ウォルマート(Walmart)のマーケットプレイスは、加盟店の商品カタログを拡大し、より多くの売り手をプラットフォームに集めるための新しいセルフサービスツールの運用を開始し、規模の拡大を狙っている。
国内最大の小売業者である同社は8月30日、加盟店向けの新しいツールを公開した。そのひとつはブランドショップ(Brand Shops)といい、加盟店がウォルマート・マーケットプレイスで目立つよう、独自の特別なデジタル店頭を簡単に構築できるものだ。また、AR(拡張現実)を使って、加盟店が買い物客に対して、リビングルームやソファーで商品がどのように見え、どのように感じられるかを示せるようにしている。ウォルマートの最高幹部は、既存の販売者が、リファービッシュ品(再生商品)を商品カタログに追加することが新しいプレミアム階層「ウォルマートリストアード(Walmart Restored)」についても語った。また、来年初頭には、適格な越境の販売者に向けてチリのマーケットプレイスを開設する。全体的に見て、米ラスベガスで開催された同社初の販売者向けサミットの大きな焦点は、規模拡大だった。
ウォルマートUS(Walmart U.S.)のプレジデント兼CEOのジョン・ファーナー氏は、「この数年間で当社が行った最大の変革は、真のオムニチャネル小売業者になるための変革だった。そして、2020年にその方向への転換を本格的に開始し、店舗ビジネスとeコマースビジネスを統合した。当社の加盟店チームは、店舗、eコマース、マーケットプレイスと、あらゆるチャネルにわたって活動している」と、述べる。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
ウォルマート(Walmart)のマーケットプレイスは、加盟店の商品カタログを拡大し、より多くの売り手をプラットフォームに集めるための新しいセルフサービスツールの運用を開始し、規模の拡大を狙っている。
国内最大の小売業者である同社は8月30日、加盟店向けの新しいツールを公開した。そのひとつはブランドショップ(Brand Shops)といい、加盟店がウォルマート・マーケットプレイスで目立つよう、独自の特別なデジタル店頭を簡単に構築できるものだ。また、AR(拡張現実)を使って、加盟店が買い物客に対して、リビングルームやソファーで商品がどのように見え、どのように感じられるかを示せるようにしている。ウォルマートの最高幹部は、既存の販売者が、リファービッシュ品(再生商品)を商品カタログに追加することが新しいプレミアム階層「ウォルマートリストアード(Walmart Restored)」についても語った。また、来年初頭には、適格な越境の販売者に向けてチリのマーケットプレイスを開設する。全体的に見て、米ラスベガスで開催された同社初の販売者向けサミットの大きな焦点は、規模拡大だった。
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ウォルマートUS(Walmart U.S.)のプレジデント兼CEOのジョン・ファーナー氏は、「この数年間で当社が行った最大の変革は、真のオムニチャネル小売業者になるための変革だった。そして、2020年にその方向への転換を本格的に開始し、店舗ビジネスとeコマースビジネスを統合した。当社の加盟店チームは、店舗、eコマース、マーケットプレイスと、あらゆるチャネルにわたって活動している」と、述べる。
フルフィルメントサービスの拡充
ウォルマートは2009年にオンラインプラットフォームをサードパーティーの販売者に開放したが、マーケットプレイスが大きな注目を浴びるようになったのは、2020年に加盟店向けのフルフィルメントサービスを立ち上げてからだった。
同社は、マーケットプレイスでアイテムを購入する顧客の数が、2024年度の第2四半期に14%増加したという。「消耗品や雑貨カテゴリーの売上が強く、家庭、アパレル、耐久消費財は2ケタ成長している。フルフィルメントサービスを利用する販売者の数は50%以上増加した」と、CEOのダグ・マクミロン氏は直近の決算発表で述べた。
それとは別に、ウォルマートは、カヌーやトランポリンのような大きくてかさばるアイテムを販売する販売者の利便性を高めるため、新たなフルフィルメントオプションを追加すると発表した。販売者はウォルマートフルフィルメントサービス(Walmart Fulfillment Services)を使って、テラスセットのような複数の箱に分かれた商品を配送できるようになる。また、ウォルマートは、実店舗を持つ販売者向けに、現地での集荷と配達を行うと述べている。顧客は、商品を直接受け取ることも、ウォルマートのラストマイル配送ネットワークを通じて即日配送を受けることもできる。
規模拡大への野心
ガートナー(Gartner)のディレクターアナリストを務めるブラッド・ジャシンスキー氏によると、ウォルマートのマーケットプレイス戦略が競合他社よりも抜きん出ているのは、規模の拡大への野心と、この分野をオープンに成長させようとしていることだ。「これが、ウォルマートの戦略がターゲット(Target)やほかの小売業者と大きく異なる点だ」。
「規模の拡大を重視し、販売者向けのセルフサービス機能を継続的に立ち上げることで、販売者がマーケットプレイスでブランドを成長させ、ブランドのストーリーをマーケットプレイスで語れるようにする必要がある」と、同氏は付け加えている。walmart.comに登録されているアイテム数は、この12カ月だけで51%以上も増加した。また直近の四半期において、ウォルマートの全世界のeコマースビジネスは前年同期に比べて24%成長した。
「これによってウォルマートのマーケットプレイスは、販売者にとってより魅力的になり、販売者はさらに多くの商品を販売できるようになる。そして、それはウォルマートがまさに必要としているものだ」と、ジャシンスキー氏は付け加えた。
実店舗があることの優位性
ウォルマートの最新のツールセットは、フルフィルメント、現地での集荷と配達を特に目的としたもので、小規模な加盟店向けだと、同氏は付け加えた。「ホリデーシーズンに向けて、これは大きな利点となる。特に、ホリデーシーズンの最後の数週間はギフトの時期であり、消費者ができるだけ急いで商品を入手したいと思っている。これは、ウォルマートが実店舗を保有しているという優位点を生かす素晴らしい方法だ」。
そして、これらのツールは広告ビジネスであるウォルマートコネクト(Walmart Connect)など、補助的なサービスの成長にも役立つと、同氏は付け加えている。直近の四半期に、ウォルマートコネクトのビジネスは36%成長した。
結局のところ、ウォルマートのリーチはAmazonには及ばないと、ジャシンスキー氏は述べる。Amazonはほとんどのアメリカ人にとって、なんでも買える店舗になった。Amazonはマーケットプレイスで販売を行うオンライン店舗から膨大な収益を生み出している。直近の四半期における同社のオンライン店舗からの売上は、前年同期比4%増の529億ドル(約7兆7200億円)だった。
「マーケットプレイスに注力しているほかの小売業者は多くない。ウォルマートは堅実な第2位であり、何年にもわたってマーケットプレイスを上手に取り入れてきた。その戦略を続けているだけだと思う。しかし規模についていえば、Amazonはまるで桁が違う」と、ジャシンスキー氏は述べている。
[原文:Walmart Marketplace unveils more self-serve tools for merchants at its first-ever seller summit]
Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Walmart