Shopify(ショッピファイ)の収益増加は第2四半期に加速し、ブランド向けのeコマースストアを構築するという本来の目標に舵を取りなおしてから3カ月後には、前年同期比で31%の成長を報告した。
6月30日までの第2四半期におけるShopifyの収益は、前年同期の12億9000万ドル(約1830億ドル)から17億ドル(約2410億円)に増加した。プレジデントのハーレイ・フィンクルスタイン氏は、同社のグローバルなマーチャント(加盟店)基盤も拡大したと述べた。「Shopifyの新しい形に向けて、世界中の起業家とビジネスに力を与えられるような、世界最高のプロダクトを作るという目標に変わりはない」と同氏は決算発表のプレスリリースで述べた。
しかし、カナダのテック大手企業である同社の純損失は、昨年の第2四半期に報告された12億ドル(約1700億円)から13億1000万ドル(約1860億円)へと増加した。流通取引総額、すなわちShopifyのストアを使用したマーチャントが販売した商品の総額は前年同期比で17%増加したことが報告されている。
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。
Shopify(ショッピファイ)の収益増加は第2四半期に加速し、ブランド向けのeコマースストアを構築するという本来の目標に舵を取りなおしてから3カ月後には、前年同期比で31%の成長を報告した。
6月30日までの第2四半期におけるShopifyの収益は、前年同期の12億9000万ドル(約1830億ドル)から17億ドル(約2410億円)に増加した。プレジデントのハーレイ・フィンクルスタイン氏は、同社のグローバルなマーチャント(加盟店)基盤も拡大したと述べた。「Shopifyの新しい形に向けて、世界中の起業家とビジネスに力を与えられるような、世界最高のプロダクトを作るという目標に変わりはない」と同氏は決算発表のプレスリリースで述べた。
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しかし、カナダのテック大手企業である同社の純損失は、昨年の第2四半期に報告された12億ドル(約1700億円)から13億1000万ドル(約1860億円)へと増加した。流通取引総額、すなわちShopifyのストアを使用したマーチャントが販売した商品の総額は前年同期比で17%増加したことが報告されている。
物流部門の売却とレイオフを経て
8月2日に公表された数値は、売上増加の停滞や従業員の削減などの問題に取り組むという試練の時期を経て、同社の状況が好転したことを示すものだ。同社は前四半期に従業員の20%を削減した。5月には、以前に買収したロジスティクス新興企業のデリバー(Deliverr)とシックスリバーシステムズ(6 River Systems)を、輸送サービスパプロバイダのフレックスポート(Flexport)と英国を拠点とする食料品配送サービスのオカドグループ(Ocado Group)に、それぞれ売却した。CEOのトバイアス・ルーク氏は、物流インフラの構築は、テック系起業家にとっては「サイドクエスト(本筋ではない仕事)」だとスタッフに述べた。
Shopifyは今年、大企業のクライアントを増やし、卸売サービス事業を構築することに注力してきた。1月には、マテル(Mattel)やグロシエ(Glossier)などのブランドに対し、コマースコンポーネント(Commerce Components)などのツールを導入し、決済といったShopifyのコア機能へのアクセスを提供した。また、自社の製品ロードマップの中でのAIをより高い優先順位にした。
ガートナー(Gartner)のデジタルコマース担当のシニアディレクターアナリストを務めるアント・ダフィン氏によると、Shopifyはまだ困難から完全に脱したわけではない。「D2C分野は非常に不安定なため、状況はまだジェットコースターのように激しく移り変わると考えている」と同氏は述べる。D2C新興企業は今年、インフレや、顧客獲得コストの高騰、ベンチャーキャピタル資金の枯渇など、さまざまな要素に直面している。「マクロ的な観点から見ると、顧客とマーチャントの両方にとって、D2Cとの愛憎関係が続いている」と同氏は述べた。
ダフィン氏は、Shopifyが「顧客獲得を推進するためのマーケティングコストと、顧客を維持するための継続的なイノベーションの提供、そしてそれを全体的な事業経費や労働力の観点からバランスさせるという、非常に微妙な境界線を進まなければならないだろう」と付け加えた。
卸売ビジネスの可能性
フィンケルシュタイン氏は決算発表で、Shopifyの卸売ビジネスが勢いを得つつあり、2023年の前半にクラフトハインツカンパニー(Kraft Heinz Company)や、ブルックリネン(Brooklinen)、モモフク(Momofuku)などのブランドを追加して以降、B2BのGMV(流通取引総額)は61%も増加したと注記している。
「B2Cは現在のところ収益のごく一部にすぎないが、Shopifyにとって未開拓の巨大な可能性を示している」と、フィンケルシュタイン氏は決算発表で述べた。Shopifyは最近、小売業者が卸売事業を拡大することを容易にする、マーケットプレイスコネクト(Marketplace Connect)やShopifyコレクティブ(Shopify Collective)などの新しいツールも発表した。
「D2Cにおける課題として、卸売と同じレベルの規模で運営できないことだと認識したのは、Shopifyにとって賢い判断だ」と、ダフィン氏は述べた。
リソースの適切な規模を見極める
同社は6月、Shopペイ(Shop Pay)を利用した買い物に対して、Shopアプリでのみ利用可能なShopキャッシュ(Shop Cash)と呼ばれる新しいポイントプログラムを追加した。
ついに、「これからのビジネスを支えるために、中核となるビジネスモデルを見つけ、顧客の獲得と維持、投資のイノベーション、そして、リソースの適切な規模との微妙なバランスを見つけ始めているようだ」とダフィン氏は述べている。
[原文:Shopify swings back to growth mode after logistics divestiture and layoffs]
Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:)
Illustration by Ivy Liu