ターゲット(Target)は8月16日、6年ぶりに四半期売上高が減少した。
ターゲットの2023年度第2四半期の純利益は8億3500万ドル(約1220億円)で、昨年の1億8300万ドル(約267億円)から増加した。しかし、収益は過剰在庫を解消しようとしていた2022年の同時期頃から大幅に減少した。eコマースの売上は前年同期より10.5%減少し、既存店売上高も同4.3%減だった。さらに、同社のアプリ「サークル(Circle)」も1日のアクティブユーザー数が減少し、デジタル注文の低迷を示した。
ターゲットは、売上減少の主な原因を、顧客層が裁量的な買い物を控えたことだとしている。第2四半期末時点で、在庫水準は昨年より17%減少し、なかでもファッションや家具など不振なカテゴリーは25%も減少した。また、プライド月間(Pride month)の商品に関する最近の論争もその理由に挙げた。その結果、同社は通年の利益見通しを下方修正し、今秋の学生ローン返済の再開も、裁量支出に取って打撃になると指摘した。
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ターゲット(Target)は8月16日、6年ぶりに四半期売上高が減少した。
ターゲットの2023年度第2四半期の純利益は8億3500万ドル(約1220億円)で、昨年の1億8300万ドル(約267億円)から増加した。しかし、収益は過剰在庫を解消しようとしていた2022年の同時期から大幅に減少した。eコマースの売上は前年同期より10.5%減少し、既存店売上高も同4.3%減だった。さらに、同社のアプリ「サークル(Circle)」も1日のアクティブユーザー数が減少し、デジタル注文の低迷を示した。
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ターゲットは、売上減少の主な原因を、顧客層が裁量的な買い物を控えたことだとしている。第2四半期末時点で、在庫水準は昨年より17%減少し、なかでもファッションや家具など不振なカテゴリーは25%も減少した。また、プライド月間(Pride month)の商品に関する最近の論争もその理由に挙げた。その結果、同社は通年の利益見通しを下方修正し、今秋の学生ローン返済の再開も、裁量支出に取って打撃になると指摘した。
裁量支出の減少
TDコーエン(TD Cowen)のマネージングディレクターを務めるオリバー・チェン氏は、ターゲットの買い物客には、依然として、全体的な裁量支出の弱さが見られると、覚書に記した。
一方、生活必需品や美容品のような定期的に補充が必要なカテゴリーは伸びており、家庭用品やアパレルなどの自由裁量カテゴリーの減少を補っているとチェン氏は語った。「残念ながら、LGBTQIA+プライド商品に対する反発が、5月と6月に大きな逆風となった」。
最高経営責任者のブライアン・コーネル氏は電話会議で、最近のプライドコレクションへの反発に言及し、この「否定的な反応」が売上に損害を与えたと述べた。しかし、同社は今後もプライド月間をテーマとする商品をリリースし続けることを同氏は確認した。
保守派の反発の余波は、ターゲットが売上の「軟化」の原因としているいくつかの逆風のひとつだ。
ワンワールドシンク(1WorldSync)の最高製品責任者を務めるランディ・マーサー氏は、この四半期決算は、収益性の改善などいくつかの明るい話題はあるものの、「混とんとしている」と述べた。「売上の減少は想像以上に深刻で、インフレを抜きにしても昨年より8%から9%減少している」。
アプリのユーザーも減少
ターゲットによれば、盗難の増加も売上減少の理由のひとつだ。盗難は20%増加し、これは「どんな小売業者にとっても高い数値だ」と、マーサー氏は述べている。しかし、これによって顧客が安全性を懸念し、ターゲットのeコマースチャネルでの買い物に移行するという傾向はないようだと、同氏は言及している。
実際に、ターゲットが近年に多額の投資を行ったサークルアプリも低調だ。モバイルアナリティクスおよびインテリジェンス企業のGWSによると、ターゲットのアプリのデイリーアクティブユーザー数は、前の四半期に比べて8.6%減少した。デイリーアクティブユーザー数は370万人と、2022年の第2四半期の400万人から減少した。
コーネル氏は、今年上半期に低調だった店舗への訪問者数は、7月になって持ち直したが、現在の経済状況のなか、同社は慎重な姿勢を崩していないという。コーネルCEOは電話会議で、「事業計画は引き続き慎重に進め、売上について短期的な課題が続くと予測して、財務見通しを修正した」と語った。
マーサー氏は、ターゲットの最新の決算説明会で、経営幹部は戦略よりもむしろ不安定な業績を説明することに終始し、反動的な雰囲気だったと述べている。「Amazonやウォルマート(Walmart)と比べて、ターゲットは守りに入っている。ターゲットは在庫の問題などを改善して成長路線に復帰することを模索しているが、今後数四半期は、裁量支出のカテゴリーがさらに減少することが予測される」と同氏は語った。
[原文:Target blames decline in discretionary spending, pride backlash for lower sales]
Gabriela Barkho(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)