中国でプログラマティックバイイングが成長中だ。今年はじめて、デジタルディスプレイ広告の半分以上を、プログラマティック広告が占める年になると予測されている。eマーケターによると、2018年までには支出の5分の3以上を占めるといわれている。中国のプログラマティック取引に関して、知っておくべき数字を以下で紹介する。
最近の中国人バイヤーが行っている一連のアドテク取引をひとつの指標として見たとき、中国でプログラマティックバイイングが成長中だ。
アナリストのアンドレイア・チェン氏は、2016年が「中国でデジタルディスプレイ広告投資の半分以上をプログラマティック広告が占める、はじめての年になるだろう」と直近のeマーケター(eMarketer)レポートに記している。「2018年までには、こういった支出の5分の3以上を占めることになるだろう」。
中国におけるモバイルプログラマティックとプログラマティック動画広告にかける費用は、いずれも倍増しそうだ。中国でプログラマティックが成長している件について、知っておくべき数字を以下で紹介する。
Advertisement
成長速度はアメリカを超える
2016年、中国におけるプログラマティック広告費は、昨年から71%増の111億ドル(約1兆2000億円)に膨らむと予想されており、同国内のデジタルディスプレイ広告費全体の51%を占めることになる。対して、2016年におけるアメリカのプログラマティック広告費の成長率は、比較的緩やかな前年比44%増で、総額252億ドル(約2兆8000億円)となるという。これは、米国のデジタルディスプレイ広告費全体の73%になる。
中国で成長中のプログラマティック市場は、バイドゥ(百度)、アリババ(阿里巴巴)、テンセント(騰訊)の3社独占状態だ。リサーチ会社のeマーケターの試算によると2016年、中国のプログラマティック広告売上の約90%をこの3社が占めると予想している。一方、アメリカではGoogle、Facebook、Twitterが国内プログラマティック広告市場の約58%を占める見込みとのことだ。
収益の80%以上はモバイル
中国におけるモバイルプログラマティックは2016年、2倍となる90億ドル(約1兆円)規模になると考えられ、これは同国内のプログラマティック費用の81%を占めることになる。中国のモバイル広告費のうちプログラマティックが半分以上を占めるのは今年が初となる。それに対する欧米でのモバイルプログラマティックのシェアは縮小すると予想され、アメリカでは70%、イギリスでは75%、カナダは54%になる見込みだ。
ダイレクト取引が主流派へ
中国のプログラマティックは、リアルタイム入札(RTB)から非オークション型プログラマティックダイレクトへと変わりつつある。中国でのメディアバイイングは「コネクションによるもの」が多いからだと話すのは、中国のプログラマティック動画広告サービスを提供する企業リーチマックス(ReachMax)のチーフオペレーティングオフィサー(COO)であるチャーリ-・ワン氏だ。
ダイレクト取引の規模は2016年、2倍近い66億ドル(約7480億円)に上り、中国のプログラマティックデジタルディスプレイ広告費全体の60%を占めている。さらに2018年には64%になると試算されている。
モバイル取引ではRTBが主流
しかし、モバイルプログラマティックバイイングとなると、プログラマティックダイレクトよりもRTBのほうが人気だ。eマーケターレポートにあるiリサーチの統計によると、今年の中国でのモバイルプログラマティック広告費のうちRTBが70%程度を占める見込みとのことだ。
しかし、WeChat(微信)や淘宝(Taobao)などの人気モバイルアプリが自社のインベントリをプログラマティックに開放し、ブランドがより多くの一流広告インベントリを得られるようになったことにより、プログラマティックダイレクトは成長していくことだろう。iリサーチによると、2018年までにはRTBが中国のモバイルプログラマティック広告費の約65%になるという。
プログラマティック動画が人気
eマーケターは、今年、中国のプログラマティック動画の規模が2倍以上となる12億ドル(約1360億円)に達し、同国のプログラマティック経費全体の11%になると試算する。また、今後2年間、プログラマティック動画の成長率はeコマース広告、バナー、リッチメディアを超えると見られている。
急速な成長を見せるプログラマティック動画だが、2016年、中国のデジタル動画広告費に占める割合はわずか20%で、2018年には動画広告の26%がプログラマティック方式で提供されることになると考えられる。
同レポートは、中国のプログラマティックは急速に成長してはいるが、全体として広告詐欺、スタンダードや第3者による認証の欠落など、多くの課題を抱えていると付け加えている。
eマーケターとは別に、中国版LUMAスケープ(LUMAscape)といえるカオスマップをオンラインアドテクパブリケーションのRTBチャイナ(RTBChina)が作成している。数々のカテゴリーに多くのプレイヤーが登場し、中国のプログラマティック市場への関心が拮抗する様子を描いている。たとえば、多盟(Domob)、スマートマックス(SmartMAX)、クリテオ(Criteo)はDSPとアドネットワークの2役をこなす。つまり、ほかの取引のインベントリに相対する、独自のインベントリを提供しているのだ。