中小企業を狙い撃つ、プラットフォームたちの競争が激化:アリババが決済&配送の新機能を発表

アリババ(阿里巴巴)は、アメリカ市場参入の取り組みを強化し続けている。

6月第1週、この中国のeコマース大手が発表した新機能は、彼らのプラットフォームを使う中小規模の企業、特にB2B分野を増やすことを狙いにしたものだ。商品への支払いを最長60日間まで間隔をあけることができるクライアントにとって、フレキシブルな支払いプログラム、大量の注文に対する新しい貨物配送オプション、そしてトレード・ショーのライブ・ストリーミング番組などがこれに含まれている。

これらはアメリカにおけるアリババの取り組み全体からすると細かい追加機能であるが、アリババが中小企業に狙いをつけていることが分かる。

同様の狙いを持つ大手はほかにもいる。Facebookは新しいショップス(Shops)機能をオープンした。これによって企業はFacebookとインスタグラム上で直接、プロダクトを販売できるようになった。Googleは中小企業たちに対して広告クレジット3億4000万ドル(約360億円)を提供している。ショッピファイ(Shopify)もまた、小規模なビジネスにターゲットを当てた新機能を複数発表した。貸借対照表関連のソリューションやフルフィルメント機能に関するものだ。

このような取り組みが促される背景は明確だ。オンラインでの買い物をする人の数が増えているなかで、中小企業はまだ大きくそれに向けて舵を切っていない。Amazonの最近の収支報告を見ると、オンラインの成長がいかに大きいかが分かる。売り上げは今年の第1四半期で26%も増えた。これまではアナログで運営されていたビジネスをデジタルで収益化させるために、自社のプラットフォームに呼び込むことが目下の競争となっている。

パンデミックでチャンスは加速

アリババはこれまで約1年をかけてアメリカの企業たちにアピールしてきた。昨年7月、彼らのB2Bプラットフォームを宣伝するための全国ツアーを行っている。アリババが自分たちのビジネスに適しているかどうか確信を持てない企業もいたなかで、多くの企業はAmazonの力がさらに大きくなることに心配をしているようであった。当時はGoogleとAmazon合わせて、アメリカのB2B売り上げの約3分の1をコントロールしていた。

1年前であればB2B分野の中小企業にフォーカスすることは、Amazonの消費者向けのプラットフォームとの直接の競争を避けながらも業界に参入する一手のように思われた。Amazonのビジネス向けプログラム(Business)は、マーケットプレイスほど宣伝はされていないものの、2018年の100億ドル(約1兆円)に対して2019年には160億ドル(約1.7兆円)の収益を上げると推計されていた。しかし、世界中でパンデミックが起きたことで、アリババのチャンスは加速された。「中小規模のビジネスが経済の大部分を占めている。その多くはまだ完全にデジタル化できていない」と、eマーケター(eMarketer)の主任アナリストであるアンドリュー・リップスマン氏は述べる。

現在では、これらのビジネスの多くがパニック状態にある。ほとんどの店舗や施設が閉鎖されているなか、ほとんどの企業がオンラインで何らかの機能を持つ必要があると気付きはじめている。「まったくもって新しい現実だ」と、リップマン氏は述べる。そのため大手プラットフォームのすべてが「動きを見せている」。

米国での知名度の低さがネック

アリババにとっては、この売り込みは簡単ではない。アジアでは業界を牽引するリーダーだが、アメリカではそれほど知られているわけではない。Amazonではないという点をアピールすると同時に、デジタルへの移行を容易にするためのプログラムを生み出すことが現時点での戦略となっている。「Amazonを使わないと判断していたブランドやメーカーの多くが、いま追い詰められたと感じているだろう」と、リップマン氏は語った。

彼によると、「中小ビジネスが新しいチャンネルに適応することに、よりオープンになっている現在、プラットフォームが彼らにリーチしようとしている」とのことだ。

Cale Guthrie Weissman(原文 / 訳:塚本 紺)
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