TikTok のセルフサービス広告機能に、成功の予兆あり:ベータ版が広告主から好評

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TikTok(ティックトック)は現在、セルフサービスの広告プラットフォームのベータ版を試験運用している。広告サポートのプラットフォームとして市場に参入しようとするこの試みは、参加している広告主から大筋において好評だ。

中国のテック企業であるバイトダンス(Bytedance)が有するアプリのTikTokは、さらなる改善の必要性を理解している。現在同アプリは広告バイヤーが広告を購入しにくい環境になっており、機会損失が発生しているためだ。昨年秋に導入されたセルフサービスの広告モデルは、比較的使いやすくブランドの知名度も高まるとして広告主から高い評価を得ている。だが、ターゲティング機能や自動購入に必須となるアプリケーションのプログラミングインターフェースがないのに加え、Facebookのような成熟したプラットフォームと比べると、指標の面でも物足りないのが現状だ。

PMGのソーシャルディレクターを務めるカーリー・カーソン氏は「ほかのセルフサービスのソーシャル広告プラットフォームと付属している機能は同じだ」と語る。だが、同時に「重要なレポート指標を欠いている」のだという。

TikTokはベータ版のセルフサービス広告モデルについてコメントしていない。

エンゲージメントが得やすい

エージェンシーのウィズイン(Within)でパフォーマンスマーケティング担当ディレクターを務めるアッシャー・チェスター氏は「これまでTikTokで非常に良いパフォーマンスを得るのは容易ではなかった」と語る。チェスター氏は、クライアントのTikTok広告について高いエンゲージメントを得られたとしつつも、「TikTokでは、ほかのプラットフォームほど正確なターゲティングができない」とも指摘している。

チェスター氏は、知名度の高いインフルエンサーを広告に採用したり、チャレンジ系のハッシュタグを追加したりすることでエンゲージメントは伸びると語る。また、TikTokのオリジナル感があるコンテンツを取り上げた広告は良い成果をあげやすい傾向にあるという。

TikTokは、同じくベータ版の「クリエイターマケットプレイス(Creator Marketplace)」ですでに、広告主がインフルエンサーを発見しやすくしたり、クリエイターが直接広告に参加できるようにしたりするといった取り組みを行っている。クライアントが抱えるTikTokにおける直帰率の高さを解消するため、カーソン氏はプラットフォームとしてブランドの広告体験をよりシームレスにしてほしいと語る。

参照トラフィックにも効く

女性向けアパレルブランドのアイボリーエラ(Ivory Ella)は、昨年秋からTikTokで広告を配信している。同社の広告では、クリエイター主導のコンテンツと商品重視のコンテンツを組み合わせている。クリエイター主導の投稿では、TikTokのスターとして知られるアリアナ・リー氏(@arianalee99)とチャーリ・エリーズ氏(@charli_elise)がアイボリーエラの服を着て、口パクやダンスを踊るコンテンツとなっている。その結果、同社ではTikTokが参照トラフィックでトップに躍り出た。

アイボリーエラのエージェンシーのバックランド・コ(Buckland Co)でクライアントパートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるレイチェル・バラ氏は「ほかの広告主にも知れ渡ったらと思うと心配だ」と語る。「極めて参入しやすい。たった数分でキャンペーンができてしまう」。

なお、現時点でバラ氏にとって最大の課題は、セルフサービスの広告モデルがアップデートのたびによく更新されてしまうことだそうだ。

「ユーザー主導の感覚が強い」

カーソン氏は、ハッシュタグの使用や、シームレスで手間のかからないAPIによるカスタマー関係の管理機能の統合など、ターゲティング機能の拡張を期待している。バラ氏は話題の追跡機能についても改善してほしいと語る。

またカーソン氏もバラ氏も、Snapchat(スナップチャット)の「ディスカバー(Discover)」タブのような、キュレーションを行ったブランドセーフな発見機能も欲しいと口をそろえる。それと同時に、両名はこういった取り組みで、TikTokの特徴として知られるランダムかつアルゴリズム主導のユーザー体験を阻害しないでほしいとも述べている。

「TikTokが素晴らしいのは、ユーザー主導の感覚が強いことだ」とカーソン氏は語る。「商業化の香りが強くなってしまったら残念だ。キュレーションによるコンテンツを、いまのクリエイティブなTikTokコンテンツの性質を変えずに導入できれば素晴らしいと思う。だが、ほかのアプリのキュレーションコンテンツと同じようなものであれば、TikTokユーザーには受け入れられないだろう」。

大化けする可能性が大きい

TikTokにとって、口パクやダンス動画で人気のアプリ以上のものとして広告主を引きつけられれば、極めて大きなビジネスチャンスが生まれる。センサータワー(Sensor Tower)によれば、2019年における全世界でのTikTokのダウンロード回数は7億3800万、収益は1億7700万ドル(約193億円)にも達した。Google PlayとApp Storeのいずれにおいても、TikTokはWhatsApp(ワッツアップ)の8億4900万ダウンロードにつぎ、2019年に2番目に多くダウンロードされたアプリだ。

「使い方がわからず、追跡もできないため躊躇するブランドも多いだろう。これは初期に導入する場合に不利な点だ」とチェスター氏は語る。「だが、いずれにせよ、適切なクリエイティブコンテンツと、ブランドセーフな表示環境を確保することは、とても大切なのだ」。

Deanna Ting(原文 / 訳:SI Japan)