ブロック(Block)が保有する後払い(BNPL)プラットフォームのアフターペイ(Afterpay)は、オンタイム決済をする顧客にブランド固有の特典(リワード)を提供している。
同社はギフト贈呈プラットフォームのニフト(Nift)と提携し、顧客が2回目のオンタイム決済を行ったときに、好きなギフトを得られるようにしている。対象の顧客は、アフターペイアプリの「マイアフターペイ(My Afterpay)」セクションで「サングラス」や「カジュアルレストラン」などのカテゴリーから特典を選ぶことができる。顧客が特定のカテゴリーを選ぶと、ニフトのギフトネットワークに参加しているブランドに関する2つのギフト・オプションを選ぶことができる。特典には、無償のアイテム、購入に使えるマネー、商品券がある。ニフトのプラットフォームにはオールバーズ(Allbirds)や、ビースポークポスト(Bespoke Post)、リキッドフォー(Liquid IV)が参加している。
アフターペイは以前にもロイヤルティプログラムをテストしたことがある。アフターペイには、パルスリワーズ(Pulse Rewards)プログラムがある。これは、利用者が40ドル(約6000円)以上の取引をすると、オンタイム決済を行うごとに10ポイントを受け取ることができるものだ。アフターペイによれば、これらのポイントは6カ月にわたって蓄積され、4つの階層に従って、支払いを遅らせられるなどの「対応する特典が開放」される。しかし、この新しいリワードパートナーシップでは、アフターペイはエクスペリエンスをゲーム化し、特典とブランドをより密接に結びつけている。ニフトと協力することで、既存の顧客がどのカテゴリー、店舗、サブスクリプションサービスに関心を抱いているかについて、新たなインサイトとデータポイントを得ることができる。
アフターペイの広告パートナーシップおよび戦略担当のグローバル責任者を務めるサケット・メータ氏は、新しいリワードプログラムは、ファイナンシャルインクルージョンというブランドのミッションに結びついたものだと、米モダンリテールに語った。「これは、アフターペイの顧客に対して、アプリで新しい商品やサービスを探索することを可能にし、その特典を与える方法として開発した。しかし、それだけではなく、顧客がオンタイムで決済を行うとき、その顧客に価値を与えるようにするためでもある。これは、しっかりと顧客の経済的なニーズが満たされていることを確認し、可能な限り最善の方法で顧客の要求に応じるようにするために重要な部分だ」と、同氏は語る。続きを読む
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
ブロック(Block)が保有する後払い(BNPL)プラットフォームのアフターペイ(Afterpay)は、期限内に決済をする顧客にブランド固有の特典(リワード)を提供している。
同社はギフト贈呈プラットフォームのニフト(Nift)と提携し、顧客が2回目の期限内に決済を行ったときに、好きなギフトを得られるようにしている。対象の顧客は、アフターペイアプリの「マイアフターペイ(My Afterpay)」セクションで「サングラス」や「カジュアルレストラン」などのカテゴリーから特典を選ぶことができる。顧客が特定のカテゴリーを選ぶと、ニフトのギフトネットワークに参加しているブランドに関する2つのギフト・オプションを選ぶことができる。特典には、無償のアイテム、購入に使えるマネー、商品券がある。ニフトのプラットフォームにはオールバーズ(Allbirds)や、ビースポークポスト(Bespoke Post)、リキッドフォー(Liquid IV)が参加している。
Advertisement
アフターペイは以前にもロイヤルティプログラムをテストしたことがある。アフターペイには、パルスリワーズ(Pulse Rewards)プログラムがある。これは、利用者が40ドル(約6000円)以上の取引をすると、期限内に決済を行うごとに10ポイントを受け取ることができるものだ。アフターペイによれば、これらのポイントは6カ月にわたって蓄積され、4つの階層に従って、支払いを遅らせられるなどの「対応する特典が開放」される。しかし、この新しいリワードパートナーシップでは、アフターペイはエクスペリエンスをゲーム化し、特典とブランドをより密接に結びつけている。ニフトと協力することで、既存の顧客がどのカテゴリー、店舗、サブスクリプションサービスに関心を抱いているかについて、新たなインサイトとデータポイントを得ることができる。
アフターペイの広告パートナーシップおよび戦略担当のグローバル責任者を務めるサケット・メータ氏は、新しいリワードプログラムは、ファイナンシャルインクルージョンというブランドのミッションに結びついたものだと、米モダンリテールに語った。「これは、アフターペイの顧客に対して、アプリで新しい商品やサービスを探索することを可能にし、その特典を与える方法として開発した。しかし、それだけではなく、顧客が期限内に決済を行うとき、その顧客に価値を与えるようにするためでもある。これは、しっかりと顧客の経済的なニーズが満たされていることを確認し、可能な限り最善の方法で顧客の要求に応じるようにするために重要な部分だ」と、同氏は語る。
より多くの顧客を引き込む方法
BNPL(後払い)サービスは近年劇的に増加した。特にZ世代の顧客は、購入資金を調達する方法を求めているが、クレジットカードの負債を積み重ねることには警戒しているため、BNPLの利用が多い。消費者金融保護局(Consumer Financial Protection Bureau)のデータによると、2019年から2021年にかけて、米国におけるBNPLローンの総額は1000パーセント以上増加した。
ブロックやPayPalなどのフィンテックプラットフォームがBNPLを重視しつつあり、この分野は近年ますます参入企業が多くなった。消費者のパターンが変化しつつある状況で、いくつかのBNPL企業は実店舗小売などの新しいチャネルに転向したり、高年層の顧客など新しい層を開拓しようと試みてきた。リワードプログラム、特に分割払いの返済をゲーム化するようなものを提供することが、より多くの顧客を引き込む方法になり得るかもしれないと、ザ・モトリー・フール(The Motley Fool)のテックおよび消費者向け商品ライターを務めるジェレミー・ボーマン氏は米モダンリテールに語った。
ボーマン氏は、BNPLを使用するユーザーの一部は学生ローンの支払いやクレジットカード負債を抱えているかもしれないと説明する。このうち後者は、8月の時点で米国において過去最高の1兆ドル(約150兆円)に達した。「クレジットサイクルの谷間に深く入りつつあるように感じられる」と、同氏は述べている。「特典を提供するのは一般的には競争的な行動だが、『2回目の支払いを期限内に行えばボーナスギフトが得られる』ということで行うなら、支払いの弱体化や延滞の増加の可能性に対する懸念を抑制する試みなのかもしれない」。モーニングコンサルト(Morning Consult)が最近行った調査では、BNPLユーザーの4分の1は8月に支払いをし損ねたと報告している。
特典の妥当性を重視
アフターペイは、今年初めに新しい特典プログラムの概念実証を行い、利用率やコンバージョン率に基づいてプログラムを判定する予定だととメータ氏は述べた。顧客は特典を利用する義務はないが、利用するなら「顧客に特典を与え、顧客自身にとって重要なものを選べるようにする優れた方法だ」と、同氏は付け加えている。
特典には有効期限が設定されていることもあるが、これはアフターペイではなく協賛の小売業者により設定されるものだ。「その情報は顧客に提供されるが、すべての特典にわたって統一されているわけではない」と、メータ氏は述べる。
顧客がリピート訪問するためのインセンティブとして、リワードプログラムを提供したり、既存の特典を修正したりする小売業者は増え続けている。特に、インフレ率の高さから人々が買い物を控えている今はその傾向が強い。
eコマースコンサルタンシー企業のリザードストラテジー(Lizard Strategy)のCEOを務めるリズ・クレッセル氏は米モダンリテールに対し、アフターペイとニフトのあいだに見られるようなBNPLの特典でのパートナーシップは「妙手だ」と語った。「これらの特典を提供している企業にとっては、顧客獲得コストを引き下げることができる。人々は、自分に関連するものを選ぶことができ、初回トライアルをたくさん得ることができる」と同氏は述べている。
「多くのリワードプログラムは、当然ながら自社の商品へと誘導している」ため、各種のカテゴリーにわかれた特典を提供するのはいい考えだと、同氏は述べている。しかし、利用者にとっては選択肢が多すぎるという問題があるかもしれないとも強調する。そのため、同氏は特典の妥当性を非常に重要視している。「提供するものが、その人が購入したものに合っているのが理想的だ。たとえば、アパレルを購入するなら、それと関係するものは何だろうかといった感じだ」と、同氏は述べている。(ニフトは、アフターペイの顧客に示されるカテゴリーの数は多くはなく、特許取得のAIテクノロジーを使用して、各人にパーソナライズされていると語る)。
アフターペイはニフトと密接に協力し、魅力的で広範な特典を提供すると、メータ氏は述べる。顧客に向けた目標は、「利用者に合わせてカスタマイズされた、適切なカテゴリーの適切な特典を提示し、顧客が望むものを確実に提供すること」だと、同氏は述べている。
[原文:Why BNPL platform Afterpay is rewarding customers for on-time payments]
Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Nift/Afterpay