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ナイキ のデジタル売上、総収入の21%に:サプライチェーンに問題も成長を続ける

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この記事は、DIGIDAY[日本版]のバーティカルサイト、小売業の変革の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]の記事です。

ナイキ(Nike)は、インドネシアとベトナムで起きた工場閉鎖の後、大規模なサプライチェーンの遅延が発生している。それにもかかわらず、同社はデジタルでの売上が好調で、全体的な収益も増加した。

ナイキは9月23日、総収入が前年比16%増加したことと、北米のデジタル販売が40%増加したことを発表した。同社はデジタル販売を重視しており、消費者に自社アプリ、ロイヤルティプログラムやオンライン購入店舗受け取り機能を利用するように勧めている。しかし今四半期は、現在ナイキのフットウェアの半数を製造しているベトナムで発せられた厳格なCovid-19(新型コロナウイルス)対策の規制の影響が生じ、それにより、ホリデーシーズン向けの在庫が不足する可能性が出てきた。

止まらないデジタル成長

ナイキの店舗での売上はパンデミック前の水準に達していない。だが、デジタルの売上は増え続けている。為替変動の影響を除くと、世界全体でデジタルチャネルの売上は25%増加している。現在、ナイキの総収入の21%がデジタルからで、前年から19%増えている。

「現在はパンデミック前と比べて、ライバルよりも優位に立っている」と、ナイキのプレジデント兼CEOであるジョン・ドナホー氏は述べている。「なぜなら、市場で起きている変化は我々にとって望ましい変化だからだ。消費者は、ナイキが得意とするデジタルの分野に移行している。消費者直結への動きを加速させるナイキの戦略は、この市場の変化を大いに利用している」。

実際のところ、ナイキは新しい技術を真っ先に取り入れる企業で、パンデミックよりずっと前からデジタルショッピングに投資してきた。2015年にはすでにスニーカーローンチアプリのSNKRSへの投資を始めており、2018年にはカーブサイドピックアップやオンラインとオフラインの製品在庫を統合するアプリを採用している。

ナイキは、ロイヤルティメンバーを対象としたスニーカードロップへの投資や、デジタルで統合した小規模な実店舗の展開を通じて、デジタルエクスペリエンスをさらに拡張している。たとえば、新しいコンセプトストアである韓国ソウルのナイキライズでは、店舗内で商品の比較ができる無線IDタグのテストが行われている。

「ナイキは、もはやデータファーストの企業だ。(ターゲティングを通して)もっとも便利な方法で、適切な顧客に適切な商品を適切なタイミングで提供できる」。投資調査会社のジェーン・ハリ&アソシエイツ(Jane Hali & Associates)で小売アナリストを務めるジェシカ・ラミレス氏はこう語る。「ナイキは自社ブランドの将来性を確立(しようと)している」。

ロイヤルティメンバー制度も有効に働いた。ここしばらくナイキはメンバーの新規獲得に注力してきたが、今四半期はリピート購入したメンバーの数が70%増えたと報告されている。

工場閉鎖の影響が出はじめた

さらに、ナイキはサプライチェーンのデジタル化や、消費者データを利用した将来の需要予測を試行している。このようなサプライのデジタル化への投資が進んでいる一方で、最初にインドネシア、現在はベトナムで工場閉鎖が発生し、その後のサプライ問題の兆候が現れ始めている。

ナイキのエグゼクティブバイスプレジデント兼CFOのマシュー・フレンド氏は、今年7月から10週間、ベトナムでの生産が停止しており、工場の再開は10月初旬以降になるだろうと述べた。「(その後も)完全な生産量に戻るまで数カ月はかかる」。

この遅れにより、ナイキは総利益の増加予想を「2ケタ台前半の伸び」から「1ケタ台半ば」に修正した。また、フレンド氏は「今後数四半期のあいだ、世界中で一時的な品不足が発生する」と予測している。

ドナホー氏によれば、パンデミック前は「アジアから北米に製品を出荷するのに約40日かかっていた」。今四半期の出荷時間は80日で、ナイキの平均の2倍にまで悪化している。

これに対応するため、ナイキは生産場所をベトナムからインドネシアや中国に移し、可能な限り空輸を利用している。また、ドナホー氏が「シーズンレス」と表現したアプローチを採用して、「製品が市場に届くのが予想よりも遅くなっても」大幅な値引きやプロモーションを行わないようにした。

ナイキのライバル各社も、同様に、ベトナムの工場閉鎖の影響を受けている。スポーツウェア小売業のルルレモン(Lululemon)は、ベトナムの工場閉鎖により、2021年後半の在庫の20%に遅れが出ているとしている。また、ランニンググッズ会社のオンホールディング(On Holding)は、製造の70%をベトナムで行っている。

そのため、ラミレス氏は、ナイキは短期的には収支の問題を抱えることになっても、長期的にダメージを受けることはないだろうと付け加えた。

「サプライチェーンは向かい風を受けているが、その外では、ナイキは変わらず消費者と市場の支持を受けている」。

[原文:Nike’s digital sales continue to grow despite supply chain issues]

Maile McCann(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Nike