シューズブランドのヴァンズ(Vans)が依然としてVFコーポレーション(VF Corp)の収益を引き下げている。
ザ・ノース・フェイス(The North Face)やシュプリーム(Supreme)など12ブランドの親会社であるVFコーポレーションは8月1日、2024年度第1四半期の収益は前年同期比で8%減少したと発表した。主要ブランドの中で、ヴァンズは22%減ともっとも急激な減少を見せた。
ヴァンズはかつてスケートカルチャーにおける鉄板アイテムだった時代もあるが、近年は成長に苦しんできた。VFコーポレーションは同ブランドを2004年に買い取り、何年にもわたって順調な売上を記録していたが、パンデミックのあいだに買い物客の関心が、ランニングシューズや、ナイキ(Nike)やコンバース(Converse)など別のブランドに移ったことで、勢いを失った。現在のヴァンズは、需要の低迷、サプライチェーンの問題、米国での卸売販売額の減少に直面している。VFコーポレーションは5月、ヴァンズが「成長路線に復帰する」のは2024年度の後半になるとの見通しを発表した。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
シューズブランドのヴァンズ(Vans)が依然としてVFコーポレーション(VF Corp)の収益を引き下げている。
ザ・ノース・フェイス(The North Face)やシュプリーム(Supreme)など12ブランドの親会社であるVFコーポレーションは8月1日、2024年度第1四半期の収益は前年同期比で8%減少したと発表した。主要ブランドの中で、ヴァンズは22%減ともっとも急激な減少を見せた。
Advertisement
ヴァンズはかつてスケートカルチャーにおける鉄板アイテムだった時代もあるが、近年は成長に苦しんできた。VFコーポレーションは同ブランドを2004年に買い取り、何年にもわたって順調な売上を記録していたが、パンデミックのあいだに買い物客の関心が、ランニングシューズや、ナイキ(Nike)やコンバース(Converse)など別のブランドに移ったことで、勢いを失った。現在のヴァンズは、需要の低迷、サプライチェーンの問題、米国での卸売販売額の減少に直面している。VFコーポレーションは5月、ヴァンズが「成長路線に復帰する」のは2024年度の後半になるとの見通しを発表した。
かつては売上トップだったヴァンズ
VFコーポレーションの最高財務責任者を務めるマット・パケット氏は決算説明会で、「ブランドの全体的な業績はほぼ予測通りだったが、これは本来のあるべき結果ではない。当社はブランドを立て直すためのアクションに全力を投入し続けていく」と語った。
以前のヴァンズは、VFコーポレーションでも最高の業績を誇るブランドで、収益ではザ・ノース・フェイスを上回っていた。しかし直近の4四半期のうちの2つの四半期において、このランキングは引っくり返り、ザ・ノース・フェイスが首位を占めた。第1四半期のザ・ノース・フェイスは、アウターウェアが伸び続けていることから、VFコーポレーションの主要4ブランド(ほか3ブランドはディッキーズ[Dickies]、ヴァンズ、ティンバーランド[Timberland])の中で唯一成長を達成した。
ジェーン・ハリ・アンド・アソシエイツ(Jane Hali & Associates)のシニアリサーチアナリストを務めるジェシカ・ラミレス氏は、「長いあいだ、ヴァンズはVFコーポレーションのユニコーンだった。同社の戦略が少し古くなり、勢いを失いはじめたように思う。ヴァンズの売上が減少するにつれ、ザ・ノース・フェイスがポートフォリオ内でより伸びるだろうと想像している」と米モダンリテールに語った。
手つかずの課題
ヴァンズは自社の規模を適正化するための対策を講じてきた。
同社は2022年、マーケティング活動の合理化とダイレクトチャネルへの集中に注力するため、ヴァンズのグローバルブランドのプレジデントであるケビン・ベイリー氏を呼び戻した。ベイリー氏は2009年から2016年までヴァンズのプレジデントを務めていた。ヴァンズはベイリー氏の下で、アウトドア部門のMTE(Made for the Elements)を構築し、よりプレミアムの商品に特化したピナクル(Pinnacle)という新部門も立ち上げた。6月には、ピナクルの新しい商品ライン「OTW by Vans」も発表した。パケット氏は8月1日の決算発表で、ヴァンズがロイヤルティプログラムを進めつつあり、その会員数は2900万人に近いと語った。
それでもこのブランドには、商品プロモーションの改善など、やるべきことは残っているとラミレス氏は指摘した。「店舗が十分に進化しているとは思わない。特に、オーディエンスを活用すれば、もっと面白いものにすることができるだろう」と、同氏は述べる。
また、ヴァンズは、「Z世代やミレニアル世代向きのブランドでありながら、優れたデジタル体験を提供していない」と同氏は述べる。
ウェブサイトも刷新
パケット氏は決算発表で、ヴァンズがホリデーシーズンに合わせて、ウェブサイトVans.comのデザインを一新すると明かした。
VFコーポレーションの新しいCEOで、7月にこの職に就いたブラッケン・ダレル氏も、この成長の舵取りに一役買うだろう。パケット氏は、ブランドの将来について楽観的な意見を変えていない。「ヴァンズは優れたブランドだ。ヴァンズの持続力、そして重要な点として、このリーダーシップチームが日々仕事に注ぐ情熱に自信を持っている」と、同氏は述べている。
[原文:VF Corp: Vans results are ‘not where we should be’]
Julia Waldow(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)