「 Facebook Watch からの収益は、ジェットコースター」 : とある動画クリエイターの告白

Facebookが2017年8月に動画プラットフォームを発表して以来、Facebook Watchは動画クリエイターやパブリッシャーからすると、ジェットコースターに乗っているようなものだった。そのあと、遅まきながら、Facebookは2018年、世界的にWatchを展開しそこで利用されたミッドロール広告はクリエイターやパブリッシャーの収益を押し上げはじめ、FacebookはYouTubeと正当にわたり合える自信を強めてきた。しかし、2019年はじめには、Facebook Watchは、少なくともクリエイターの目には、困難に直面しているように映った。

匿名性を保証する代わりに本音を語ってもらうDIGIDAYの告白シリーズ。今回は、Facebook Watch上で50万人以上のフォロワーを持つ動画クリエイターにインタビューした。クリエイターは、2019年はマネタイゼーションが少なく、Facebookによるクリエイターへのサポートは不十分で、リーチやFacebookのパブリッシャー向けツールに問題があったため、クリエイターにとってFacebookの動画プラットフォームは、不安定なものとなり、比較した場合、YouTubeのほうが魅力的なものとなったという。同クリエイターは、Facebookがこれらの問題解消のために修正を加えることを願って、問題提起していると語った。

Facebookの広報担当者からは、この記事が完成するまでにコメントを得られなかった。

――あなたは、自身が50万人以上のフォロワーを持つFacebook Watch上で番組を配信しているが、視聴者にFacebook Watchではなく、YouTubeでの視聴を促そうと考えている。それはなぜか?

それは、Facebookプラットフォームが安定性に欠けるからという単純な理由だ。月ベースで、多くの変更が加えられる。そのようなプラットフォームでうまくやっていくのは、困難だ。ある月には、Facebookは、非常に安定していることもある。また、他の月によっては、アップデートがあったり、小さな変更がアルゴリズムへ加えられたりすることもある。最近では、Facebookがまったく利用できなくなり、さまざまな問題が起きたことがある。そのようなときに、折悪しくエピソードを投稿していた場合、誰もそれを見ないことになる。そういった問題に関して、クリエイターに知らされることもない。私は依然としてFacebookを利用しており、今後も利用していきたいと考えているし、Facebookが成功してほしいと考えている。しかし、これだけ場当たり的で不安定であると、安定していてほしいと考えるものだ。クリエイターは、動画を制作し続けることで生計を立てているのだから、なおさらだ。

――あなたは、自腹を切って番組制作の資金を確保している。Facebookを利用して、その資金を回収できているか?

その点は、Facebookの良い一面だ。昨年は非常に良かった。番組制作に費やす以上の収益を得た。しかし、現実の状況としては、自腹を切っているときに、ほとんど収益を得られない月がある。大きな収益を生んでいる状態から突然、稼いだ資金ではビッグマックさえ買えないような状態になり、これはいったいどういうことだという感じになる。そして、来月も動画を制作すべきなのかと考える。平均すれば、おしなべてFacebookで成果を出すことはできている。しかし、Facebookが失敗しているのは、安定性の欠如だ。YouTubeにもそういった欠点はあるが、YouTubeを利用するのは、YouTubeがFacebookよりも安定性があるからという単純な理由からだ。

――Facebookでほとんど収益を得られない月があるというが、以前にもそのような月があったか?

特定の月はそうだった。しかし、月ベースで損益がフラットになるとは考えていない。通年で見て、予算面ではどのような収支になったのかで考えている。1年を通して見れば、収益が出た。かなりの収益が出た。しかし、月によって1万ドルから1000ドルの稼ぎまで落ちたり、あるいは、週によっては突然100ドルしか稼げなくなったりすると、動画を制作する以上の出費となり、次の月に収益が持ち直さない場合、どうしようもなくなる。特に今年、2019年に焦点を当てると、Watchから得られる収益は減少した。Facebookのマネタイゼーション収益は、減少した。まさにジェットコースターのようだった。

――2019年にマネタイゼーションが減少したことに関して、Facebookから何か説明の連絡はあったか?

ある月に、すべてのページのリーチに影響するバグがあったが、普通の状態に戻るはずだと報告してきた。しかし、その報告があったのは、今月は非常に収益が少ないと感じ、それは新しい基準ができたせいなのかと、しばらく考え込んだあとだった。これは、大きな問題だ。これで収益を産み出せるのだろうかと考えていたのだ。Facebookはひっきりなしに変更を加える。それが問題だ。その状況では安定した環境は実現できない。

(デジタル動画クリエイターにとっての)ビジネスは、上がり下がりのあるものだ。しかし、数週のあいだ、2000ドル~3000ドルの収益を上げていたのに、突然、ある日は500ドル、次の日は7ドルというように収益が変化し、これはいったいどういうことだ、となる。それは単に、動画が多くの人に見られたからではない。なんらかの仕組みが変更されたのだ。突如として、動画で100万あるいは200万のビューを獲得しても、外食代ほどにしかならない。

ユニラッド(Unilad)、あるいはこれらのような大手パブリッシャーとは異なり、私はクリエイターとして自分で動画を制作している。必ずしも巨額の収益にならなくても良いのだ。Facebookから安定した額の資金を稼ぎ出すことができるとわかっていれば、個人的には、使い続けるだろう。私はFacebookをプラットフォームとして気に入っている。多くの可能性を秘めており、YouTubeと競合できると考えている。ただ、Facebookは墓穴を掘っていると感じている。

――現在、Facebookから受けているサポートの程度は? また、それが昨年、どう変わったかについて教えてほしい。

最初は非常にワクワクし、本当に素晴らしかった。それは確かだった。Facebookを通してさまざまな素晴らしい経験をした。それを完全には否定しようとは思わない。しかし、時間が経つにつれて、サポートが乏しくなった。質問に答えてくれる程度になった。素晴らしい部分もあったのだが、そのあとに、Watchがいくつかの問題に直面するようになったと感じている。

――どのような問題か? そして、Watchがそのような問題に直面するようになったのはいつか?

今年だ。ちょうどリーチがおかしくなったときだ。動画が200万ビューを超えているのに、なぜ50ドルにしかならないのかということが起こったときだ。そして、先月は、同じ動画で1000ドルになった。クリエイタースタジオ(Creator Studio:クリエイター向けのFacebookの動画パブリッシングツール)にバグがあった。そのバグとは、文字通り、特定の作業、通常のパブリッシングに重要な作業ができないバグだった。しかも、何カ月ものあいだ、修正されなかった。しかし、大きな問題は、そのリーチにある。2018年は、Watchは、おそらく、YouTubeよりリーチが良いのではと思われた。しかし、2019年に入ると、以前にもまして安定性が悪くなった。今年も収益を上げており、来月はまた収益が増えるかもしれない。しかし、クリエイターにとって、そのようなジェットコースターに乗るのは困難だ。

――リーチに劇的な変更があったときに、Facebookからどういった連絡があったか?

丸1カ月間、ページビューに全面的に影響するバグがあったときも連絡はなかった。私はこれに気づかず、あとでわかった。そして現在は、4月は悪い月となった。なぜかはわからない。

――そのバグは、動画にのみ影響していたのか?

詳細はわからない。正直なところ、Facebookは詳細について情報を与えてくれない。Facebookが問題のあったことを認めたくないと考えていることが、理由のひとつだろうと思う。果たして誰が問題を認めたいだろう? 良い会社だと見られたいのだ。しかし、同時に、大きな問題があったとしても、クリエイターをパートナーのように扱っているのなら、おそらく次のように言いたくなるはずだ。「現在問題の解決に取り組んでいる。新しい基準が適用されたわけではないことを承知してほしい」。

――YouTubeにも安定性の問題はあるのではないか? 昨年、YouTubeのアルゴリズムが常に変化することに同様に苛立っていたYouTubeクリエイター数人にインタビューをしたことがある。

その通りだ。しかし、いま、YouTubeがそのように場当たり的なことをしているというのは確かだろうか? Facebookは動画への参入をちょうど開始したところだが、すでに突然、規模を縮小しようとしている。こういったことをはじめる前に、担当者らにファンとなるベース層を開拓させておく必要がある。YouTubeでもクリエイターらは不満を口にする。しかし。クリエイターはこれらの企業にすべての資金を投じているのだから、それは正当なことだ。私は、依然としてYouTubeよりFacebookが好きだ。YouTubeにぞっこんというわけではない。しかし、実際には、これまで以上にYouTubeに投稿をしはじめている。その理由は、Facebookに頼り切ることができないからだ。

――これは回復可能か? たとえば、Facebookが、「クリエイターの皆様、申し訳ありません。サービスを改善します。改善するために以下のすべての処置を施します」というようなことを発表した場合、懸念の解消に役立つだろうか? あるいは、いまから1カ月あるいは6カ月経てば、Facebookがまた考えを変えてしまうという懸念が頭の片隅に残るだろうか?

Facebookを諦めはしない。私は、FacebookはYouTubeに対抗できると思っている。そのため、私は、Facebookから完全に撤退し、Facebookのプラットフォームを利用しないとは言わない。そこまでの懸念を抱くまでにはなっていない。安定するまで待ちたい。起こっていることに関してもっと通知してほしい。毎月知らせてほしい。みなさんなら、Facebookで動画を制作し続けるか、ほかのプラットフォームにエネルギーを費やすかどちらだろうか? 私は、今月はYouTubeの利用により多くの時間を費やした。先ほど述べた問題がなければ、これほど時間を費やすことはなかっただろう。

問題は、パブリッシャーやクリエイターやページビューに被害を与えることが発生した場合、今後、信用を得られるか、ということにある。信用を取り返すことができればよいと思うが、先ほど言ったように、私はYouTubeよりもFacebookのほうに好きなところが多い。Facebookのほうがずっとソーシャルだ。YouTubeよりもずっとインタラクティブな機会がある。しかし、Facebookは安定性に向けた舵取りをする必要がある。

Tim Peterson(原文 / 訳:Conyac