特定の場所で写真を撮ると、その場所限定のフィルターが写真に表れる技術「ジオフィルター」。2016年にSnapchat(スナップチャット)へ実装されて以来、ブランドとエージェンシーはオンデマンドジオフィルターの実験的な取り組みを続けてきた。そんな企業の取り組みを支援するテクノロジー企業が増えている。
特定の場所で写真を撮ると、その場所限定のフィルターが写真に表れる技術「ジオフィルター」。2016年にSnapchat(スナップチャット)へ実装されて以来、ブランドとエージェンシーはオンデマンドジオフィルターの実験的な取り組みを続けてきた。
そんな企業の取り組みを支援するテクノロジー企業が増えている。おかげでブランドは、場所ごとの正確なジオグラフィックデータをSnapchat(スナップチャット)に提供する作業を、彼らにアウトソースできるようになった。
サービス提供業者が増えている
そんななか、「大手ブランドは、ジオフィルターを利用したキャンペーンで多くの困難を抱えている」と語るのは、ソーシャルマーケティングプラットフォームを手がけるモーメントフィード(MomentFeed)のマーケティング担当シニアバイスプレジデント、トム・クーア氏だ。
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「ジオフィルターのデータを取る場所が数カ所しかないのであれば、問題はない。だが、場所が数十あるブランドや、それこそ数千もあるブランドは、規模の大きさという点で問題に直面している。この規模では、(位置情報データの)サービスを利用せずに管理することは不可能だからだ」。
リサーチ企業eマーケター(eMarketer)でモバイルアナリストを務めるキャシー・ボイル氏は、位置情報ベースのブランドジオフィルター向けサービスを売り込むテクノロジー企業が「日増しに増えている」と話す。
「このような状況が見られはじめたのは、Snapchatが提供するさまざまなジオフィルターの情報をわかりやすい形で提供できるようになったからだと思う。そこで広告主たちが、規模の拡大のため、活用するジオフィルターについてもっと詳しく知る必要があることに気づきはじめたのだ」。
2018年の売上予測は170億円
eマーケターの予測では、スポンサードジオフィルターが2016年にSnapchatにもたらす広告収入は2920万ドル(約30億円)になるという。さらに、2018年までに、スポンサードジオフィルターが1億6430万ドル(約170億円)という、とてつもない額の広告収入を生み出すと予想している。
Snapchatの広報担当者は具体的な数値を明かしていないが、オンデマンドジオフィルターの約60%は、企業から提供されたものだと明かした。
この機会を大いに活用しようと目論む企業がモーメントフィード(MomentFeed)だ。同社は最近、これまでより簡単に、ブランドが自社の位置情報データをSnapchatと同期できる機能をリリースした。
この機能の狙いは、多くのジオフィルターの設置場所をもつブランドが、複数の地域でさまざまなジオフィルターを作成するときに直面する、ロジスティックス問題を減らすことにある。ジオフェンシング情報と位置情報の更新をモーメントフィードが引き受けることで、ブランドはジオフィルターの作成に関するクリエイティブな作業に集中できるようになる。
多種多様な企業が参入
7月には、マーケティングテクノロジー企業のイェクスト(Yext)が、Snapchatでの位置情報データの管理を支援する類似のサービスを開始。イェクストで戦略および製品担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるマーク・フェレンティーノ氏によれば、7月のサービス開始以来、「100社近い企業」が同サービスの位置情報データ機能をジオフィルターの作成に利用しているという。
これらの企業は規模も業界もさまざまで、小売、食品、金融サービス、自動車など多岐に渡っている。デニーズ(Denny’s)、ギターセンター(Guitar Center)、セブン-イレブン(7-Eleven)といった米国の大手ブランドが、イェクストの位置情報サービスをジオフィルターの作成に利用していると、フェレンティーノ氏は述べた。
「多くの可能性がある機能」
マーケティングテクノロジー企業のシム・パートナーズ(SIM Partners)も、位置情報データプラットフォームを提供して、ジオフィルターを作成する企業の支援を開始。いまのところ、シム・パートナーズがこのサービスを提供している企業は数えるほどしかないが、関心を示している企業は多く存在している。
「Snapchatの勢いが増すにつれて、(関心を示すクライアントの)リストは急速に膨れ上がっている」と、シム・パートナーズでクライアントサクセス担当シニアバイスプレジデントのジェイ・ホーキンソン氏はコメントした。「私が見たところでは、誰もがジオフィルターに手を出している。多くの可能性があることがわかっているからだ」。
シカゴ地区で大規模ヘルスケアシステムを運営している某クライアントは、シム・パートナーズの位置情報プラットフォームを活用して、10月9日(米国時間)に開かれたシカゴマラソンのコース沿いに複数のジオフィルターを作成している。ボイル氏は位置情報サービスの市場について、次のように述べている。
「このような新しい広告フォーマットで難しいのは、規模の拡大だ。現時点では、クリエイティビティと規模を両立させることは課題なのだ」。
Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)