更した後でないと、ユーザーにどんな影響が出るかを理解するのは難しいのだ」と、あるYouTubeクリエイターは匿名を条件に語った。

グループチャットに多いのは、クリエイターが自分でかき集めたアルゴリズムのアップデートに関する情報を頼りに、ほかのクリエイターたちが同じことを聞いているか、動画アナリティクスに変更が反映されているかを尋ねる投稿だ。場合によっては、グループチャットのメンバーのなかに、プラットフォーム全体をスキャンするプログラムを使える人がいて、変更によって特定のクリエイターコミュニティに影響が出そうか予測することもあると、シェアラー氏はいう。ファビト氏によれば、あるときグループチャットでひとりのクリエイターが、著作権侵害の可能性のある曲をすべて削除した方がいいと投稿したことがあった。YouTubeが音楽の著作権保護に関して厳格なスタンスをとるという情報を得たためだった。

人的サポートもやっぱり重要

クリエイターにとって、こうしたグループチャットは有益だが、だからといってプラットフォームのパートナーマネージャーの代わりになるとは限らない。

昨年9月にYouTubeがキッズコンテンツへの広告方針の変更を発表したとき、シェアラー氏はパートナーマネージャーに相談した。マネージャーは、この変更によってシェアラー氏のチャンネルが規制対象になるかどうかを判断するプログラムを実行しようと提案した。プログラムは彼のチャンネルのリスクはきわめて低いと判断したが、一方でパートナーマネージャーは、この評価は実際の変更によってチャンネルが影響を受けないことを保証するものではないと明言した。結局、シェアラー氏の場合はYouTubeによる評価が正しかったが、自分と同じようなチャンネルを運営するクリエイターの意見を聞くまで安心できなかったと、同氏はいう。

「我々はみなクリエイターで、だからお互いを支えあう。正直言って、みんなアルゴリズムが嫌いなんだ」と、ファビト氏は述べた。

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)