メタ(Meta)の経営陣は、6月に主催したパフォーマンスマーケティングサミット(Performance Marketing Summit)で、自社のAdvantage+ショッピングキャンペーン(Advantage+ Shopping Campaigns、ASC)を引き続き広告主に売り込んだ。
パフォーマンスマーケティングサミットは、メタが広告主やパフォーマンスマーケターを集め、同社のツール群を扱うための最善の方法について知識を共有するイベントだ。イベントの目的は、同社のパフォーマンスマーケティングツールの基礎を解説することだが、経営陣らは、iOS14以降の世界におけるAI主導の広告ツール、ASCの成功について大いに語った。テック大手企業であるメタは、広告商品を進化させるための取り組みとして、カタログからアプリのターゲティングまで、今後のASCの機能についても詳しく解説した。また、ブランドがメタのプラットフォームに支払う媒体費の有効性を高めるのを支援するため、パフォーマンス5(Performance 5)と呼ばれる広告主向けのフレームワークの更新も発表した。
2022年8月に運用を開始したASCは、Advantage+商品の一部であり、人工知能を活用して広告配信システムを運用する。この広告ツールはこれまで、D2Cブランドが実施する広告のコンバージョンを向上させるために効果を発揮してきた。メタは今回のイベントで、ASCを使えばオーディエンスやクリエイティブ、および広告の配置を含むキャンペーン全体を自動化できることをマーケターに伝え、ASCがさらに普及されるよう売り込んだのだ。
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メタ(Meta)の経営陣は、6月に主催したパフォーマンスマーケティングサミット(Performance Marketing Summit)で、自社のAdvantage+ショッピングキャンペーン(Advantage+ Shopping Campaigns、ASC)を引き続き広告主に売り込んだ。
パフォーマンスマーケティングサミットは、メタが広告主やパフォーマンスマーケターを集め、同社のツール群を扱うための最善の方法について知識を共有するイベントだ。イベントの目的は、同社のパフォーマンスマーケティングツールの基礎を解説することだが、経営陣らは、iOS14以降の世界におけるAI主導の広告ツール、ASCの成功について大いに語った。テック大手企業であるメタは、広告商品を進化させるための取り組みとして、カタログからアプリのターゲティングまで、今後のASCの機能についても詳しく解説した。また、ブランドがメタのプラットフォームに支払う媒体費の有効性を高めるのを支援するため、パフォーマンス5(Performance 5)と呼ばれる広告主向けのフレームワークの更新も発表した。
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2022年8月に運用を開始したASCは、Advantage+商品の一部であり、人工知能を活用して広告配信システムを運用する。この広告ツールはこれまで、D2Cブランドが実施する広告のコンバージョンを向上させるために効果を発揮してきた。メタは今回のイベントで、ASCを使えばオーディエンスやクリエイティブ、および広告の配置を含むキャンペーン全体を自動化できることをマーケターに伝え、ASCがさらに普及されるよう売り込んだのだ。
マーケターが指摘する「利己的」な一面
マーケティング代理店のコモンスレッドコレクティブ(Common Thread Collective)の最高経営責任者であるテイラー・ホリデー氏は、「非常に明確なテーマがあり、そのすべてがASCについてのものだった」と話す。「メタは、商品変更の核となる原動力はAIであると語った。彼らは、広告配信システムは1秒以内に広告配信の決定を下さなければならないと主張した。そして、AIのアップデートによって、これまでのどの広告商品よりも、1秒間で多くのデータを処理できるようになったという。それによって、より良好な結果が得られるようになった」と同氏は付け加えた。
代理店のトップたちは、ACSは成功を続けているものの、そのなかに依然としてギャップが存在し、いくつかの調整が必要であることを指摘した。たとえば、ASCにはコスト管理機能がないため、広告主はキャンペーンの効率を制御できず、顧客獲得単価の目標値や損失を設定できない。たとえば、ホリデー氏の代理店は、コスト管理機能ないことから、メタのASCツールを使用することを確約していないのだという。
「メタは、ACSの機能が商品のロードマップ上に存在し、最初に価値の最適化、次にコスト管理が実現すると保証した。だが、これは少し利己的な話で、より多くの小売業者に大量の資金を消費させるようにする方法なのは間違いない」とホリデー氏は述べている。
ホリデー氏の代理店は、ザ・ノース・フェイス(The North Face)や、ルルレモン(Lululemon)、カラーポップ(Colourpop)などのブランドと仕事をしているが、同氏はコストの上限設定が、「広告主にとってのマイナス面を防ぎ、適切で収益性の高い支出を保証してくれる」ことになると確信している。また、一部のマーケターは、ASCが小規模ブランドについては大きなインパクトをもたらすことができないと報告している。その理由のひとつとして、ブランドがASCへの支出を増やすと、ASCのAIがより幅広いユーザー層に広告を配信しはじめるからだ。
それでもイベント自体は、「広告主、人々、一般的な所感、ステージから感じられる熱意という観点から、これまで見てきたメタの空間のなかではもっともポジティブな場だった」と同氏は述べる。「私は、メタの経営幹部の多くに、社内の雰囲気について質問してみた。多くのレイオフがあったことからわかるように、彼らは明らかに多くの困難を経験した。そして、彼らが現状について前向きな考えであることを明確に感じた」と同氏は付け加えた。
コスト管理機能における課題
Facebookの親会社であるメタは、3月末までの第1四半期業績で、全体の収益が3%増、広告収益が4.1%増の281億ドル(約3兆9900億円)に達した。同社は広告事業を継続的に改善することで、約1年ぶりの増収を達成した。
メタの経営幹部は、ASCが同社の通常通りのキャンペーンと比較して、CPA(顧客獲得単価)が17%減少し、広告の費用対効果が32%増加する、といった統計を繰り返し示した。しかし、ASCには依然ギャップが残っている。コスト管理機能がないため、広告商品はホリデー氏がいうところの少し「利己的」なままだ。
ほかの代理店トップも、メタの新しい広告ツールでいくつかの障害にぶつかっているという。デジショップガールメディア(Digishopgirl Media)の創設者であるキャティヤ・コンスタンティン氏は、「基本的に、現在はASCプログラムを実行するとき、効率性を制御できない」と述べている。
同氏は、クライアントのひとつである小規模なサプリメントブランドのためにASCをスケールさせようとしたところ、うまくいかなかったと指摘した。「データのわずかな部分を使用していたときはうまく動いていたが、ASCに移行した途端、動作しなくなった。そのため、常にうまくいくソリューションではないと思う」と、同氏は述べている。問題点のひとつは、同氏がより大きな予算でASCを導入したとき、そのパフォーマンスの配分が高年齢の顧客層に集中していたことだ。「そのため、ASCははるかに幅広い観客にサービスを提供するようになったが、いったんそうなると、うまくいかなくなった」と、同氏は述べている。
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同氏は、メタが今回のイベントで発表したなかでもっとも興味深い開発は、全方位的なメディアミックスの測定だという。「我々はこれまでこの作業を手動で行っており、新機能によってパフォーマンス測定の労力が簡素化されるのは間違いない」と述べている。このツールにより、ブランドが資金をFacebookに投資すべきか、ほかのプラットフォームに投資すべきかが理解しやすくなる。
ホリデー氏によれば、メタはASCの採用に関して、参加しているすべての広告主に対し、今後90日以内にポートフォリオの30%をASCへの投資に充てるよう推奨した。同氏は、eコマースブランドは現在、ASCに平均10%程度を費やしていると推測している。
「メタが上限制御機能などの追加機能をいくつか追加すれば、小規模の広告主でもさらに成功できると信じている」と、コンスタンティン氏は付け加え。
AIの採用について、メタは6月、「プロモーショナル広告(Promotional ads)」という新しいツールもテストしてきたと言及した。テック大手である同社は、プロモーショナル広告によって、買い物客はブランドが提供する季節のセールや、初回購入割引、ホリデープロモーションを利用しやすくなると主張している。
ホリデー氏は、全般的なイベントの雰囲気から、メタはマーケターに同社の将来のロードマップについて楽観的にとらえてほしいと考えているようだと語る。「メタは、長年にわたって害になってきたiOSのプライバシーの問題の多くを乗り越えたと感じているようだ」と、同氏は付け加えてた。
[原文:While Meta tries to push Advantage+ Shopping Campaigns, some agencies aren’t yet convinced]
Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Meta