2018年、Amazonは「自社ブランド」展開を本格化する

Amazonは長年、ブランドと消費者を繋ぐ役目を果たしてきた。ブランドには販売するためのサイトを提供し、消費者はサイト上で支払いを行い、商品を素早く受け取ることができる。

しかし2017年は、Amazon自らのブランドをスタートさせるための一歩を踏み出した年だった。適切な価格さえ設定できれば、Amazonは2018年、ほかのリテーラーたちの成長を助けるだけでなく、自らがリテーラーになれることを証明するだろう。

伸びているのはアパレル

電池や充電器といった、必需品を扱う自社ブランドであるAmazonBasicsは、以前から運営されていた。電池や充電器といった品目は、すでに日用品として一般化している、と独立調査会社フォレスター(Forrester)のアナリストであるサチャリタ・マルプルー・コダーリ氏は語る。そのため、AmazonBasicsを拡大していくことは簡単だ。これらのプロダクトを検索結果で上位に表示させ、魅力的な価格に設定すればよい。すべてのデータを持っているAmazonからすると容易いことだ。

注目すべきはAmazonが所有していながらも、Amazonのブランド名を持っていない(少なくとも)19のブランド群だ。ここにはランジェリーブランドのアラベラ(Arabella)や家具ブランドのストラスウッド(Strathwood)が含まれる。また、2017年10月にはスポーツウェアブランドを複数展開。その例として、チャンピオン(Champion)の競合となるグッドスポート(Goodsport)やレベルキャニオン(Rebel Canyon)、そしてピークベロシティ(Peak Velocity)などが挙げられる。Amazonというブランド名は広く知られているが、その名前がついたランジェリーを売るのはさすがに困難だろう。

ワンクリックリテール(One Click Retail)による2017年10月のレポートでは、こういったAmazon所有のブランドがどのような成績を残したかが吟味されている。Amazonが所有するブランドの数は約45。レポート発表時の自社ブランドで、もっとも売上が高かったのは女性向けファッションブランドであるラークアンドロー(Lark & Ro)だ。このブランドは10月までで1000万ドル(約11億円)を売り上げている。加えてAmazonエッセンシャルズ(Amazon Essentials)の衣服プロダクトの売上は300万ドル(約3.3億円)だ。

価格設定が成否のカギ

ビジネスコンサル企業L2のリサーチによると、Amazonの自社ブランドがもっとも成功をおさめているのはアパレル分野だ。これまで大手ファッションブランドたちがAmazon上で販売することを避けてきたため、自社ブランドが速やかに入り込むスペースを確保することができたとL2は分析。このトレンドは、2018年も継続するようだ。

フォレスターのマルプルー・コダーリ氏はいう。「これは簡単な作業ではない。データを活用し、成功につながる最適なプロダクトを開発・製造できるかどうかにかかっている」。

鍵となるのはどこにフォーカスするかだ。「Amazonがナイキ(Nike)になることはない。けれども我々はアパレルやシューズ部門において低価格帯を席巻し、かつ大きな利益をあげる能力を持っている」と、マーチャンダイズ部門の責任者のひとりは匿名を条件に語った。

これにはマルプルー・コダーリ氏も同意している。「自社ブランドに関しては、価格が勝因となる。ターゲット(Target)のブランドやウォルマート(Walmart)の自社ブランドが良い例だ。価格に対して質が良い」。

脅威は価格だけではない

Amazonの自社ブランドは拡大を続けており、2017年11月後半には家具ビジネスにも参入。多くの人が予想していなかったカテゴリのひとつだ。リベット(Rivet)とストーンアンドビーム(Stone & Beam)という2つの自社ブランドをオープンした。またAmazonはマーケットプレイスでの販売を、ほかの家具ブランドにもアプローチしているという。

2018年は「Amazon」というブランドがAmazon関連のニュースの中心とはならなさそうだ。むしろ彼らが所有しているブランド群が話題の中心になるかもしれない。ほかのリテーラーたちが自社ブランドを展開するのとは異なり、Amazonは顧客データを管理している。そして、その膨大な資金を使って、サービス初期の数カ月分、いや数年分の損益はカバーすることは容易いはずだ。

また、中小の他社ブランドにとっての脅威は価格だけではない。これまでもAmazonは、パフォーマンスの良いプロダクトを、自身で類似商品を製造して、より低い価格で売るという取り組みを行なってきた。小さいブランドのなかには、彼らが使っている工場とAmazonが協働していると報告するところも見られる。

マーケットプレイスの先へ

これら専門家の意見を合わせると、2017年はAmazonにとって、ただの序章に過ぎなかったと判断できる。2018年はマーケットプレイスとしてのAmazonから、小売業におけるあらゆる顧客体験を提供するより巨大な存在へと成長するため、さまざまな施策を仕掛けていくだろう。

「Amazonの自社ブランド群の規模は小さい。おそらく数10億という規模だ。しかし、小さいからこそ、これから成長するポテンシャルを秘めている。適切に運営することで、非常に大きなマージンを生み出す可能性を秘めているのだ。また、これはAmazonが世界中のすべてのブランドを参加させることはできないことを、彼ら自身が認識していることを意味している。Amazonは自社ブランドによって、自分の運命をコントロールできるようになるのだ」と、マルプルー・コダーリ氏はいう。

Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)